2月14日

片山春樹

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チョコレートのノロイ再び?

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チョコレートのノロイ再び?

そして、途切れた会話の合間に二人で珈琲をすすると。一つ目の話題がリセットされたのかしら。
「ねぇ恭子」と再び暗い雰囲気で話し始める優子。二つ目の話題かな? と思いながら。
「はいはい、次は、なぁに」と聞き返すと。
「そのことで聞きたいのだけどね」とますますダークな声色になる優子に。
「そのこと?ってナニよ」と視線を反らせながら聞き返すと。
「だから、エッチとかの話のことなんだけど」ドキっと何かが跳ねた・・かも。
エッ・・・ち。「・・・・」と一瞬耳を疑いながら、優子の真剣な顔を見開いた目でまじまじと見つめてしまって・・。思うこと。とりあえずまじめに聞いてあげよう。この娘の口から「エッチ」だなんて言葉が出た。だけど。優子の顔をもっとマジマジと見つめていると。
「男の人ってチョコレート食べると元気になるってホント?」
と続いた質問はいつも通りの天然系で。まばたきできないまま、はぁ? なんの話だろう。もしかして、まじめに聞こうとして無茶苦茶損したのかな私・・また・・と思う。と。
「雑誌で見たのだけどね、バレンタインディでそうゆう名残なんだって」
のめり込むように続ける優子。 それって、どこの国の雑誌なの? アンドロメダ? プレアデス? それに、それはいつからのどういう名残なんだろ? 言葉を返せないままでいたら。
「だから、昔々、なかなかその気になってくれないオトコの人にチョコレートを食べさせてあげると、むらむらしちゃって、その気になって・・めでたしめでたしってお話し」
えぇ~? その気ってめでたしめでたし? 何の話ソレ・・。でも・・優子のこの恥ずかしそうなニヤケタ顔に冗談でしょなんてとても言えないというか。じっとしてると私の頬がピクピクし始めるし。
「そ・・・そんなこともあったかね・・・」
とりあえず合わせておこう。まじめに付き合いきれそうにない。それに、テレビのリモコンが見えるところにないし・・・。つまり、私はもう逃げることもできそうにない。
「でね、なんとなく私、高倉さんと、ほら」と腰をよじって、これから言葉にできない何かを体で表現する優子。つまり。したいわけね。本能的に。でも口には出せないと言うより、どう言っていいかわからないんだろうな。でも、それを誘導してからかったり、無理やり言わせたりすると、いつものパターンでさっきみたいに私自身の墓穴を掘りそうだし。だから。
「ケンさんをむらむらさせたいの? 優子もむらむらしてどうにかなっちゃいそう。とか?」
と話し合わせるつもりでおとなしくつぶやいて、優子のその優雅なボディーラインを視線でなぞると、私がオトコだったら、部屋に入れた途端に発情するだろうなと思う。こんな、暴走加湿器のようにお色気をムンムンさせるオンナがこんなにクネクネしながらその気なら。でも。
「むらむらなんて、そんなのじゃなくて」と優子はもっとくねくねして恥ずかしがるけど。
むらむらしてるから、そんなことをくねくねと相談してるのでしょ。とは言わないかわりに。
「ところで、優子ってケンさんと付き合い始めてそろそろひと月過ぎたころでしょ。その間にどのくらい進展したの?」
と、とりあえずは、まだ、手をつないだとか、一度くらいはチュウしたとか。その程度だということに確信があるから、こんなことをわざとらしく聞いてみたら。
「進展って言うほどのことは・・・その・・」とうつむく優子に、やっぱりねと思いながら。
「チュウくらいは毎日してるの?」してるわけないだろうけど、アリバイ作りのために聞いてみると。優子はうつむいたままぼそっと。
「クリスマスの時にしただけ・・」やっぱり・・あ・・そう・・あの日したきりなのね・・。
そしてうつむき続ける優子のボディーラインとウブな態度のギャップにムカついたというか。
「大体ね、あんたたちって、付き合い始めてひと月もたつのに、ちゅうだけって、ケンさんもだらしないのだと思うけど、優子もさ・・」
なんて話を思いつくまま始めると。頭の中に浮かぶイメージ、人食い植物のような強引さでツルをケンさんの手足に巻きつけてウィンチでベッドに引きずり込んで、人食いイソギンチャクのような触手でケンさんのアレを絡めとって牙のついたアソコがアレに噛みつく・・・くらいの、と言うのをどう表現しようかと言葉に詰まった。ら。
「まぁ、まだチュウだけだけど。それってやっぱり・・私が悪いのかな?」
と本当に泣きだしそうな優子に、えっ? なにこの反応・・。と思っていると。
「こないだね・・」と、何かを打ち明け始めた優子がそのまま言葉に詰まって。だから。
「こないだ・・どうかしたの? ナニかあったの? ケンさんとの問題? それとも、家族のコト?」
と優しい口調で聞き出そうと言葉を選んだら。
「うん・・その・・高倉さんが・・・」と話し始めた優子。
「ケンさんが・・」ナニしたの? とは言わずに。じっと優子を見つめると。
「その・・高倉さんがね・・」
「・・うん・・ほら・・聞いてあげるから、誰にも言わないから、言ってみてよ、ケンさんと何があったの」
「こないだ、高倉さんが、後ろから、ぎゅって・・」
「後ろから、ぎゅって・・」抱き寄せて、キスをせがんで、愛してるよ結婚しよう・・と言おうとした? と想像したけど。
「突然だったから、私、なにすんのよって払いのけちゃって・・ちょっと気まずくなったの」
ちょっとまってね、まとめるから、つまり、ケンさんに後ろからしがみつかれて、ギュっとされて、払いのけて、気まずくなったの・・あ・・そう・・でも。そんなことで落ち込んでゆく優子に。
「気まずく・・なったんだ」とだけ聞いて、どうして、私の心の中、ガッツポーズしたくなる気持ちになってしまうの? ニヤついちゃだめよ、ニヤついちゃダメ。と精神力をキープしたまま聞いていると。
「でも・・あの・・イヤだったとか、ダメだったとかじゃなくて、前もって抱きしめてもいい、とか、触るよって言ってくれてたら、あんな払いのけたりしなかったのに、急にぎゅっとされて、さっきの恭子みたいにもみもみするから・・私」
へぇぇ、ケンさんもあんな風にこの巨乳を揉み揉みしたんだ・・ふううん。今度聞いてみよう、ニヤつくこと聞いちゃった。それに、あーそう・・前もって言えばよかったのか・・触るよ、とか、抱くよ、とか。そういうことは、ケンさんの目の色とか雰囲気とかで前もって察することだと思うのだけど・・優子にはムリなのね・・で。
「今・・気まずいの? ケンさんと・・その。口を利かなくなったとか? 顔も見れなくなったとか」
と言いながら、ザマーミロ、うっしっしっ。なんて思っている・・ことは感づかれないように優子の顔色を覗き込んでみると。
「気まずくはないと思うけどね・・本当は、私も、抱きしめられたり、触ったりしてほしいのだけど、そういうことって言い出しにくいというか・・」
どういっていいかわからない。と言うことか。現実にそうなった場合どう反応していいかわからない。ということだと思うけど。
「それで、ケンさんも、優子と距離取ってるの?」
「距離?・・って?」
「その後、手をつないでくれなくなったとか、すぐ手が届く距離にいないとか、そういうこと?」
「あ・・そう言えば・・少し、そんなことあるかも。返事がギクシャクしてた」
へぇぇ・・なんだか うっしっし って笑いたい気持ちだけど。ここはわざとらしく抑えて。
「はぁーあーそぉ・・ケンさんもそんなことでね、そぉ、まったく、だらしないオトコなのね」と思うなぁ。そんなことで距離を取るのか、あのオトコは。その程度の事で、気まずくなるのか。まぁ・・私が引き合わせた二人だから、こういうアフターサービスも必要なのかなとは思うけど。
「だらしないって・・普通はどうなの、そんなとき男の子って」と本当に不安顔の優子を見て。
まぁ、普通の男の子は女の子にちょっと弾かれたくらいなんだよ。って何度もトライするものだと思うけど。優子にはそれをどう説明すればいいのかなとも思うし。ケンさんもケンさんだし。ややこし過ぎて説明なんて私にはムリだから。
「まぁ・・そんなこともあるわよ」
このテキトーな返事が一番いい感じかな。それと。
「男と付き合い始めると・・よくあることでしょ」
もう一度そううなずいて。自分を納得させるように優子をうなずかせようとしたけど。
「そんなこともあるわよって。よくあることって。こないだ、そんなこと初めてだったし。それって普通? 黙って後ろからギュって」
うなずかない優子の大真面目な顔に、面倒くさいなぁ。という気持ちもしはじめて。
「それってよくある普通のコトよ。男がいきなりぎゅっとして、女が何すんのよって怒って、オトコがごめんなさいって感じで・・オンナがますます優位になる。普通でしょ」
そうつぶやいて。優子の顔を見つめると。
「高倉さん、確かにごめんなさいって言ったけど、あれって、私が怒ってると思ってるから?」
この真剣さがなんだか可笑しいというか。ケンさんも。
「あーぁ、怒らせちゃったって思ってるかもね」ったくもぅ、昨日はそんなそぶりは全く感じなかったし。そんなことになってるだなんて、絶対明日からかってやろう。と思うと。
「やっぱり・・高倉さん、触らせてあげた方がイイかな? どうぞって言うの?」
って、どうして話がそっちに飛んでゆくのよ・・。とも思うけど。
「うん・・優子の方から触らせてあげた方がイイと思うよ」
というか、優子って、触ってほしいのでしょ。と言ってほしそうな顔してるよ。と思っていると。
「触って、とか、抱いて、とか言うの? 私から?」やっぱり、説得されたいのか・・私がそう言ってあげないと踏ん切りつかないのかな。だから。
「言ってあげれば」と素っ気なく言いながら、優子の鼻の穴が大きく膨らんて、その鼻息の荒さはやっぱりね と思ってしまう。まぁ、ここは、ケンさんをアシストするか。
「ケンさんって、そういうこと、だらしないというか、強気になれないなら、優子からリードしてあげれば」
とは正直な気持ちかな。あの男は女の子の方からリードしてあげなきゃならないのかも。でも。
「高倉さんって、だらしない・・・の?」と優子がまだ不安全開の顔。
「だから、それは、言葉のアヤで、だらしないというか、恥ずかしがり屋さんというか。だから、優子からそれっぽく誘惑とかすればいいんだよ、ケンさんも一応オトコなんだし、スイッチ入れてあげればいいの」
私たちの年頃ならこんな話は普通でしょとも思うけど。
「誘惑・・・一応・・オトコ・・スイッチ入れてあげる」
さっきは鼻息荒げていたのに、また、うつむいてしまう優子も、やっぱりウブなのかな。そう言うところにもケンさんは惚れてたりして・・。なんとなく解った気がする。でも、とりあえず、言い出したことは最後まで言っておこう。
「オトコってみんなそうなんだから、優子がイヤじゃないなら、少し勇気出して見せてあげたり、触らせてあげれば、ケンさんも、スイッチが入って、喜んでくれると思うよ」
ケンさんもそうだと思うよ。あんなに優しそうに見えるけど。実はホントはムッツリスケベ・・なんて言ったら優子は卒倒するかも・・。
「でも、そんなこと・・・私からなんて」と言いつつも、優子のもじもじと反応してるよがり方。
「それが無理なら、じぃぃぃぃっと、ケンさんの眼を見つめて、ケンさんがゴクリとしたら、すぐ眼を閉じなさい、そのまま無抵抗でいれば、後は神様に思し召されてなるようになるから」
うん・・我ながらうまくまとめたかな。そう思ったけど。
「やっぱり、それって、チョコレート食べさせてから?」と身を乗り出す優子に。
えっ? これって深刻な話じゃなかったの? どうしてチョコレートの話になっちゃうの? えっ? チョコレートを食べさせてからって・・どう反応していいかわからなくなった・・。
「でも、チョコレート食べて急に元気になったりしたら・・私、怖いかも。でも、少しくらいは乱暴されてもいいかなとも思ったりするけど、押し倒されたり、無理やり・・好きだよって言われながら・・」
腰をくねくねさせながら、優子が今空想していることが見える・・。けど、もういいや、あなたがそうしたいのなら、そうしなさい。もう駄目だ。私、思考が停止した・・。
「あのねぇ優子」とにかく話題を変えよう、無理やり。
「うん・・・」
「ところで、何しに来たの?」
「うん、ちょっと気まずい雰囲気をチョコレートでほぐそうかなって。だから、チョコレート買いに行くのに、どんなのが、彼を元気にさせるのか、選んでほしいの。男の人にチョコレートだなんて・・私・・ほら・・はじめて・・だから」
あれだけ真面目に相談を聞いてあげたのに、その話のオチってチョコレートなの・・。私って絶対チョコレートに呪われてる。この季節、私にはどう足掻いても運命の歯車を切り替えるチカラはないようだ。
「それと、ついでに恭子の誕生日のプレゼント、何か欲しいものがあったら」
ついで・・なんか今、カチンとしてしまったかも・・ついで・・。
「ついでに、私の誕生日のプレゼントを見に行くわけね、ついでに、はいはいありがと」
「そんな、ついでだけど、ついでだなんて」
「いいのよ、無理しなくても、私の誕生日なんて、いつもそうだから。それに、わかりました」
この運命に抵抗しても勝ち目はない。そんなあきらめ感が溢れるからだとも思うけど。
「それじゃ、チョコレート見に行きましょ。気まずくなったケンさんをむらむらさせるチョコレート」
そうぼやきながら立ち上がって。コートに手を伸ばしながら。
「ケンさんをムラムラさせて、来年の今頃の優子を立派なママにしてあげましょうかね」
はぁぁぁぁ、それってどんなセリフなのよ、と自分で思いながら、それなりのアフターケアの責任はまだ感じているつもりけど、なんとなくそうゆうコトは神様に丸投げしたくなってるし。だから、眼を丸くして「ママに・・・私が・・・ママに」と余計な空想をし始めていそうな優子に、とどめの一言のつもりで。
「ママになるのよ、赤ちゃんは男の子が欲しいの、それとも女の子?」
さすがに、ウブな優子は、もうなにも言い返せないだろうと思ったのに・・・。
「チョコレートってそんな魔法が使えるの?」と、さらにもっと眼をらんらんと輝かせて真剣な優子。
えっ? いつもながらに、言った私がバカだったようだ。どうして話がそんな風に飛んじゃうの? ナニを想像したらそんなに顔がニヤニヤと、体がくねくねと、そして、目つきがギラギラランランとするのだろう。優子は・・。
「わたし・・一人めは女の子が欲しいのだけど・・・お願いしていい?」と言うのだけど。
う・・うん・・お願いしてもいいよ・・好きにして・・私・・頭の中、真っ白になってしまったから。
私、泣きたい・・・。どうしてこんな話になっちゃうの。いつもいつも・・。

そんなこんなで、テクテクと歩いてデパートのチョコレート売り場に到着したら、そこは昨日も、こんな風に うんざり した場所。意外とチロルチョコの山が低くなってるなと思いながら。でも、このキャイキャイしてる周波数高めの雑音。二日続けてだなんて・・チョコレートのノロイ再び。そんな気分だから。とりあえず適当に選んでさっさと切り上げたい・・。という気持ちで。チョコレートの山を見渡すけど。やっぱり手が伸びる、一粒のチロルチョコ。告白文付きバレンタインバージョン。包み紙の表紙に何が書いてあるのか見てみると。
「元気出してね」ってプリントされてて。
・・・チロルチョコに言われたくはないわよ。と思ってもう一粒。
「ファイっト。ガンバ」だから、そんなことを言ってほしいわけではないのに。
・・・きっと次の一粒は絶対私を励ましてくれる。神様お願い。ってチロルチョコを摘まみ上げるのに、どうして柏手を打って、手と手とを合わせて、さらに十字を切って神様にお願いしなきゃならないの? と次の一粒を摘まむと。
「なんとかなるって」・・・はいはい。解りました。もう諦めます。泣きそう・・。とチロルチョコを山に戻すと。後ろから。
「ねぇ、恭子、どんなのがいい?」と、まだ腰をくねくねさせながら聞く優子に振り返り。
「私に解るわけないでしょ」と粗い語気で言い返すと、すぐに。
「でも、そういうこと、恭子は詳しそうだから」と返ってきて。
詳しいわけないわよ、大体チョコレートを男にプレゼントしたことなんてないし。と思うけど、あまりテキトーにあしらいすぎるのも優子に悪いし。だから、目に付いたものでごまかそうと・・・。
「このガラナって言うのがイイんじゃないの」
なんて、テキトーに一つを手に取ると、そこには「あの日に帰りたいあなたたちのためにイニシエから伝わる夜のエキス」なんてキャッチコピーがある。それをみて、恥ずかしそうに・・・だけどニヤニヤしながら
「へぇ~、やっぱり恭子って詳しいのね」とうなずく優子。
イィカゲンニシロ。と眼で訴えてやる・・・。けど、ニヤニヤとチョコレートを選んでいる優子には、ナニをしても無駄だね・・・。はぁぁあ。また・・ため息が出た。そして。優子はチョコを手にしながら。
「ねぇ、思うんだけど、恭子ってチョコレートに興味なさそう。あげる人って、いないの?」って聞く。
うっ・・まさか・・このパータンは。と思いつつ。
「いたら、優子に、どんなのがイイ? って可愛いく聞いてるわよ、こんな風に」
組んだ手をくねくねさせながら、カワイイそぶりをして。
「ねぇ優子、どんなのがイイの?」って。
イヤミたっぷりに思いつくまま言い返したけど。優子はイヤミだとは思わないだろうな。とイヤな予感。優子は手を組んだまま止まった私をじっと見つめて。大真面目な顔で。
「そんなこと、私も知らないし。あ・・そっか・・やっぱり、私にそういう事聞かないのは、本当の本当に恭子にはそう言う人がいないからなのね」
なんだか、昨日、美沙に言われたよりももっと心に刺さる優子の優しい響きが。本当にカワイイ笑顔と共に。
「だったら・・安心ね」と続いて。
「あ・・安心?」ってどういう意味よ? と思ったけど。
「うふふ・・こっちの話。へぇ~ いろいろなのがあるんだね・・私もチョコ買って恋人にプレゼントする日が来ただなんて・・うふふふふ・・恋人だって。きゃぁぁ恥ずかし・・」
もういい・・もういい・・さっきまでは、このイヤミな巨乳を揉まれて、払いのけて、その男と気まずくなってた1メートル78センチの大女が、グーにした手で口元を押さえて、くねくね笑っている光景を私は受け入れられない。気まずい雰囲気どこ行っちゃったの? もぅ、こんなのとは会話なんてできない。今日は一日、優子と一切しゃべらないでおこう。そう決意してから、仕方なく携帯を取り出して、スクイを求めようと今日の占いをチェックすると。水瓶座はピカピカ輝く一番で・・。おぉっと一瞬思ったけど。
「今日、人生最大最高最良の恋の転機が訪れる、運命の歯車がガッチリ噛みあい今動き始めた、この流れには絶対に逆らわないで」
はぁ? どういう意味よコレ。今日って、誰がどう見ても「最低の、チョコレートのノロイが再びやってくる日」でしょ。もういい・・もういい・・画面を消して。こんなサイトの占いなんて、金輪際一切見ない。心にそう決めてやる。
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