2月14日

片山春樹

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やっぱりケンさんのコトが好き?

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やっぱりケンさんのコトが好き?

でも、その種類の多さのせいかしら、結局何も選べずに、何の収穫もなく、優子に振り回されただけの休日はあっという間に過ぎて、時の流れるがままの惰性という船に揺られて会社に行くと。
「恭子ちゃん、おはよ」というケンさんとエントランスで一緒になって、その幸せそうな笑顔に思い出したことを言いたくなったから、その一言を。
「おはよ・・ねぇ、ケンさん、優子とはちゃんとヤッテルの」と表現すると。
ケンさんは、もっと幸せそうに笑顔を増幅させて。
「心配アリガト、大丈夫、ちゃんと尽くしているから」そんな返事。
それは、昨日優子が言ってた「気まずくなってる」そぶりなんて微塵も感じない、人をバカにしてるようなケンさんの幸せそうな顔。だから、もう少し探りを入れるつもりで。
「本当に大丈夫なの?」とリピートすると。
「本当に大丈夫ですよ・・って、どうして? 本当に本当に誠心誠意尽くしているから心配しないで」
このウソ偽りなんて微塵もない無垢な笑顔、ホントにホントに尽くしていそうだね。優子の話を真面目に聞いて本当に本当に損した気分。と同時に思い出したこと。
「尽くしてるって・・肉体的にも?」と聞きたくなったけど、エレベーターに押し込まれると、この人ごみの中言えるわけないか。それに、こいつはオンナに 精神的 に尽くすことで幸せを感じるオトコなのかなと思ってしまった。それは、ワタシ的には相当うっとうしいと思う。アレコレと小さな親切や余計なお世話で尽くされるより。ある程度は距離があって、いざと言うときだけそばにいて、そんな気分のときだけ、いちゃいちゃとしてほしい。だから、私はケンさんには恋愛の感情がわかないのかな。ほとんどくっついてるケンさんを上目遣いで見上げると。ケンさんも優しい下目遣いで私を見つめてて。くすっと笑った。いいなぁと思ってしまいそう。今この瞬間の、私だけへのやさしい微笑み。これが私だけのモノだったなら・・。そう思うけど、もう手は届かないんだよね、と思い出すと、ため息も出ない。だから、諦めの気持ちでうつむこうとしたら。
「それよりも、誕生日なにか食べに行く? 二人でご馳走してあげようかって、昨日優子さんと電話で相談したんだけど」なんて事を唐突に言い出すケンさん。だから。
「ご馳走?・・・電話で」 とつぶやいた途端に、電話で・・の部分が意識から飛んで。優子の事なんてどうでもよくなって。「ご馳走」つまりそれは、カニ? フグ? カキ? ニク? と自動的に想像してしまう。この前そんなの食べたのいつだろうと、唾が滲み始める「ご馳走」の映像。
「恭子ちゃんはカニ好き? 食べに行く?」
カニ。カニスキ。好き好きと、うんうんうなずいて。
「いく、いく、いく」 と返事すると、周りのおじさんたちのヘンな視線・・。だけど。
「はいはい、それじゃ恭子ちゃんの誕生日だから、好きなだけワガママしてくださいナ」
と優しい笑顔のままのケンさんのそんな言葉に。
「ありがと・・ホントにいいの?」と涙が出そうなくらい頭に浮かんでいる「ご馳走」の映像。
「うん・・もう少しスケジュールを詰めてからメールするヨ、日にちをどうするか、14日は無理かもしれなくて」
「うん。いく、いっちゃう。いつでもいいよ、別に14日にこだわらなくても」もう一度そう返事して。
「それだったら安心だね・・じゃ、楽しみにして待っててください」
彼のこういうさりげなさは本当に本当に好きだなと思うから。
「うん、待ってる。ケンさん大好き」そうつぶやいて、人目を憚らずにハグしてケンさんの胸の匂いをいっぱい吸ってから。エレベータを降りた。


そして、何事もなく仕事は進み、あっと言う間に昼休み。食堂に行くと今日に限ってなぜか美佐が私を拉致した。ナニよ? と思っていたら。
「お願いだから、ケンさんおびき寄せて」という理由だそうだ。
「どうして・・」と抵抗したけど。
「恭子がいるとケンさんと話しやすそうだし」と許してくれなさそうだし。
「はいはい・・」と返事して、同じテーブルに座り、とりあえず、適当にあしらおう・・。私も、カニの予定がどうなったか、まだメールが届いてないし。そんなことをぶつぶつ考えていると。
「ほら・・来た・・来たどうしょ・・来ちゃった。ね、ね、呼んでよ。呼んでよ。声かけてよ」
なんだろ、美佐のこの反応・・と思う。とりあえず、仕方なく。
「けーんさん」といつもの呼び方で、ケンさんを振り向かせてから。
「おっす・・」と手を振ると。ケンさんは、私をチラッと見て、にこっと笑い、美佐の目から発射されたラブラブビームを蚊を追い払うように払い除けながら、トレーを持ったままテーブルに来てくれて。
「恭子ちゃん・・あのことなんだけど・・」と話しかけてくれる。
そして、美佐が、隣どうぞ隣どうぞ隣どうぞ、わざとらしく席を詰めるのだけど。
「もうちょっと待ってくれる・・」と言って。
「うん」とうなずくと。向こうから。
「おい、ケンイチ、こっち来いよ」と男の子達に手招きされて・・。
「・・あ・・ごめんね」とは、美佐に言ったのだと思う。そして。
「じゃ・・」とは私に。小さなウィンクも私に。だから、チュッと唇を尖らせてキスを投げかえしてからニコッと笑顔を見せてあげて。ケンさんを眼で追うと、男の子らが。ぐぇっひゃっひゃっひゃっ・・・とガマガエルのような笑い声。だから、
「どんな話しなんだろね・・あんな笑い声」
うどんをちゅるちゅるとすすりながら、そう美佐に言ったけど、美佐の耳には届いていないようだ。そぉぉっと顔を上げると美佐は、ただ、左側のほっぺをぴくぴくさせて。
「ねぇ、あんたたちって、本当は付き合ってたりしてない?」と言う。
「なんでよ・・」と海老天をかじりながら返事して。
「今のウィンクと投げキスはなに? ハートの風船が飛んでた・・・」
「いつもの挨拶でしょ」とうどんつゆをすする。
「いつものって・・・いつもあーなの?」と目を見開いて追及する美沙に。
「うん・・・いつもあーよ。ケンさんとは」と面倒くさそうに返事したら。
「・・・・・」美沙の背中から立ち昇る赤紫色のオーラ。美沙は今にも私をコロしそう・・だから。
「ねぇ美佐、正直に言うと、あたし、ケンさんのこと好きよ。大好き。でもね、あたしはケンさんに今の美佐みたいな気持ち全然わかないの」そう、心の底から本当の事を打ち明けてみた。
「ほんと・・に?」
「だから、私のことを疑うのはやめて。あの人のコト好きだけど、本当にケンさんには恋愛感情なんてないから、なんかこう兄とか弟とかそんな感じ」私にはそんなのいないけど。
そう言っておこう・・。とりあえず。すると。ほんの少し間をおいてからオーラをすぼめた美沙は。
「恭子、ケンさんを・・・また飲み会に誘ってよ」と話題をそっちに振って。
「う・・うん・・そんなチャンスがあったらね」と私は慌てて返事する。
「そういえば、こないだの飲み会のとき、ケンさんを連れて行っちゃった娘って、恭子の友達だったよね」
やばい・・なに思い出しているのだろう。でも、ムリヤリ平常心を保たないと・・。ばれた後のタタリが怖い。
「そ・・そういえば・・あの後、あの娘とも会ってないから・・」
顔にくっきりとウソって書いていそうだけど。
「あの娘とは、どうなったんだろ・・あの娘、むちゃくちゃおっぱいでかくて背も高くて美人で綺麗でくびれもすんごい色っぽい娘だったし。恭子・・なにか知っていない?」よく覚えてるね・・。でも。
「う・・・ううん・・・」と首を振らないと。ノロイが怖いし。
「絶対なにか知ってる」もう許して。
「知らないわよ」タタラないで。
「絶対なにか隠しているでしょ」隠してますけど・・そんなこと、今の美沙に言えるわけないでしょ。
うわ・・・美佐の目から変な光線がでてきた・・まばたきができない・・やばいノロイにかけられたかも、あと一回聞きただされたら白状するかもしれないノロイにかかってしまいそう。だからここは、鋼鉄の意志でシラを切りとおそう。
「天地神明に誓って、なにも知りません」
きっと政治家の皆さんもこんな風に使うのだろうなぁ・・と思ったセリフだ。そして、げぇひょひょひょひょと笑っているケンさん達のテーブルに目を向けると、ケンさんは携帯電話を耳に当てて、席を離れた・・うっ・・という感じがする。まさか・・もしや・・何かが当たりそうな予感。
「ケンさん・・誰と話しているのだろう・・・彼女かな」やっぱり美沙も同じ予感を感じてる? ならば。
「さぁね・・・」なんだかうれしそうな雰囲気だね・・とは口が裂けても言えそうにない理由。見えるよ、私にも見える、あの陽炎のように立ち昇るピンク色のオーラ。ケンさんのそばにある観葉植物にも花が咲き始めて・・やっぱり、絶対、あの電話の相手は優子だ・・間違いない。そして、話の内容は・・・おそらく・・カニ? ピクピクとアンテナが反応している。いやな予感がキンコンカンコンしてる。まばたきができない。やばいかも。足も震え始めた。その時。
「ねぇ、恭子・・今夜飲みに付き合ってよ」
とテーブルの向かいで美佐がまだそうつぶやいているけど。
「え・・うん・・いいけど」といい加減な返事をして。逃げ出す口実を組み立てて。
「美佐・・ちょっとごめん、友達から電話があるから」
と言ってテーブルを立った。ポケットの中の携帯電話。早く逃げなきゃやばいと思う。チラッと角のケンさんを見ると、まだ話している。まだ猶予はある・・・。歩きながら、美佐の視線を追うとその先にはケンさん。もし、ケンさんが切ると同時に私のところにかかってくると、というより、ケンさんが私を見つけて、電話を差し出したりすると。美沙に何を追及されるか・・。だから、トレーを返却口に入れて、任務を遂行したスパイのように痕を残さず食堂を出た。美佐からは見えない角からチラッとケンさんを見ると、携帯を持ったまま、きょろきょろしてる。美佐と眼があってにこっとしている。間違いなくアレは私を探している・・・そして、もう一度電話を耳にあてて・・。ごにょごにょと話して幸せいっぱいの笑みを浮かべてうんうんとうなずいてから電話を切った。だから三秒前、に、いち。今。とカウントすると、う~ん、う~ん、う~ん。自分でも ぎょっ とするほどのタイミングで、握り締めたポケットの中の携帯電話が震えだす。美佐からは見えないことを確かめてから。携帯を出すと。その表示。やっぱり、優子からだ。ボタンを押して耳に当てると。
「もしもし・・あたしぃ~・・・」とその声はまるで、濡れたシャツのような感触だから。
「・・・・・・はいはい」
わかっているわよ、と、したくなさそうな返事をした。すると、携帯の小さなスピーカーから聞こえるのは、頭の中がどろどろに溶けそうな粘々してるピンク色の声。
「あのね・・高倉さんとね・・いろいろね・・相談をね・・したんだけどね」
なんだか、ヘンに臭いそうな、妙に染まりそうな、とりあえず、電話を遠ざけて、深呼吸しよう・・・。ジンマシンがでそうだ。
「14日はね、高倉さんとチョコレートでね、ケーキ作ることにしたの・・だから、ごめんね、誕生日お祝いできなくて・・。でも、11日はどぉ? あいてる?」
とりあえず、最後の一言だけを識別して・・。冷静に思うと・・。11日か・・。
「11日・・は、別になんの用事も・・・」
ないと言い切るとどうなるかわからない、と本能が叫んでいる。だから。出そうな声をつばを飲み込んで押しとどめて。言い訳を考えた、すると。
「建国記念日・・休めるの? 会社、高倉さんは3時まで仕事だそうだけど」
なら、私もそうだということにしよう。朝から休みだなんて言うと、ナニに付き合わされるか。だから。
「あ・・そういえば、ごめんね、私も仕事はいってる・・・・」
と、とりあえず、優子が見てるとやばいから、関係ない手帳を広げてアリバイ作り。でも、そこにふと冷静になってしまう、B‘dayのマーク。そういえば、私22歳か・・・とこんな時に思ったら。
「高倉さんがね・・部屋においでって・・二人で一緒に作ろう・・・・って言ってくれたの」
と続けている優子。えぇ~・・? 二人で一緒に作ろう? って、な・・ナニを?
「私、覚悟したほうがいいかな・・」
という深刻な声。あんたたち・・ナ・・ナニを作ろうとしているの? ケーキじゃないの?  え? 覚悟・・つまり、アレを作る覚悟のコト? という気がした。でも、アレってナニ? アレ・・つまり、だから。覚悟・・。
「う・・うん・・したほうがいいと思うよ・・いろいろな覚悟を」と無責任な返事。そして。
「下着とか、新しいほうがいいかな・・・」二人でアレを作るために?
「そりゃまぁ・・・色っぽいのが必要かなとも思うけど」
と言いながら・・新しいものより・・・換えのものも・・・とは言わないでおこうか・・。まだ昼間だから。でも、色っぽいものか・・アノ娘がアレ以上色っぽくなるとかえって逆効果かな・・・ホントに自覚のない優子のことだから・・・。そんなことをもやもやと考えてしまう。すると。
「今日つきあってくれる? 下着も・・どんなのがいいか・・」と優子・・。すかさず。
「きょ・・きょ・・きょ今日はだめ・・・」だ。とはすぐに返事できた。と言うより。美佐と優子を天秤に乗せると、微妙な判定で美佐のほうが重い・・というより、おのろけ相談よりは、同じ仲間を優先したい。けど、どっちもどっちだな・・・。いいか悪いか・・・じゃなくて・・すごく悪いか無茶苦茶悪いかの選択かも・・これ。そう諦めて。
「じゃぁね、仕事に戻るから」と電話を強制的に切って。ものすごくイヤな予感がまだしてる。
今日の占い、またあとでその信憑性を確かめておこう。そんな気分だ。
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