【完結】運命の番より俺を愛すると誓え

劣情祝詞

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前編

11 ※モブ姦

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 あっという間に、俺たちは再び拘束されて、元いた倉庫に放り込まれてしまった。
 寒い。
 蒼井はこんな状態をもう1週間も繰り返していたというのだ。

「なんで……蒼井…最悪だ……やっと、助けられたのに」

 悔しくて、苦しくて、俺は壁にもたれかかりながら、そう呟いた。

「……どうあっても、暴力は駄目だ。暴力は相手だけじゃない、君の心も傷つける」
「それで死んだら元も子もねえだろうが!!」

 八つ当たりなのはわかっている。
 それでも、やり場のない怒りを蒼井にぶつけるしかなかった。

「君が人殺しになるくらいなら、俺が死んだ方がマシだ」
「……意味わかんねぇこと…言うなよ…ぉ…」

 そう喚く俺とは裏腹に、蒼井は微笑を浮かべた。
 そのまま蒼井は、俺の体に自身の体をひっつけてきた。

「……寒いから、こうしていよう」

 寄り添って、互いの体温を感じながら、暖め合う。
 さっきより、幾分暖かい。
 蒼井はこれまで、この狭い部屋で一人で寝ていたのだ。
 それを考えると、俺はもう口を開くのをやめた。
 無駄に騒いで体力を消耗するのも馬鹿らしくなった。
 互いに縛られたまま、必死に体を寄せて、俺たちは朝が来るのを待った。



 体を床に放り投げられて、俺は目が覚めた。
 計画失敗の、次の日の朝になっていた。

 狭苦しく、物が雑多に散らかっている拠点の一室。
 どこにこんな量のメンバーがいたというのか、20人を超えるか超えないかという団員が俺たちを囲んでいた。
 蒼井は団員たちに、殴る蹴るの暴行を受けていた。
 一方俺の前には、団長が立ちはだかって、転がる俺を見下していた。

「αの処刑はあとだ。先に、『裏切り者への罰』を与えなければ、なあ水無瀬」

 団長は俺の頭を蹴り上げた。
 首が折れてしまいそうなほどの衝撃を受け、脳震盪を起こしかける。
 そのまま、団員たちが俺の下半身の拘束を取った。
 暴れる、しかし多勢に無勢。
 意味をなさない。
 そのまま、団員たちは俺のベルトをかちゃかちゃといじり、外した。
 そのまま衣服を下着ごと、ずり下ろされる。
 これから起こることを悟って、青ざめる。

「……まさかっ……!」
「『こちら側』になるなんて、みじんも思ってなかったよなぁ?」

 団長は楽しそうな声色を抑えられずに、俺に吐き捨てた。
 そのまま、すでに勃ち上がったものを俺の尻に押し当てる。
 恐怖……凶器のような剛直を、俺の内臓に突き立てようというのだ。
 慣らしもせず、濡らしもせず。

「ひ、団長…やめ……」
「その恐怖で歪む顔、そそるな」

 俺の腹の中に肉の塊を食い込ませ、一気に押し広げた。
 
「うグゥッ!あ”……かはっ……!」

 息が詰まる。
 内臓を押し上げる。
 呼吸が苦しい。

 やめてくれと、必死に喉が絞り出しても、団長が乱暴な腰の動きを緩める様子はない。

「昔っからてめえが気に食わなかったんだよ。何にも興味がないですって顔して、俺たちの崇高な活動すら愚かなものを見るような目で見やがって」
「んなことっ……してな……っ」
「でもまあ、顔だけはいうことないな。」

 団長が俺にやたらと突っかかってきたのは、俺が気に入らなかったから。
 だけど、それだけじゃないことを今になって悟った。
 下心。
 下品な視線に晒されて、不快感で嗚咽。

「お前、そんな綺麗な顔して、もしΩに生まれてたらすぐにでもレイプされて孕まされてただろうに」
「俺はっ、Ωじゃねえ……!」
「レイプされるのはΩだけだと?それこそ究極の差別だとは思わないか?水無瀬、αだって犯されりゃただのメスだ。俺たちは一番近くで見てきた、そうだろう。もちろん、βのお前だって例外じゃない」
「クソっ、やめろぉ”っ……腹が、破ける…ッ…!」
「『子宮壊れちゃう♡』くらい言えねえのか」
「βに、子宮は……ねぇ……!…ぐッ……」

 痛い。
 痛みに耐えるのに必死だ。
 だけど、後ろで蹴られている蒼井が目に入る。
 団長を押しのけて、逃げ出してしまいたい。
 でも、それは自分自身が許さなかった。
 空虚な俺自身が、初めて満たされる瞬間。
 それは、大事な人を守り切った時だと、心がそう告げていた。

「わかった、俺のことは、何してもいいから。蒼井を解放してください」
「何を言っている」
「レイプしてもいい、殺してもいい、やれというなら自爆テロだって起こす。お望みなら一生性奴隷になってやる」

 必死に体をよじらせて、俺の腹を暴力的にかき回す肉棒を引き抜く。

「奉仕して、あんたの望むままに脚でも腹でも開きっぱなしにしてやる」
「水無瀬、くんっ…!」

 蒼井が訴えかけるように俺の名前を呼んだ。
 情けなくていい。
 ヒーローじゃなくていい。
 手段なんか選んでられるか。

「だから、お願いします。コイツを解放してください。お願いします」

 土下座。
 俺は空虚だ、弱くて、何もない。
 武器もなければ、捧げられるものすらない。
 それでも、蒼井を助けることだけが、俺の最後のプライドだった。
 ここで蒼井を見殺しにしたら、俺は一生満たされないままだ。

 震えながらひたすら額を床に当て続ける俺の前髪を、団長は掴んだ。
 俺の顔に、自身の顔を近づけて、唾を吐いた。

「馬鹿だな。てめえもこのαも、のたれ死んで終わりだ」

 再び、俺の体に団長の剛直が容赦無く侵入する。
 俺はもう、何の抵抗もしなくなっていた。
 抵抗は無意味だと、悟ってしまったからだ。
 絶望。
 規則的に体を揺さぶられるたびに、体の中が壊され、心が死んでいくようだった。
 
ーーああ、もうだめだ。

 俺はそう思った。
 その瞬間、部屋の扉がバンッと大きな音を立てた。
 団員全員が、音のした扉の方を向いた。
 小柄な黒い影が、扉の向こうにいた。
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