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第二話 兄弟喧嘩は葛宮しか食わない
8 あったり前じゃないですか変態ボンボンエゴイスト!!
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「あ"ーー!もうムカつく!俺はねあんたみたいな、なんでも自分の望む通りになるって勘違いして他人に迷惑をかける我が儘金持ちが大っ嫌いなんですよ!!」
「……それは僕も含まれているのかな?」
「あったり前じゃないですか変態ボンボンエゴイスト!!」
あ、怒りに任せてたら失言したわ。
借金を肩代わりしてくれたバイトの雇用主に飛んでもないことを言った俺。
やべ、と思う前に晴瀬が思わず「ブフォw」と吹き出した。
一方水川は俺の蹴りをまともにくらって、顔を両手で押さえている、指の間からは鼻血が滴り落ちる。
さすがにやりすぎたか?
「血が……血が…………」
「……水川さん?だ、大丈夫ですか?」
「……剣、お前が悪い。全部お前のせいだ……、今度は俺まで殺すのか?なぁ?」
水川は気が狂ったように自身の鼻血を手で拭っては、汐見の顔にベトベトと擦り付けた。
ただでさえ紅潮していた汐見の顔が、血で真っ赤に汚れていく。
「ぅ……んぅ……に、さ……」
「ちょ……水川さん?」
「この人殺し……俺を一人にしやがって…………なんでお前だけ……許さない…ユルサナイ」
「久遠離れろっ!何かおかしい!」
晴瀬がそう叫び俺が思わず飛び退いた瞬間、水川は汐見の首をガッと両手で掴んで力の限り締め上げはじめたのだ。
「ぅぐっ……ぁ"……かはっ……」
「剣……死のう…………俺と一緒に…家族のもとに逝こう…………やり直そう……あの時から……剣、アイシテイル……ユルサナイ……俺が罰して…コロシテ…」
晴瀬は自身の霊感的集中力を研ぎ澄ませ、そして何かに気がついた。
分かりやすく霊などがいなかったから気がつかなかった。水川弓月がドス黒い呪いに取り憑かれていることに。
「オーナー!晴瀬さん!止めないと……」
俺は走って汐見を助けに行こうとするも、バコンと押し返される。まるで見えない壁かなにかに阻まれているようで、二人に近づけない。
「晴瀬さんっ!」
俺が呼んでも晴瀬は黙って立ち尽くしていた。
晴瀬は脳内で自身に言い聞かせる。
呪いの元凶はなんだ?何がこいつをそうさせる?もとを辿れ……呪いを解明しろ。
その時、視覚的でも聴覚的でもなく、ただ感覚的に呪いのフラッシュバックがなだれ込んできた。
水川から汐見への劣情、罪悪感、家族を失った絶望、育ての親からの虐待、屈辱、地位も金も手に入れても拭えない孤独、家族を手に入れた汐見への嫉妬、汐見が葛宮葬儀屋という居場所を見つけたことへの怒り、その全てを汐見への憎悪として膨れ上がらせて、その憎悪はついに自分自身に呪いをかけた。
その呪いは水川弓月の行動を支配している。
「結界…………かな」
葛宮も一歩と近づき手を伸ばすも、その手は見えない壁によって払い除けられる。
「くそ、こんな強い呪いすぐに解けるかっての……」
「え?あの人呪われてるんすか!?」
「久遠、呪いを解く方法を考えろ。あいつ今呪いに支配されてる」
そんなこと言ったって!
結界だかなんだか知らないけど二人に近づけもしないのにどうしろって言うんだ!
しかし晴瀬のその言葉を聞いた葛宮が目を伏せて僅かに笑みを浮かべながら口を開いた。
「汐見くん、お兄さんに本当のことを言ってあげたらどうなんだ。君がお兄さんのことをどう思っているのか」
その時目は虚ろで朦朧としている汐見が、自分に覆い被さり首を絞める兄の身体を抱き締めた。
手首は擦れて血が滲んでいた。ベッドフレームにはちぎれた荒縄が二本、だらりとかかっている。
面食らった水川の手の動きが緩んだ。
「に、いさん……俺は……あなたと家族になりたかった………いじめられたし……酷いこともたくさん言われた、けど」
「な……に……?」
「あなただけでも生きてて良かったと心の底から思った。……あなたに幸せになって欲しいと、思っています。だけど、そこに俺はいない。あなたの幸せの中に、俺はいてはいけない」
「…………」
「だから、もう許してあげてください、俺のこともあなたのことも。俺のいない世界で生きてください、これからも。」
ガラガラと、壁が崩れ去るような音を晴瀬は確かに聞いていた。
俺はというと汐見と水川の身体を力づくで引き剥がした。
葛宮は、晴瀬の言葉に聞いた時点で気がついていた。水川は自分自身への憎悪を汐見にぶつけているだけだと。でなければ汐見ではなく自分を呪う意味がわからない。
きっと汐見もそれに気づいているだろうと踏んで、焚き付けたのだった。
俺が突き飛ばすと水川は力なくベッドから転がり落ちた。
しかし先程までの異様な雰囲気は既になく、ただの一人の人間に戻ったみたいだ。呪いは消えたのだろうか。
とりあえず早くここから出ようと、俺は汐見に肩を貸す。葛宮と晴瀬もここから退散しようとする。
「……それは僕も含まれているのかな?」
「あったり前じゃないですか変態ボンボンエゴイスト!!」
あ、怒りに任せてたら失言したわ。
借金を肩代わりしてくれたバイトの雇用主に飛んでもないことを言った俺。
やべ、と思う前に晴瀬が思わず「ブフォw」と吹き出した。
一方水川は俺の蹴りをまともにくらって、顔を両手で押さえている、指の間からは鼻血が滴り落ちる。
さすがにやりすぎたか?
「血が……血が…………」
「……水川さん?だ、大丈夫ですか?」
「……剣、お前が悪い。全部お前のせいだ……、今度は俺まで殺すのか?なぁ?」
水川は気が狂ったように自身の鼻血を手で拭っては、汐見の顔にベトベトと擦り付けた。
ただでさえ紅潮していた汐見の顔が、血で真っ赤に汚れていく。
「ぅ……んぅ……に、さ……」
「ちょ……水川さん?」
「この人殺し……俺を一人にしやがって…………なんでお前だけ……許さない…ユルサナイ」
「久遠離れろっ!何かおかしい!」
晴瀬がそう叫び俺が思わず飛び退いた瞬間、水川は汐見の首をガッと両手で掴んで力の限り締め上げはじめたのだ。
「ぅぐっ……ぁ"……かはっ……」
「剣……死のう…………俺と一緒に…家族のもとに逝こう…………やり直そう……あの時から……剣、アイシテイル……ユルサナイ……俺が罰して…コロシテ…」
晴瀬は自身の霊感的集中力を研ぎ澄ませ、そして何かに気がついた。
分かりやすく霊などがいなかったから気がつかなかった。水川弓月がドス黒い呪いに取り憑かれていることに。
「オーナー!晴瀬さん!止めないと……」
俺は走って汐見を助けに行こうとするも、バコンと押し返される。まるで見えない壁かなにかに阻まれているようで、二人に近づけない。
「晴瀬さんっ!」
俺が呼んでも晴瀬は黙って立ち尽くしていた。
晴瀬は脳内で自身に言い聞かせる。
呪いの元凶はなんだ?何がこいつをそうさせる?もとを辿れ……呪いを解明しろ。
その時、視覚的でも聴覚的でもなく、ただ感覚的に呪いのフラッシュバックがなだれ込んできた。
水川から汐見への劣情、罪悪感、家族を失った絶望、育ての親からの虐待、屈辱、地位も金も手に入れても拭えない孤独、家族を手に入れた汐見への嫉妬、汐見が葛宮葬儀屋という居場所を見つけたことへの怒り、その全てを汐見への憎悪として膨れ上がらせて、その憎悪はついに自分自身に呪いをかけた。
その呪いは水川弓月の行動を支配している。
「結界…………かな」
葛宮も一歩と近づき手を伸ばすも、その手は見えない壁によって払い除けられる。
「くそ、こんな強い呪いすぐに解けるかっての……」
「え?あの人呪われてるんすか!?」
「久遠、呪いを解く方法を考えろ。あいつ今呪いに支配されてる」
そんなこと言ったって!
結界だかなんだか知らないけど二人に近づけもしないのにどうしろって言うんだ!
しかし晴瀬のその言葉を聞いた葛宮が目を伏せて僅かに笑みを浮かべながら口を開いた。
「汐見くん、お兄さんに本当のことを言ってあげたらどうなんだ。君がお兄さんのことをどう思っているのか」
その時目は虚ろで朦朧としている汐見が、自分に覆い被さり首を絞める兄の身体を抱き締めた。
手首は擦れて血が滲んでいた。ベッドフレームにはちぎれた荒縄が二本、だらりとかかっている。
面食らった水川の手の動きが緩んだ。
「に、いさん……俺は……あなたと家族になりたかった………いじめられたし……酷いこともたくさん言われた、けど」
「な……に……?」
「あなただけでも生きてて良かったと心の底から思った。……あなたに幸せになって欲しいと、思っています。だけど、そこに俺はいない。あなたの幸せの中に、俺はいてはいけない」
「…………」
「だから、もう許してあげてください、俺のこともあなたのことも。俺のいない世界で生きてください、これからも。」
ガラガラと、壁が崩れ去るような音を晴瀬は確かに聞いていた。
俺はというと汐見と水川の身体を力づくで引き剥がした。
葛宮は、晴瀬の言葉に聞いた時点で気がついていた。水川は自分自身への憎悪を汐見にぶつけているだけだと。でなければ汐見ではなく自分を呪う意味がわからない。
きっと汐見もそれに気づいているだろうと踏んで、焚き付けたのだった。
俺が突き飛ばすと水川は力なくベッドから転がり落ちた。
しかし先程までの異様な雰囲気は既になく、ただの一人の人間に戻ったみたいだ。呪いは消えたのだろうか。
とりあえず早くここから出ようと、俺は汐見に肩を貸す。葛宮と晴瀬もここから退散しようとする。
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