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第三話 異世界エレベーターと王子様
3 『異世界エレベーター』というものをご存知だろうか
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『異世界エレベーター』というものをご存知だろうか。
エレベーターに乗ってとある手順にしたがってボタンを押すと、10階で開いた扉が異世界に繋がっている、というものだ。
俺もどこかで聞いたことがあっだが、やってみようなどとはこれっぽっちも考えたことはない。
なぜなら俺、久遠京一は『憑かれ体質』だ。
超常現象や霊的な力で数々の不幸に見舞われてきた俺が、わざわざそんな危ない真似をするわけがない。
ないのだが……。
俺は今、絶賛異世界に迷いこんでいる、もとい閉じ込められている。
遡ること一週間前。
「バイトの面接ここか、なんか薄暗くておっそろしいとこだな……」
とある雑居ビル、築うん十年はいってるであろうほどボロかった。
新しいバイト先を見つけるべく、面接に赴いていたのだ。
まだ二十歳の未来ある若者のはずの俺は、葬儀屋バイトの雇い主である葛宮に200万円の借金をしている。
なぜ借金してしまったのかはまた後日語るとして、それが返済し終わるまで奴隷のようにこき使われる日々だ。
それにだ、まともなバイト先ならまぁ借金している身だから耐えたものを、葛宮葬儀屋は倫理観皆無!犯罪紛いの行為!変人の集まり!って感じで、俺のような凡人は一緒にいるだけで心労で倒れてしまう。
死体愛好家でエゴイストな葛宮、悪趣味な除霊でセクハラしてくる晴瀬、無表情で不気味な上に死体遺棄して肉じゃがにして食った汐見、冷静に説明するとロクでもないな。
少しでも早く借金を返済し、葛宮葬儀屋から解放されるべく、俺は新しいバイトを探し始めたのだった。
その葛宮葬儀屋の机においてあったとあるオカルト雑誌、暇をもて余してペラペラとページをめくると、時代遅れとも思われるアナログな求人広告が載っていたのだ。
その中から高時給で負担の少なくて、比較的まともそうなところを見つけ出し、面接に来たのだが……。
あまりに汚く古い雑居ビルに恐怖、エレベーターなんて乗ったら最後、落下してしまうのではないか。
リアルタワーオブテラーにはなりたくない。
俺はエレベーターが嫌いだ、幽霊に憑かれたことが原因の不幸体質に見舞われている俺は、10回に1回ほどの確率でエレベーターが止まるのだ。
どうせ目的地は3階だし階段を使うか……。
そう思って階段に向かうと、そこにはテープが張られており、『清掃中につき、エレベーターをご使用ください』などと書かれてある。
なんとしてでも階段を使わせたくないらしい、しょうがなくエレベーターに乗った。
こんな古煤けた感じなのに、エレベーターの端には防災グッズが据え置かれていた。最近はコンプラ厳しいもんな。
昔懐かしい、昭和感漂う黒い電子の文字盤に緑でデジタル数字が浮かび上がる。
1……
2……
3階を示すより前に、文字盤が真っ暗になった。
え?
空間全体がガクンッと大きく振動して、ピタリと静止。
「ちょ、は?まさかほんとに?」
うんともすんとも言わなくなってしまった……。
あ"あ"あ"あ"あ"!!!
また大事なときにこれだよ!
……まぁいい、エレベーターの故障なら多少の遅刻も許してくれるだろう。
通算30回以上はエレベーターの故障に直面してる俺は、淡々と非常ボタンを押した。
ほどなくして、通話が繋がった。
『どうされましたか~』
「すいませーん、エレベーター止まっちゃって」
『そうですか。今確認に向かいますね、30分ほどかかるかと思います~』
エレベーター管理番号やら自身の名前やらを伝えると、通話が切れた。
面接先に遅刻を断っておかなければと電話をするが。
「圏外か……」
電話は繋がらない。
しょうがなく俺は待った。
待ち続けた。
そして1時間が経過した。
おっそくねぇ!?
まあ10分くらいは遅れることもあるだろうよ!だけど30分の遅刻はおかしいだろ!?
俺はしびれを切らして再度非常ボタンを押した。
『はい』
「あの…もう一時間待ってるんですけど……」
『……該当のエレベーターは問題なく動いていました』
「はい?」
『今度いたずらしたら法的手段を取ることになりますよ』
……いやいやいや、現に今閉じ込められてるんだが!?
「ちょ!どういう?いたずらじゃなくてほんとに止まってるんですけど!?」
俺の叫びも虚しく、通話中は無慈悲に切れた。
もしもだ、この係員がイカれている訳ではないのなら俺は今どこにいることになる?
エレベーターの2階と3階で閉じ込められて、しかしそのエレベーターは外の世界では問題なく動いているらしい。つまりここは『異世界』とか言いようがないじゃないか。
都市伝説の異世界エレベーターは、最終的に着いた先が異世界だという話だ。しかし、エレベーターそのものが異世界というパターンもあるのかもしれない。
「まあ……どうにかなるか」
今まであらゆる不幸に巡り会いすぎたせいか、既に俺は受け入れ態勢になっていた。どうせ面接は遅刻だし。
一人暮らしだから家族は頼れないとしても、俺が姿を見せなければ大学の友人や葛宮葬儀屋の人間たちが不審に思うだろう。
晴瀬さんもいるし、霊の仕業だったら解決してくれるに違いない。
俺は内心ワクワクしながら、非常用の災害ボックスに手を掛けた。良かった~こんなボロエレベーターにもこんな用意のいいものがあって。
中にはクッキーや保存水、簡易トイレ等が入っていた。この分だと5日は持つな、そんなことにはならないことを祈ってはいるが……。
エレベーターに乗ってとある手順にしたがってボタンを押すと、10階で開いた扉が異世界に繋がっている、というものだ。
俺もどこかで聞いたことがあっだが、やってみようなどとはこれっぽっちも考えたことはない。
なぜなら俺、久遠京一は『憑かれ体質』だ。
超常現象や霊的な力で数々の不幸に見舞われてきた俺が、わざわざそんな危ない真似をするわけがない。
ないのだが……。
俺は今、絶賛異世界に迷いこんでいる、もとい閉じ込められている。
遡ること一週間前。
「バイトの面接ここか、なんか薄暗くておっそろしいとこだな……」
とある雑居ビル、築うん十年はいってるであろうほどボロかった。
新しいバイト先を見つけるべく、面接に赴いていたのだ。
まだ二十歳の未来ある若者のはずの俺は、葬儀屋バイトの雇い主である葛宮に200万円の借金をしている。
なぜ借金してしまったのかはまた後日語るとして、それが返済し終わるまで奴隷のようにこき使われる日々だ。
それにだ、まともなバイト先ならまぁ借金している身だから耐えたものを、葛宮葬儀屋は倫理観皆無!犯罪紛いの行為!変人の集まり!って感じで、俺のような凡人は一緒にいるだけで心労で倒れてしまう。
死体愛好家でエゴイストな葛宮、悪趣味な除霊でセクハラしてくる晴瀬、無表情で不気味な上に死体遺棄して肉じゃがにして食った汐見、冷静に説明するとロクでもないな。
少しでも早く借金を返済し、葛宮葬儀屋から解放されるべく、俺は新しいバイトを探し始めたのだった。
その葛宮葬儀屋の机においてあったとあるオカルト雑誌、暇をもて余してペラペラとページをめくると、時代遅れとも思われるアナログな求人広告が載っていたのだ。
その中から高時給で負担の少なくて、比較的まともそうなところを見つけ出し、面接に来たのだが……。
あまりに汚く古い雑居ビルに恐怖、エレベーターなんて乗ったら最後、落下してしまうのではないか。
リアルタワーオブテラーにはなりたくない。
俺はエレベーターが嫌いだ、幽霊に憑かれたことが原因の不幸体質に見舞われている俺は、10回に1回ほどの確率でエレベーターが止まるのだ。
どうせ目的地は3階だし階段を使うか……。
そう思って階段に向かうと、そこにはテープが張られており、『清掃中につき、エレベーターをご使用ください』などと書かれてある。
なんとしてでも階段を使わせたくないらしい、しょうがなくエレベーターに乗った。
こんな古煤けた感じなのに、エレベーターの端には防災グッズが据え置かれていた。最近はコンプラ厳しいもんな。
昔懐かしい、昭和感漂う黒い電子の文字盤に緑でデジタル数字が浮かび上がる。
1……
2……
3階を示すより前に、文字盤が真っ暗になった。
え?
空間全体がガクンッと大きく振動して、ピタリと静止。
「ちょ、は?まさかほんとに?」
うんともすんとも言わなくなってしまった……。
あ"あ"あ"あ"あ"!!!
また大事なときにこれだよ!
……まぁいい、エレベーターの故障なら多少の遅刻も許してくれるだろう。
通算30回以上はエレベーターの故障に直面してる俺は、淡々と非常ボタンを押した。
ほどなくして、通話が繋がった。
『どうされましたか~』
「すいませーん、エレベーター止まっちゃって」
『そうですか。今確認に向かいますね、30分ほどかかるかと思います~』
エレベーター管理番号やら自身の名前やらを伝えると、通話が切れた。
面接先に遅刻を断っておかなければと電話をするが。
「圏外か……」
電話は繋がらない。
しょうがなく俺は待った。
待ち続けた。
そして1時間が経過した。
おっそくねぇ!?
まあ10分くらいは遅れることもあるだろうよ!だけど30分の遅刻はおかしいだろ!?
俺はしびれを切らして再度非常ボタンを押した。
『はい』
「あの…もう一時間待ってるんですけど……」
『……該当のエレベーターは問題なく動いていました』
「はい?」
『今度いたずらしたら法的手段を取ることになりますよ』
……いやいやいや、現に今閉じ込められてるんだが!?
「ちょ!どういう?いたずらじゃなくてほんとに止まってるんですけど!?」
俺の叫びも虚しく、通話中は無慈悲に切れた。
もしもだ、この係員がイカれている訳ではないのなら俺は今どこにいることになる?
エレベーターの2階と3階で閉じ込められて、しかしそのエレベーターは外の世界では問題なく動いているらしい。つまりここは『異世界』とか言いようがないじゃないか。
都市伝説の異世界エレベーターは、最終的に着いた先が異世界だという話だ。しかし、エレベーターそのものが異世界というパターンもあるのかもしれない。
「まあ……どうにかなるか」
今まであらゆる不幸に巡り会いすぎたせいか、既に俺は受け入れ態勢になっていた。どうせ面接は遅刻だし。
一人暮らしだから家族は頼れないとしても、俺が姿を見せなければ大学の友人や葛宮葬儀屋の人間たちが不審に思うだろう。
晴瀬さんもいるし、霊の仕業だったら解決してくれるに違いない。
俺は内心ワクワクしながら、非常用の災害ボックスに手を掛けた。良かった~こんなボロエレベーターにもこんな用意のいいものがあって。
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