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16* 淫紋

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「はー、召喚されたから忘れたってことか?」
「わからない。断片的に思い出すような、思い出さないような。誰かに仕えていたような気がするが、誰かもわからない。この村に伝説として残っていた理由もわからない。村長に一度詳細を聞いたほうがいいかもしれないな。」
「そうだな、俺もお前の記憶が戻るように協力する。」
「そんなことはいい、自分のことに集中しろ。お前、風呂入って来たらどうだ。」
「ああ、そうだな。早く寝たいし!」

俺は備え付けの寝間着やタオルを用意して、いそいそと風呂場へ入った。時代を感じるような街だったから、設備が整っていないかと心配したが、思ったよりちゃんとしていた。

シャワーを頭からかぶりながら、俺は今日のことを思い返した。にわかには信じがたいが、信じざるを得ない状況が俺を余計に困惑させる。何度も夢かドッキリかと考えたがどちらでもないようだ。困惑していてもどうしようもない。俺がやるべきことは、いち早くこの世界に馴染んで、伝説の魔導師として任務を遂行して、帰り方を見つけるだけだ。


「ふぅ~、いいお湯だった。お先でーす。」
「帰って来たか。」
「シャワーとかもちゃんとしてんだなー、海外だと水圧弱かったりするら、とわぁっ!?」

頭をタオルで拭きながら歩いていたところを、突然腕を掴まれてベッドに引きづり込まれて上に乗られた。美しすぎる銀色の瞳と髪、鼻筋の通った誰がみても美形な顔がすぐ目の前まで近づいてきて俺は思わず息を飲んだが、すぐにこの異常な状況を自覚した。

「おい何すんだよイサゴ。」
「性奴隷」
「ひっ!」

イサゴが俺の耳元で囁くと左手の淫紋からゾクゾクと何かが迫り上がる。それと同時に俺の腹をつつつと撫でる。

「夜のホテルだぞ。お前にできる仕事はこれくらいのものだろう。初仕事だ、喜べ。」
「はあ!?こんな状況で盛ってんじゃねえよ!」
「性奴隷の分際で気を削ぐようなこと言うな。」

薄桃色だった淫紋は濃い紅色に変わって、ズクズクと疼く。左手から下っ腹、脳に快感が直撃する。ちょっと待て、頭がぼーっとする。心臓がどくどくと痛いくらいに脈打つ。荒い呼吸を抑えられない。

「ちょ、はーっ、はーっ♡なんら、これっ?」
「ふっ、だらしなく舌を突き出して、奴隷らしくなったな。」
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