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新宿アイル
新宿アイル(6)
しおりを挟むPrototyped Next-Generation Ldufreide: RIGNA (RE-registered as LOESIAU BLIU).
——オーラによって書き換えられたリグナの説明だ。
「ねえ」
ハルは、モジャコの頭の上のジシェに質問した。
「ロエシア・ブリーウって、なんて意味?」
「『青い鳥』でござる」
(そういうことか)
ハルはリグナを呼んだ。
「ちょっとここへ来てくれる?」
「?」
ほんじゃらけー。
ててててて、とやってきたリグナに後ろを向いてもらって、ハルは携帯大幣を高く差し上げた。
淡い紫苑の髪をまとめるバレッタは輝き、そしてそこからある立体が浮かび上がる。
それは正十二面体で、三ノ輪橋の跡で出現したものと同じように、しかし、それよりずっと激しくきらめき、回転しながら空中に浮かび上がった。
まやかしのメモリーカードを残した6つ目の〈追憶のカケラ〉が虚像なのだとしたら、リグナから現れたこの〈追憶のカケラ〉が真像だったということ。
立体がきらめく粒子になって四散すると、ハルの手のひらには碧いメモリーカードがゆっくりと降りてきた。
(本当に大切なものはずっと近くにあった……)
たぶんリグナこそが、時空の背反に巻き込まれて存在が失われていくなか、オーラが想いを預けた〈追憶のカケラ〉そのものなのだろう。
ほかに何の機能もなければヒト型機械兵として必要なものでもない。
だけど、オーラはリグナをいとおしく思っていたからこそ、その髪と同じ色のメモリーカードをバレッタとして残したのだ。
ところで、ここで問題。
どうしてコルヴェナは秋葉原に来ることができたのでしょう?
ヒント。
①携帯大幣が〈追憶のカケラ〉に接近するとある種の共鳴が起こる。
②秋葉原で目標地点にたどりつく以前、ハルは駅のまわりをウロウロしていた。
③リグナは、秋葉原駅中央改札口北側にある広場に埋まっていたらしい。
答え:
携帯大幣がリグナという〈追憶のカケラ〉に接近して共鳴を発生させていたから。
ハルは、碧いメモリーカードをリグナの背面拡張コンソールの挿入口に入れた。
「あった……、円環コアのセキュリティ解除コード……」
そしてそれとは別に、オーラが残したもうひとつの可能性を見つけてハルは声を漏らした。
「ロートの追憶への交信……」
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