新宿アイル

 遥か6100万光年の彼方から、いつの間にか東京の地下に空間転移していた〈ロートの追憶〉。

 半世紀前、その〈ロートの追憶〉を奪うため、〈ルジェ〉は、円環(ロンド)と呼ばれる巨大な円形地下空間を構築したが、その計画は失敗した。

 しかし円環(ロンド)はいまだ健在。

 〈追憶のカケラ〉とは、その円環(ロンド)を復活させるための鍵。

 再び強奪を目論む〈ルジェ〉が送り込んだ、ロカとコルヴェナの兄妹、そしてヒト型機械兵ガルバルデのデッサが狙う。

 祖父の指示に従い、秋葉原に来たハルは、そのコルヴェナとガルバルデに遭遇する。

 そして、コルヴェナたちを追って空間転移してきたジシェと、たまたま居合わせた同級生のモジャコとともに、都内に散らばる〈追憶のカケラ〉を集めることになる。

 ピンチに現れ、ハルたちを救ったのは、旧式のヒト型機械兵ルドゥフレーデ、リグナ。

 リグナの能力は少しずつ覚醒し、デッサを上回っていく――が、そもそもは、リグナもまた〈ルジェ〉が持ち込んだもの。

 半世紀前、円環(ロンド)の稼働を阻止したのは〈テヴェ〉のオーラという人物であり、そのオーラに、廃棄されかかっていたところを救われたから、リグナはいまハルたちを助けているらしい。

 けれども、その証はどこにもない。
 かすかに生まれた疑念は、ハルの中でどんどん膨らんでいく。

 彼女は自分たちを欺いているのではないか?

 ただ、再び訪れたピンチを救ってくれたのもまた、リグナだった……。

 真実がどちらにあるのかは誰にもわからない。
 堂々巡りで考えたところで答えはなく、最後は信じるか信じないかの二択でしかない。

 信じられずに後悔するくらいなら、騙され欺かれて後悔したほうがいい――と、ハルは心を決めるだった。

 都内に散らばる〈追憶のカケラ〉に、6100万光年と半世紀前の記憶と想いが重なる物語。

※2021.08.12: 挿し絵 (画像) の枚数制限 (1作品につき200枚まで) の関係で分けていた「新宿アイル(5章以降)」をこちらに集約しました (詳細は各章の変更履歴を参照)。
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