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今日は楓とデートをする日。
自主練を早めに切り上げて事務所まで迎えにきてくれた楓の車に乗った。車内では課題曲のカラオケを掛けて練習する。楓が運転しながらニコニコ聞いてくれて尚更伸び良く歌うことができるから好きな時間でもある。練習生への理解もあって本当に完璧な人だなぁ
カフェに到着して、大好きな抹茶のチーズケーキとカフェラテを前に僕はさりげなく会話を切り出した。勿論デビューの件である。ちなみに情報漏洩について書かれた記事は確認済み。7人組のボーイズグループらしいが丁度今のAクラスも7人だ。ただそれに自分が含まれていると考えるのは烏滸がましすぎるが...
「もし僕がデビューしたらこの婚約はどうなるんだろう」
コーヒーを飲む楓の動きが止まる。
「婚約は契約通り破棄じゃないかな」
「そうだよ、ね。」
「もしかしてあの記事を見たの?」
「うん」
「デビューは緋夏の夢だったんだから叶うと良いね」
幼い頃からテレビに齧り付いてアイドルのライブDVDを観ていた僕を知っている楓は僕の夢を応援してくれている。楓のことが恋愛的な意味で好きな僕としては複雑な気持ちだけど。
「もし僕がデビューして婚約が無くなった楓はイケメンだからすぐに良い恋人が見つかるんだろうな」
勝手にネガティブな思考を口に出しながらストローでカフェラテの氷を突く。ずっと昔から一緒にいるから本音がどんどん出てきてしまう。
昔から異常なほど懐いているから僕が恋愛的な意味で好いていることに楓はとっくに気付いているはず。だけど彼から直接的な言葉を貰ったことがない。でも過保護だし優しいし、僕のことが好きなんじゃないかと思う振舞いも多い。つまりアイドルの人生を取れるよう一線を超えないようにしてくれているのだろうと踏んでいる。
まぁ婚約破棄した瞬間恋人作ってたら自分の勘の悪さに笑えるな
「緋夏は僕が他人と結婚して良いの?」
「嫌に決まってるじゃん。そんなポっと出の奴認めないよ。でもデビューしたい。アイドルになりたい。僕って本当に欲張りだ...」
アイドルと恋愛は常に対極に位置して、絶対に両立なんて出来ないのに。
そして何方かを取るなら、楓には申し訳ないけれどアイドル人生を取る。それが僕だ。
「そんなことないよ。頑張り屋の緋夏は全部手に入れられる。アイドル人生も、僕もね」
「いや、冷静に考えて無理なんだよ...」
「無理じゃないよ。いずれ答え合わせはできるさ」
暗に“僕たちは結婚できる”と匂わす言葉にときめいてしまう。アイドルの夢も後押ししてくれて、僕の不安まで消してくれて。楓はいつもスマートだ。未来はどうなるか分からないけれど、さっきまであった胸のモヤモヤが無くなったことは確かだ。嬉しくなって追加のデザートを食べようと席を立った時、楓が何かを呟いたが上手く聞き取れなかった。
「緋夏の願いは僕が全部叶えてあげる」
「ん?なんて?」
「なんでもないよ。」
自主練を早めに切り上げて事務所まで迎えにきてくれた楓の車に乗った。車内では課題曲のカラオケを掛けて練習する。楓が運転しながらニコニコ聞いてくれて尚更伸び良く歌うことができるから好きな時間でもある。練習生への理解もあって本当に完璧な人だなぁ
カフェに到着して、大好きな抹茶のチーズケーキとカフェラテを前に僕はさりげなく会話を切り出した。勿論デビューの件である。ちなみに情報漏洩について書かれた記事は確認済み。7人組のボーイズグループらしいが丁度今のAクラスも7人だ。ただそれに自分が含まれていると考えるのは烏滸がましすぎるが...
「もし僕がデビューしたらこの婚約はどうなるんだろう」
コーヒーを飲む楓の動きが止まる。
「婚約は契約通り破棄じゃないかな」
「そうだよ、ね。」
「もしかしてあの記事を見たの?」
「うん」
「デビューは緋夏の夢だったんだから叶うと良いね」
幼い頃からテレビに齧り付いてアイドルのライブDVDを観ていた僕を知っている楓は僕の夢を応援してくれている。楓のことが恋愛的な意味で好きな僕としては複雑な気持ちだけど。
「もし僕がデビューして婚約が無くなった楓はイケメンだからすぐに良い恋人が見つかるんだろうな」
勝手にネガティブな思考を口に出しながらストローでカフェラテの氷を突く。ずっと昔から一緒にいるから本音がどんどん出てきてしまう。
昔から異常なほど懐いているから僕が恋愛的な意味で好いていることに楓はとっくに気付いているはず。だけど彼から直接的な言葉を貰ったことがない。でも過保護だし優しいし、僕のことが好きなんじゃないかと思う振舞いも多い。つまりアイドルの人生を取れるよう一線を超えないようにしてくれているのだろうと踏んでいる。
まぁ婚約破棄した瞬間恋人作ってたら自分の勘の悪さに笑えるな
「緋夏は僕が他人と結婚して良いの?」
「嫌に決まってるじゃん。そんなポっと出の奴認めないよ。でもデビューしたい。アイドルになりたい。僕って本当に欲張りだ...」
アイドルと恋愛は常に対極に位置して、絶対に両立なんて出来ないのに。
そして何方かを取るなら、楓には申し訳ないけれどアイドル人生を取る。それが僕だ。
「そんなことないよ。頑張り屋の緋夏は全部手に入れられる。アイドル人生も、僕もね」
「いや、冷静に考えて無理なんだよ...」
「無理じゃないよ。いずれ答え合わせはできるさ」
暗に“僕たちは結婚できる”と匂わす言葉にときめいてしまう。アイドルの夢も後押ししてくれて、僕の不安まで消してくれて。楓はいつもスマートだ。未来はどうなるか分からないけれど、さっきまであった胸のモヤモヤが無くなったことは確かだ。嬉しくなって追加のデザートを食べようと席を立った時、楓が何かを呟いたが上手く聞き取れなかった。
「緋夏の願いは僕が全部叶えてあげる」
「ん?なんて?」
「なんでもないよ。」
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