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第一話 フィーとレイフ
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フィーは第二王子レイフの婚約者である。
昔は仲が良かったが、最近は口も聞いていない。
今日も定例の茶会であるのに王子は姿を見せなかった。
「フィー様、そろそろ。」
城から付けられた従者に声をかけられておずおずと席を立った。
定例の茶会をすっぽかされるのはこれで何度目だろうか。
きっとまた、王子に相手にされない可哀想な婚約者をという事で、噂になるのだろう。
それでもフィーはレイフのことを信じていた。
レイフは少し人にどうみられているのかというところを気にしないところがある。
きっと、今日も魔法の研究がのっていてつい時間が過ぎてしまったのだろう。そして、婚約者に定例の茶会をすっぽかされるとどんな噂が流れるのか、と言うことに思い至らないのだ。
レイフは昔からそう言うところがあった。
きちんとすればイケメンなのに、髪はいつもボサボサで便利だからと平民のような格好をしている。
フィーはレイフのそういうところを憎からず思っていた。しかし、それでも、もう少し気を遣ってくれてもいいと思うのだけど。
そう思いなが馬車に乗り込んだ。
レイフは王宮の魔法使いをしている。
まだ18だというのに既に頭角をあらわしており、筆頭魔法使いになるのは時間の問題だと目されていた。
フィーは魔法のことはよくわからない。だから、そんなレイフの邪魔はしたくなくて、強く出れないでいた。
茶会をすっぽかされて数日後、フィーは夜会に参加していた。王子が参加を免除されるのに婚約者が参加必須なんて理不尽だと思う。
レイフは今日も研究で忙しいのか夜会には参加していない。フィーはエスコートもなく一人で入場した。
以前は必ず出なくてはならない公式行事の夜会の際にエスコートできない場合は、謝罪の手紙が届いていた。しかし、最近ではそれすら届かなくなった。
レイフ様がああでいらっしゃるからこそ、私が社交を頑張らないといけないのよね。
フィーはそう思って心を強く持った。
「ほら、あの方。またお一人で参加されていらっしゃるわ」
「そのうち、婚約も解消になるんじゃなくって?」
「定例のお茶会にも殿下は出てらっしゃらないようよ」
心ない人たちの噂話が耳に入る。
王子に嫁ぐ身であればそのくらい笑って跳ね除けなければならない。
しかし、この夜会では笑ってなどいられないことが起こった。
レイフが別の令嬢をエスコートして会場に現れたのだ。
フィーは身体が震えるのを何とか抑え、レイフを見た。
レイフも気付いたようでフィーに近づいてくる。
もういっそ、無視してくれたら良いのに。
周囲が注目しているのがわかった。
レイフが近付いてくるのが永遠のように感じた。
「やぁ、久しぶり。フィーも参加していたんだね?」
レイフは何事もなかったようにフィーに話しかけてきた。
王宮の夜会で他の令嬢をエスコートするということがどういうことなのかわからないのだろうか?
「お久しぶりでございます。ミッドサマーの夜会ですので王妃殿下から必ず出るようにと仰せつかっておりますれば。」
そう言って腰を折る。
「そんなに改まらなくていいよ。そうか、今日は夏至だったんだね。」
レイフがフィーを見る瞳はいつものように優しい。
それが逆にフィーの心を蝕んだ。
すると後ろから声がかかる。
「レイフ様。今日はわたくしをエスコートしてくださるのではなかったのですか?」
「あぁ、そうだったね。フィーこちら、研究室の同僚のジャニスだよ。ジャニス、こちらは婚約者のフィー。」
「はじめまして。プレップ国のスチュアート侯爵家のジャニスと申します。レイフ様には研究室でお世話になっております。」
ジャニスはそう言ってお辞儀をする。しかし、フィーから目を逸らすことはなく全てを見透かした猫のような顔でニヤリと笑った。
「はじめまして。アンダーソン公爵の長女、フィービーに御座います。以後お見知り置きを。」
フィーはそう言うのがやっとだった。
ジャニスはプラチナブロンドのゴージャスな美女でどこからどう見てもフィーは負けていた。
彼女の青色のドレスはレイフ様の目の色に合わせたのかしら。とても洗練されていて大人っぽくて、レイフ様にはお似合いだった。
レイフ様も彼女のためならきちんと髪をセットなさるのね。
黒髪のレイフとプラチナブロンドのジャニスが並ぶとまるで夜と月の精霊のようにしっくりきていた。
それに引き換え、フィーは平凡な栗色の髪でパッとしない。ドレスもフィーには似合っているが少女趣味でジャニスのドレスのように洗練されていない。
夜会への参加はフィーにとって公務である。
途中にあるミッドサマーの式典までは会場に居なければならず、レイフとジャニスの姿を見るハメになった。
レイフが何かを言ってジャニスが笑い、ジャニスが差し出した食事をレイフが食べる。そんな光景を見るのは流石のフィーでも胸が痛んだ。
昔は仲が良かったが、最近は口も聞いていない。
今日も定例の茶会であるのに王子は姿を見せなかった。
「フィー様、そろそろ。」
城から付けられた従者に声をかけられておずおずと席を立った。
定例の茶会をすっぽかされるのはこれで何度目だろうか。
きっとまた、王子に相手にされない可哀想な婚約者をという事で、噂になるのだろう。
それでもフィーはレイフのことを信じていた。
レイフは少し人にどうみられているのかというところを気にしないところがある。
きっと、今日も魔法の研究がのっていてつい時間が過ぎてしまったのだろう。そして、婚約者に定例の茶会をすっぽかされるとどんな噂が流れるのか、と言うことに思い至らないのだ。
レイフは昔からそう言うところがあった。
きちんとすればイケメンなのに、髪はいつもボサボサで便利だからと平民のような格好をしている。
フィーはレイフのそういうところを憎からず思っていた。しかし、それでも、もう少し気を遣ってくれてもいいと思うのだけど。
そう思いなが馬車に乗り込んだ。
レイフは王宮の魔法使いをしている。
まだ18だというのに既に頭角をあらわしており、筆頭魔法使いになるのは時間の問題だと目されていた。
フィーは魔法のことはよくわからない。だから、そんなレイフの邪魔はしたくなくて、強く出れないでいた。
茶会をすっぽかされて数日後、フィーは夜会に参加していた。王子が参加を免除されるのに婚約者が参加必須なんて理不尽だと思う。
レイフは今日も研究で忙しいのか夜会には参加していない。フィーはエスコートもなく一人で入場した。
以前は必ず出なくてはならない公式行事の夜会の際にエスコートできない場合は、謝罪の手紙が届いていた。しかし、最近ではそれすら届かなくなった。
レイフ様がああでいらっしゃるからこそ、私が社交を頑張らないといけないのよね。
フィーはそう思って心を強く持った。
「ほら、あの方。またお一人で参加されていらっしゃるわ」
「そのうち、婚約も解消になるんじゃなくって?」
「定例のお茶会にも殿下は出てらっしゃらないようよ」
心ない人たちの噂話が耳に入る。
王子に嫁ぐ身であればそのくらい笑って跳ね除けなければならない。
しかし、この夜会では笑ってなどいられないことが起こった。
レイフが別の令嬢をエスコートして会場に現れたのだ。
フィーは身体が震えるのを何とか抑え、レイフを見た。
レイフも気付いたようでフィーに近づいてくる。
もういっそ、無視してくれたら良いのに。
周囲が注目しているのがわかった。
レイフが近付いてくるのが永遠のように感じた。
「やぁ、久しぶり。フィーも参加していたんだね?」
レイフは何事もなかったようにフィーに話しかけてきた。
王宮の夜会で他の令嬢をエスコートするということがどういうことなのかわからないのだろうか?
「お久しぶりでございます。ミッドサマーの夜会ですので王妃殿下から必ず出るようにと仰せつかっておりますれば。」
そう言って腰を折る。
「そんなに改まらなくていいよ。そうか、今日は夏至だったんだね。」
レイフがフィーを見る瞳はいつものように優しい。
それが逆にフィーの心を蝕んだ。
すると後ろから声がかかる。
「レイフ様。今日はわたくしをエスコートしてくださるのではなかったのですか?」
「あぁ、そうだったね。フィーこちら、研究室の同僚のジャニスだよ。ジャニス、こちらは婚約者のフィー。」
「はじめまして。プレップ国のスチュアート侯爵家のジャニスと申します。レイフ様には研究室でお世話になっております。」
ジャニスはそう言ってお辞儀をする。しかし、フィーから目を逸らすことはなく全てを見透かした猫のような顔でニヤリと笑った。
「はじめまして。アンダーソン公爵の長女、フィービーに御座います。以後お見知り置きを。」
フィーはそう言うのがやっとだった。
ジャニスはプラチナブロンドのゴージャスな美女でどこからどう見てもフィーは負けていた。
彼女の青色のドレスはレイフ様の目の色に合わせたのかしら。とても洗練されていて大人っぽくて、レイフ様にはお似合いだった。
レイフ様も彼女のためならきちんと髪をセットなさるのね。
黒髪のレイフとプラチナブロンドのジャニスが並ぶとまるで夜と月の精霊のようにしっくりきていた。
それに引き換え、フィーは平凡な栗色の髪でパッとしない。ドレスもフィーには似合っているが少女趣味でジャニスのドレスのように洗練されていない。
夜会への参加はフィーにとって公務である。
途中にあるミッドサマーの式典までは会場に居なければならず、レイフとジャニスの姿を見るハメになった。
レイフが何かを言ってジャニスが笑い、ジャニスが差し出した食事をレイフが食べる。そんな光景を見るのは流石のフィーでも胸が痛んだ。
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