出来損ないのアルファ

ゴールデンフィッシュメダル

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「マーロはまだ死んでるのかい?」

大学近くのカフェで項垂れていると通りがかったベンが呆れたように言う。

「一度日本に帰って状況を確かめたらどうだい?」

「それ、今心のなかでどうするか天使と悪魔がせめぎあってるところ。」

「何をせめぎ合うことがあるのさ?」

直接会えないなら、SNSのサーバーをハッキングして彼の通信端末を特定し、次に通信会社の位置データをハッキングして彼がどこで何をしているのか逐一確かめたい衝動に駆られている。

自宅のハイスペックマシンの前に居たら絶対にやってしまう。

だからあまり家に帰らないようにしている。

それでも気になってSNSばかり見てしまうのだからどうしようもない。

ピロリンと音が鳴ってSNSにDMが届く。

「マーロまた危険な遊びをしてるのかい?」
「マッチングアプリはもうやめたよ。今のはただのフォロワー。」
「でも、会ったりするんだろ?」
そういうの危険だよ、とベンはいう。

でも何かしていないと犯罪者になりそうなんだ。
むしろ誰か俺を殺してくれとも思う。


そんなことを考えていると、懐かしい彼の匂いがしたような気がした。


きっと彼のことを思いすぎて頭がおかしくなったんだ。目の前に彼の幻覚が見える。

もうだいぶ長い間まともに寝てないからだろうか。彼も俺の方を見ている。視線と視線がぶつかり合ってまるで恋人同士のようだ。

こんな、俺に都合のいい現実あるわけがない。

手を伸ばしてみると触れることができた。
頬に手を伸ばす。しっとりとしたきめ細やかな肌に触れた。信じられないくらい心地いい肌触りだった。

あぁ、きっとこれは夢だ。そうに違いない。
夢ならキスをしても許されるだろうか。

ふと彼の瞳を見つめると彼の瞳がうるうると潤んでいる。その揺れる瞳の奥にある仄暗い熱情を見逃さなかった。彼も俺を求めている。

口付けをした。もう何も考えられなかった。彼と触れたい。彼の肌を堪能したい。彼のからだの隅々まで知り尽くしてイイトコロをたくさん探したい。ドロドロに溶かして気持ちいいことをたくさんしたい。

彼の耳に舌を這わせるとそれだけで彼はビクッとした。耳の穴の中に舌を入れるとさらに感じているようだった。

「あっ、あっ、みみだめぇ」

手で耳を触ってあげながら首筋に舌を這わす。すると彼がまだぞわりと身震いした。
首筋からはとんでもなくいい匂いがしていてそれを堪能するために深呼吸をすると頭がクラクラした。

耳を弄んでいた手をシャツの下に侵入させるとおへそから脇腹、脇腹から脇の方へと触れるか触れないかというくらいの強さで這わせる。それと同時にシャツを捲り上げる。
彼の美しい素肌とともにピンク色の乳首が露わになった。

俺は思わずごくりと唾を飲み込んだ。
これまで彼の痴態は何度も夢に見た。しかしこの夢はとてもリアルでいつもの想像を遥かに超えて素晴らしかった。

「想像以上だ」

俺はそう呟くと右の乳首にむしゃぶりついた。



気付くと自宅に居て一人ベッドに横になっていた。
久しぶりにゆっくり寝たと思いながら窓を見るとあたりは薄暗かった。
長い夢を見た気がする。

いつ家に帰ったのか記憶がない。
カフェで彼の夢を見てそれからどうしたっけ?

すんと匂いを嗅ぐとまだ彼の匂いが部屋に充満している気がする。
ベッドルームの隣のリビングに行くとその惨状に驚いた。
テーブルの上は荒れ、書籍は床に散らばり、観葉植物は薙ぎ倒されていた。

それを見たと同時に流れ込んでくる記憶。
デーブルの上で睦合い、本棚に背中を預けた彼を何度も突き上げた。そして、ベッドルームへの移動の時にいわゆる駅弁の体制で移動し、彼の足が観葉植物に引っかかって倒れた気がする。

彼はここに居たのか?
何日過ごした?
アルファがオメガより疲れて寝こけているなんて情けない。

冷静になれ。
日本へはそう簡単には帰れない。
日本から来たなら航空券を予約しているはず。そう思って航空会社の搭乗者名簿をハッキングする。3つ目の航空会社でヒットした。ボストンをたつのが2日後。帰国は3日後だ。

と言うことはまだボストンのどこかに泊まっているはずだ。
ボストン市内のホテルの宿泊客情報を次々にハッキングしていった。

そして、2時間後、彼の宿泊しているホテルを見つけた。

タクシーを呼び、タクシーが来るまでの間にシャワーを浴びた。髭を剃り、ゼリー飲料を飲み干す。

部屋を出るとあたりはぼんやりと明るくなってきていた。にゃあと猫が鳴いた。

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