【完結】転生王子は、今日も婚約者が愛しい

珊瑚

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「騙された?盛ってない?……まさか!もう言い逃れは済んだか?」
「本当に私、知らなくて……」

ジュリーは、ステファンの言葉に、心底傷ついたかのような様子を演出している。
だが、その態度も、ステファンの一言によって凍りつくことになる。


「そうか。お前はあくまでその態度をつらぬくのだな?まあいい。証拠映像がある。」
「……は?」
「本来抜け出す必要のないタイミングでぬけ出しただろう?不自然に思ったから後をつけさせてもらった。購入していたところもしっかりと記録されているぞ。もちろんお前に『恋の秘薬』を売った店の店主も投獄されている。望むのならばここで、この場で今すぐ、皆に見えるように後悔するが?」

想定外の事態に、ジュリーはただ小さく首を横に振ることしかできない。


「お前がわたしに『恋の秘薬』を盛ったのは、あの日の翌日のマドレーヌだろう?残念だったな。先に打ち消すための魔法薬を飲んでいたおかげで今もこうしていられる。」
「そんなの……嘘だわ……!映像に残っていたとしても、それが私が騙されていないことの証明にはならないわ!私は……ただのおまじないのためだと思って…………。」
「まだ言うか。」

苦しい言い訳をなおも続けるジュリーに、だんだんと辟易してきていることが容易にわかる。


「証拠もある。」

そう言ってステファンはマドレーヌを取り出した。
それを見たジュリーの顔色がサッと変わる。


「鑑定してみるといい。きっと『恋の秘薬』の成分が検出されるだろう。」

そう言ってステファンは近くにいた側仕えの一人にそれをわたした。


「美味しいって言うから渡したのに!ひどいわ!!」

ステファンは、喚き始めるジュリーの耳元に向かって鼻で笑いながらささやいた。


「よく思い出してみろ。わたしは『美味しい』などと一言も言っていない。ただ『いくつかもらっていいか』と聞いただけだ。」
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