【完結】転生王子は、今日も婚約者が愛しい

珊瑚

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それに、と続ける。

「他人の手作りなんて何が入っているかわからないもの、気持ち悪いだけだろう?」

心底気味が悪い、と顔全体で表現するかのようにそういうと、顔を真っ赤にしたジュリーは、なおもくってかかってきた。


「だって……だってオリヴィアさんは作ってたから……!」
「『オリヴィアだから』いいんだ。」

そう言って、真っ赤になって俯いてしまったオリヴィアに向かってふわりと微笑んだ。
「で……殿下……嬉しい……です。」と言いながら普段の堂々とした令嬢然としたオリヴィアからは考えられないほど、年相応の乙女のような反応をしている。やっと自身の思いが通じあと言う想いと、信じてもらえた喜び、そして愛する婚約者の可愛らしい仕草に、その場で思い切り抱きしめてしまいたい衝動に駆られたが、グッと堪えて腰を抱き寄せるだけにとどまる。
唖然としているだけなのか、空気に飲まれてしまいそうになっているのか。はたまた、単純にそれ以上の反論の手立てを失ってしまっただけなのかは分からないが、先ほどまでこれでもかと言うほど騒ぎ立てていたジュリーも、やっと少しは静かになったようである。
人々の注目もジュリーから外れ、和やかな雰囲気が戻ってきていた。
きっと、この後ジュリーへの処分が言い渡され、執行まで謹慎を言いつけられるのだろう。過去の事例を見ても、誰もがそうなるだろうと予想していた。
微笑ましい空気に包まれて、一件落着かと思われたがしかし、


「それともう一つ。」

そうだ思い出した、と言わんばかりの軽い調子でステファンが切り出した。
処分を言い渡して終わりかと思われたが、国として大事な『光魔法』の使い手であるジュリーはやはり対応が違ってくるのだろうか?と、周囲の人間の頭に疑問符が浮かんでいたのだが。


「お前のその『光魔法』、お前自身のものじゃないな?」
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