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「……だって、みんながそう言うんですもの。ルチアの髪は、歴代聖女たちのそれと比べても緑がかっているから、この場所を象徴しているようだって。……美しい、強い力の表れだろうって。…………でも、本当に私にも同じだけの聖女としての力があるのなら、私だってこの国のために力を使いたいわ…………!」
セレナの言葉に龍は思わず目を見張った。
こんな扱いを受けながら国のためになどと言う彼女が信じられなかったのだ。
「私だってやればできるはず。国のために働くことができたのなら………………誰か私を愛してくれる………………?」
続いた彼女のセリフに龍は納得した。
目の前の王女は高尚な自己犠牲の精神から発言した訳ではなく、ただ愛に飢えた小さな少女だったのだ。
龍は少し考えるとセレナを覗き込んで言った。
「それがお前の望みか?働きたいのか――――愛されたいのか。」
セレナは揺れる瞳で真っ直ぐ目の前の輝く琥珀を見据える。
「誰でもいい…………私を愛して…………!」
『その願い、しかと聞き届けた。』
脳内に直接語り掛けられるような感覚と共に、突然龍が輝いた。
ほんの少しの浮遊感。
――――気がついたときにはセレナの前から泉が消えていた。無論、龍も。
……いや、彼女が移動したのだ。
セレナがいるのは森の入り口から泉までの道のりの中程だった。
幸い、彼女が通ってきた道と同じ。王宮までの帰り道はわかる。
少しの寂しさを抱えながら道のりを歩いていった。
夜の帷が降り始めた辺りは暗く、セレナの中に恐怖が芽生え始めていた。
――ガサガサ……サクサク……ガサガサガサ……――
どこからか何かが移動するような音が聞こえる。
……ガサガサ……
獣だろうか?
だんだん近づいてきているような気がする。
ガサっ!
「きゃああぁぁっ!」
「おい!大丈夫か!?」
「……だって、みんながそう言うんですもの。ルチアの髪は、歴代聖女たちのそれと比べても緑がかっているから、この場所を象徴しているようだって。……美しい、強い力の表れだろうって。…………でも、本当に私にも同じだけの聖女としての力があるのなら、私だってこの国のために力を使いたいわ…………!」
セレナの言葉に龍は思わず目を見張った。
こんな扱いを受けながら国のためになどと言う彼女が信じられなかったのだ。
「私だってやればできるはず。国のために働くことができたのなら………………誰か私を愛してくれる………………?」
続いた彼女のセリフに龍は納得した。
目の前の王女は高尚な自己犠牲の精神から発言した訳ではなく、ただ愛に飢えた小さな少女だったのだ。
龍は少し考えるとセレナを覗き込んで言った。
「それがお前の望みか?働きたいのか――――愛されたいのか。」
セレナは揺れる瞳で真っ直ぐ目の前の輝く琥珀を見据える。
「誰でもいい…………私を愛して…………!」
『その願い、しかと聞き届けた。』
脳内に直接語り掛けられるような感覚と共に、突然龍が輝いた。
ほんの少しの浮遊感。
――――気がついたときにはセレナの前から泉が消えていた。無論、龍も。
……いや、彼女が移動したのだ。
セレナがいるのは森の入り口から泉までの道のりの中程だった。
幸い、彼女が通ってきた道と同じ。王宮までの帰り道はわかる。
少しの寂しさを抱えながら道のりを歩いていった。
夜の帷が降り始めた辺りは暗く、セレナの中に恐怖が芽生え始めていた。
――ガサガサ……サクサク……ガサガサガサ……――
どこからか何かが移動するような音が聞こえる。
……ガサガサ……
獣だろうか?
だんだん近づいてきているような気がする。
ガサっ!
「きゃああぁぁっ!」
「おい!大丈夫か!?」
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