【完結】負けヒロインに転生しました

13

１３
「まあ、そうは言っても顔がキツいというのはどうにもなりませんわ。私の責任でないことに関しましてはそんなこと言われましても……といったところでしょうか。努力でどうにもならないことをごちゃごちゃ言うのは人として最低。もはや人間性を疑いますわ。」
「……な……っ」

フロリアの凛とした声が響く。
彼女からの想像以上の反撃に、ユーゴも思わずたじろいだ。


「それから性格がキツい、でしたか？」
「そ、そうだ」
「それは具体的にいつ、どのような言動を踏まえてのお言葉でしょうか？私は特段何か理不尽な怒りを他人にぶつけたりするような人間ではないと自負しているのですが……。」
「はっ、自覚が無いとは尚更質が悪いな。忘れたとは言わせないぞ。いつもいつもわたしのやることなすこと全てにケチつけておいて！試験の結果が出る度に必ずわたしに嫌味を言いに来るしな。自分が少し優秀だからと言って周りの人間を見下しているのだろう！」

心底不思議そうな顔をしたフロリアは、小さくこてんと小首を傾げる。


「『ケチつける』に『嫌味を言う』ですか……。全く心当たりがないのですが…………。あ、もしかして、ケチつける、とは私があなたの間違いを訂正することでしょうか？それで気分を害されたなら申し訳ございません。……だって、あまりにも間違いの内容がひどいから。」
「ふざけるな！言うに事欠いてわたしに責任転嫁してくるなどと……！恥を知れ！」
「うふふ、沸点が低い方は大変そうですわねぇ……まぁ、落ち着きになって？先ほどからきぃきぃと五月蝿い……。わたくし、猿とお話ししようだなんてそんな奇抜な趣味、持ち合わせておりませんの。」
「さ、猿だと！？それはまさか、わたしのことなのか！？」
「あら、ご理解いただけたようで。」

にっこりと何の邪気も感じさせない、輝くようなフロリアの笑顔に、それを真正面から向けられたユーゴは何も言えず、絶句するのみだ。