お望み通り、別れて差し上げます!

珊瑚

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ファルコ・ミディエール子爵は、フェリアの兄であり、カミーユ公爵家の長男かつ跡取りである。では何故、彼は今、子爵としての身分を用いているのか。それは貴族、とりわけ高位の貴族は、爵位を複数手にすることがある、ということに理由がある。それは世襲によって手に入れたものの他に、自分で手柄を立てて手に入れ、それをまた受け継がせていくーーということが可能であるからだ。
カミーユ公爵も、複数の爵位を持っている人間であった。本来、複数の爵位を持っている人間は、子供が複数人居る場合に、それぞれの位を継がせることが多い。
しかし、カミーユ公爵家には子供が二人しかいなかった上、娘のフェリアは他家に嫁ぐことが決まってしまい、婿を取る可能性が無くなってしまった。そこで、優秀なファルコに公爵が持つ爵位の一つ、ミディエールししゃくの名を与えて経験を積ませることにした。複数の爵位を持つ者は、その中の最高位の爵位を名乗る事が多い。彼がカミーユ公爵の名を継いだ後は、公爵位そ順当に名乗ることになるとして、若い内は一からミディエール子爵を盛り立ててみせるのが、彼に課せられた課題であった。

ファルコは順当に勢力を広げていっていた。特に彼は商才に秀でていたようで、
一代目とは思えない勢いで成長していった。そこに、リオルがフェリアを子爵令嬢だと勘違いした要因があったのだろう。急成長したミディエール子爵家は他の歴史ある男爵家に引けを取らず、昔ながらの子爵家の資産に追いつかんとしていた。
ファルコがフェリア達が使っていた邸宅に目を付けたのには理由があった。公爵家が愛娘の為に用意した邸宅。その立地が悪い訳がなかったのだ。元々、ファルコはフェリアとリオルが結婚した後、正式に契約を結んで交易ルートを広げるつもりの予定であった。しかし、その結婚が立ち消えた今、間に余計な一手間を挟む必要が無くなっただけのこと。ファルコとしては逃したくない話だったという訳だ。


「ああ、それならお前が好きに使うと良い。特に他の運用方法も考えていなかったしな。」
「ありがとうございます。ではこの件が片付きましたら早速使わせて頂こうと思います。」
「では、僭越ながら、私がそれまでに『大掃除』を受け請いましょう。」

そう申し出てきたのは、今まで家族の話の間、後ろにひかえていたスタンリー
であった。
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