33 / 62
33
しおりを挟む
33
彼女の横に目を向ければ、赤みがかった暖かみのあるダークブラウンの衣装に身を包んだパートナーが立っている。ふわふわとした、見ただけで細くてやわらかい毛質をした栗色の髪に、同じ色をした柔和な瞳。アクセサリーといて採り入れられている差し色は、カミラの瞳を思わせる真っ赤なガーネット。
二人は大層気合いの入った格好をしているように見える。不審な点は特に見当たらないように思われるが、ファルコが警戒していたのにも向ける。今日が社交の場
に出ることが出来る最後の日になろうことは、本人達のあずかり知らぬ所である筈なのだが…………。パーティーの後に彼らをどん底に落とすため、確実に追い詰める為にファルコ達が最後の大詰めをする時間が必要なのだ。
精々このパーティーは平和に過ごしていってくれよ、とヘリオスは笑顔の裏でただ祈ることしか出来ない。
「……おや?」
だが、その声でヘリオスの祈りもむなしく砕け散った。リオルがフェリアに気付いたようで、カミラと連れ立って歩いてくる。ただ平和にフェリアをファルコから引き離して自分の父と彼が話す時間を稼ぎたかっただけのヘリオスは、これから起こるであろう破乱の予感に、思わず天をあおいだ。突然歩き出したりオルに、疑問を顔一杯に浮かべていたカミラだったが、リオルの目配せて
遅れてフェリアの存在に気が付いた様子だ。憎々しげな表情を一瞬で引っ込めると余裕の表情をすぐに作り上げ、まるで見せ付けるかのようにリオルの腕にその腕を絡める。ゆったりとした足音で歩いて来る二人に、まだフェリアに向かって来ている訳では無いといちるの望みを掛けてみる。しかし、当然分かっていた事だが、そう上手くいくものでもない。別に、二人から何か仕掛けられて自分達が困ることはそうないのだが、折角ファルコ
と大公が考えていることがあるのだ、それを台無しにすることは出来ればさけて通りたい。だがやはり、リオルとカミラはフェリアとヘリオスの前でその足を止めたのだった。
彼女の横に目を向ければ、赤みがかった暖かみのあるダークブラウンの衣装に身を包んだパートナーが立っている。ふわふわとした、見ただけで細くてやわらかい毛質をした栗色の髪に、同じ色をした柔和な瞳。アクセサリーといて採り入れられている差し色は、カミラの瞳を思わせる真っ赤なガーネット。
二人は大層気合いの入った格好をしているように見える。不審な点は特に見当たらないように思われるが、ファルコが警戒していたのにも向ける。今日が社交の場
に出ることが出来る最後の日になろうことは、本人達のあずかり知らぬ所である筈なのだが…………。パーティーの後に彼らをどん底に落とすため、確実に追い詰める為にファルコ達が最後の大詰めをする時間が必要なのだ。
精々このパーティーは平和に過ごしていってくれよ、とヘリオスは笑顔の裏でただ祈ることしか出来ない。
「……おや?」
だが、その声でヘリオスの祈りもむなしく砕け散った。リオルがフェリアに気付いたようで、カミラと連れ立って歩いてくる。ただ平和にフェリアをファルコから引き離して自分の父と彼が話す時間を稼ぎたかっただけのヘリオスは、これから起こるであろう破乱の予感に、思わず天をあおいだ。突然歩き出したりオルに、疑問を顔一杯に浮かべていたカミラだったが、リオルの目配せて
遅れてフェリアの存在に気が付いた様子だ。憎々しげな表情を一瞬で引っ込めると余裕の表情をすぐに作り上げ、まるで見せ付けるかのようにリオルの腕にその腕を絡める。ゆったりとした足音で歩いて来る二人に、まだフェリアに向かって来ている訳では無いといちるの望みを掛けてみる。しかし、当然分かっていた事だが、そう上手くいくものでもない。別に、二人から何か仕掛けられて自分達が困ることはそうないのだが、折角ファルコ
と大公が考えていることがあるのだ、それを台無しにすることは出来ればさけて通りたい。だがやはり、リオルとカミラはフェリアとヘリオスの前でその足を止めたのだった。
1,109
あなたにおすすめの小説
白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
【完】愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
第18回恋愛小説大賞で、『奨励賞』をいただきましたっ!
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
※※しれっと短編から長編に変更しました。(だって絶対終わらないと思ったから!)
『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』
放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」
王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。
しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!?
「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!)
怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。
【完】初夜寸前で「君を愛するつもりはない」と言われました。つもりってなんですか?
迦陵 れん
恋愛
侯爵家跡取りのクロディーヌと、公爵家三男のアストルは政略結婚といえども、幸せな結婚をした。
婚約者時代から日々お互いを想い合い、記念日にはプレゼントを交換し合って──。
なのに、記念すべき結婚初夜で、晴れて夫となったアストルが口にしたのは「君を愛するつもりはない」という言葉。
何故? どうして? クロディーヌは混乱に陥るも、アストルの真意は掴めない。
一方で、巷の恋愛小説ばりの言葉を放ったアストルも、悶々とした気持ちを抱えていて──。
政略で結ばれた婚約でありながら奇跡的に両想いとなった二人が、幸せの絶頂である筈の結婚を機に仲違い。
周囲に翻弄されつつ、徐々に信頼を取り戻していくお話です。
元鞘が嫌いな方はごめんなさい。いろんなパターンで思い付くままに書いてます。
楽しんでもらえたら嬉しいです。
【完結】「義妹に譲れ」と言われたので、公爵家で幸せになります
恋せよ恋
恋愛
「しっかり者の姉なら、婚約者を妹に譲ってあげなさい」
「そうだよ、バネッサ。君なら、わかるだろう」
十五歳の冬。父と婚約者パトリックから放たれた無慈悲な言葉。
再婚相手の連れ子・ナタリアの図々しさに耐えてきたバネッサは、
その瞬間に決意した。
「ええ、喜んで差し上げますわ」
将来性のない男も、私を軽んじる家族も、もういらない。
跡継ぎの重責から解放されたバネッサは、その類まれなる知性を見込まれ、
王国の重鎮・ヴィンセント公爵家へ嫁ぐことに。
「私は、私を一番に愛してくれる場所で幸せになります!」
聡明すぎる令嬢による、自立と逆転のハッピーエンド。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる