お望み通り、別れて差し上げます!

珊瑚

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「あぁなんだ、あんた知ってたのかい。」

ヘリオスは心の底から驚いていた。それだけ重要な相手だという認識があった上でフェリアやファルコの顔を知らないのか、と。確かにカミーユ公爵とブレイズ伯爵の間で、支援の件は話さないという契約は交わされていたが、フェリアの身元など調べればすぐに分かる程度のことなのだ。もっとも、本来ならばそんな手間をかけずとも知っていて然るべきなのだが。

「なら知っているはずだろう?そこに居るファルコがそのカミーユ公爵家の跡取りだということも、隣のフェリアがその妹で公爵令嬢であるということも。それにしては先程の暴言の数々、ずい分と好き放題言っていたようだが…………カミーユ公爵が聞いていたらどうなるだろうな?」

ヘリオスの言葉を聞いているうちに、カミラとリオルの顔色がどんどん悪化していった。遅ればせながらやっと、自分達が何を仕出かしたのか少しずつ理解が追い付いたのだろう。二人は必死に頭を回転させて、どうしてこうなったのか考え始めた。要は現実逃避である。しかし、今更原因を考えた所でもうどうにもならないことなのであった。

「取引相手………ねぇ。伯爵はどうやらお前に、ずいぶん都合良く契約内容を話していたようだ。」

ファルコは冷め切った視線を二人に向けていた。

「もしや対等な契約だったとでも思っているのか?お前は。」

ゆっくりとファルコはリオルの元へと歩みを進めていく。まずは最初に、リオルを標的に選んだようだ。彼の真横で呆然としているカミラには一切目も暮れず、まるで視界に映っていないかのように振る舞っている。

「その根拠の無い自信も、原因はそれか?まさか、ここ最近のブレイズ伯爵家の急成長を、自分達だけの実力だと思っている訳ではあるまいな?」

リオルは黙ってファルコの話を聞いていた。嘘だと切り捨てたかったのだが大公子であることが間違いないヘリオスが保証した身分の持ち主であるファルコの話に割り込むことなど、もはや不可能だったのである。
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