俺の居候はあいつの妹

乃愛

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第五話

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それから数週間が経ち、季節は本格的な冬に差し掛かった。
零司は秋の終わり頃にようやく仕事を見つけて、今は仕事で精一杯だった。
零司は朝、仕事に行って、夕方5時に帰ってくる。
当然家事は居候であり、高校に通っていない莉帆の役目であった。
零司は一度、莉帆を高校に進学させようと説得してみたが、莉帆は頑なに断り続けた。中卒などではハッキリ言って何もできない。この先零司がいなくなった後、困
るのは莉帆だった。
「・・ねぇ、莉帆ちゃん。」仕事から帰り、ご飯を食べた後ソファで二人、本を読んでいるとき、零司は莉帆に問いかけた。
「ん?」莉帆は本に目を向けながら返事をした。
「やっぱり高校、受けてみないか?来年の春の受験に俺が間に合わせるから。俺が絶対莉帆ちゃんを受からせてみせる。」零司は本を畳み、莉帆の方に体を向けて話した。
「・・・ふふっ、どうして私の為にそんなに真剣になれるの?絶対無理だよ。私に高校受験なんて。今から勉強したってどこにも受からない。零司さんの気持ちは嬉しいよ。私の将来のこと心配してくれてるんでしょ?私は大丈夫、どうせすぐいなくなるんだし。」莉帆は話しながら笑ったり切ない表情をしたりコロコロ表情を変えた。まるで気持ちを読み取られたくないように。
「居なくなるって、どういうこと?俺のトコからいなくなったって人生が終わるわけじゃないしさ・・・やっぱ受けよう?だめでもいいんだ。受けることに意義があると俺は思う。一度だけ、俺に莉帆ちゃんの真剣な姿見せてくれないか?」
「やだ。私さぁ、無謀なことに必死になれないんだよね。もし努力して無理だったらって先の事考えちゃうの。無理だったとき、きっと私は立ち直れない。だったら最初から努力したくない。・・傷つきたくない。」

零司は幼少期からずっと勉強に励んでいた。努力すれば結果は自ずとついてくる、そう信じていた。
だからこそ努力をしない人間が嫌いだった。努力をせず、できない事を放棄して出来る事に励んでいる人間を見て自分は、ああなりたくないと心から思っていた。
才能なんて関係ない、才能より努力だ。努力して勝ち取った結果の方が、生まれ持った才能よりずっといいものだと思って生きてきた。
莉帆の考え方は零司にとって最悪とも言えた。

「あっそう。俺がこんなに言ってるのに分かんない?高校出てない奴が偉そうに言える立場かよ。中卒がどんなに惨めがお前にはわかんねーのかよ?
失敗して傷つくより、やらなくて損した方がよっぽど格好悪い。俺は正直、莉帆ちゃんは努力してくれる子だって思ってたよ。・・・明日、荷物まとめて出てって。
中卒がどんだけ大変か。友達頼らずに生活してみたら?」
零司は自室に閉じこもり、朝まで目を閉じていた。


朝起きると
置き手紙を残して莉帆は家を出て行った。
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