【R18】私が後輩のセフレに沼ってから別れるまでのお話。

志貴野ハル

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第1章

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 硬いままの亀頭から溢れる先走りを、子宮の一番奥にこすりつけるように体を前後に揺らした。お互いの体液が混ざり合ってくちゅくちゅと粘り気のある音を立てて、快感を拾い上げるたびに太ももの内側が震える。

「んぁっ、あ——……っ」

 彼の太ももに手を突いて喉を仰け反らせたまま、ぐりゅっ、ぐりゅっ、と自分の体を揺らすと、気持ちよさで何度も腰の力が抜ける。だけど本能ではもっと気持ちよくなりたくて、狂ったように動くのを止められなかった。

「んんっ、ふ、ぅ……ッ、く、……っん、……ぅうっ」

 下唇を噛んで、漏れ出しそうになる声と息を抑えながら、ぱんぱんに張り出したカリ首で子宮の奥の気持ちいいところをねっとりと擦り続ける。いやらしい音が鼓膜をふるわせるたびに、頭の芯がとろとろに溶けてきた。
 あ、ぁ……ああ……っ、意味分かんない……、なんでこんな、気持ちいいんだろう……。

「ふ、っ……くぅ、ぅうッん……はぁっ、は、んん……っ」

 静まりかえった深夜の部屋に、押し殺した自分の嬌声とベッドのきしむ音、にちゃにちゃという粘り気のある水音が響く。
 彼は、腕で顔を隠したままこっちを見ていない。
 それをいいことに、自分が気持ちよくなる箇所を重点的に責めて好き勝手に動きまくった。擦り続けて充血した膣の奥が白濁した愛液を吐き出して、繋がった部分を汚していく。

「はッ、ぅん…っ…、ぁ、あぁっ……あ——……」

 こちゅこちゅと小刻みに腰を動かす。肉棒を締め付けるように下腹部に力を入れると、余計にお腹の中が痺れて熱い。初めて、膣内でイキそうになる。
 私と同じように下唇を噛んでいる彼は、さっきからずっと腕で顔を隠したままで表情が見えない。
 何も考えられなくなった頭で考えて、腰の動きを止めてから彼のスウェットの裾に手を入れてまくり上げた。筋肉も脂肪もない薄い胸板が現れて、そこにある小さな突起に舌を伸ばして吸い付く。

「んぁ、っ……ごめんね、私だけ気持ちよくなって」

 そう言いながら尖らせた舌を這わせる。もう片方を爪で引っ掻くと、先端が一瞬で硬くなってきた。口に含ませてぢゅぅっと吸い上げてから、歯を立てて優しくしごきあげる。
 彼の固く結んだ口元から、ふっ、ふっ…と苦しげな息が漏れて、顔に乗っていた腕がずるりと落ちた。
 顔が見たくて体を起こそうとすると、阻止するように頭ごと抱きかかえられて下から突き上げられる。

「~~~~っ」

 突然の出来事に、ひゅっと喉が鳴った。
 胸が潰れるくらい彼の体に上体をべったりとくっけたままお尻をわしづかみされて、がつがつと腰がぶつかる。

「ぅあっ、んぁ……っ、は、……っ、あぁあっ、ま、って、や、うごかないで……っ」

 彼はずっと無言のまま、ぐちゅぐちゅと乱暴に下から腰をふりたてた。
 年下だから、抵抗しなかったから、どこかで彼を軽んじていた部分があった。

「ひ、あっ、あぁっ……ごめ、っ、ごめんなさぃッ……、」

 怒らせたのだと思って謝っても、彼の動きは止まらなかった。
 自分から動いていたときは調整して加減してイくのを我慢してたのに、グズグズに弱くなった一番奥を何度も硬い先っぽで突かれて押しつぶされて、快楽に腰が跳ね上がる。
 だけど頭も腰も、彼の両腕で押さえつけられているせいで、投げ出された足でズリズリとシーツを蹴飛ばすしかできなかった。
頭の中がバチバチと白ける。

「——やっ、ぃ、……っく、っ……、ぁああっ」

 舌を伸ばしたまま、謝り続けて彼の胸の上でイッた。お腹の奥が麻痺したように痺れる初めての感覚だった。
 だらりと脱力した体を受け止めながら、彼の腕が私の頭や背中を優しくゆっくりと撫でる。
 はっはっと息を乱して目の焦点が合わない間に、抱っこするように体を持ち上げられて、そのままベッドの上にどさりと落とされた。

「……ぁ……怒ってる……?」
「ヘンタイ」

 私の質問には答えずに、彼は目と口元を歪めて見下すようにそう言った。
 さっきまでの顔を隠して、私に好き放題されていた彼とは全く違う雰囲気だ。

「人の体でオナニーしないでください」

 抜けてしまった反り勃ったままのペニスが腰をつかんで押し戻される。

「んっ」

 反射的に声を漏らすと、私の体を見下ろしていた彼が声をあげて笑った。ゆるゆると腰を動かされながら、彼の手が胸に伸びる。

「女の人の体って、こんなに柔らかいものなんですね」

 ふにふにと胸全体を揉みしだかれる。ぎこちないというか遠慮がちというか、ついさっきまで乱暴に腰を振ってきたとは思えないくらいの優しい手つきだ。

「……もしかして、触るのはじめて……?」
「うん」

 意外だった。この顔だから、セックスはもう高校生のうちに済ませているものだと思っていた。

「そっかぁ……ふふ、オメデトウゴザイマス」
「は? 馬鹿にしたでしょ、今」

 言葉はとげとげして無愛想なのに、動かす手は優しいままだ。胸全体をやわやわと優しく揉まれて、親指の腹ですりすりと胸の先端を撫でられる。

「っ…、ん……」

 手や指に意識が集中しているのか、私の中に挿入ったままの彼はなかなか動いてくれない。お腹の奥がもどかしくて、きゅうっと疼く。さっきみたいに激しく動いて欲しい。だけど気づかれたくない。

「……ね、くっついたほうがもっと気持ちいいよ……?」

 腕を伸ばしてねだる。
 彼は何も言わずに私に覆い被さってきた。
 体が密着したのと同時に、ぐりゅっと奥にハマりこんだ肉棒を無意識にしゃぶり喰い締める。

「~~~~っ」

 ぞくぞくと背中が震えて、「は……ッ」と重たい息を吐いた。
 重さも体温も気持ちよくて、ずっとこうしていたくなる。
 離れていかないように、彼の頭を抱きよせて快楽に没頭する。

「んぁっ、あっ……ん、……っ……ぅ、ぁあっ…」

 余裕を無くした彼は、今度は私の体を気遣うこともなく、一心不乱に腰を振りたくった。
 ものみたいに扱われて嬉しいわけないのに、私はどういうわけか彼の体にしがみついて、子宮の奥をめちゃくちゃにされる快感に震えた。

「っ、ねぇ、イキそうなんだけど、どうしたらいい?」

 体を起こして、苦しそうな表情をした彼が私の腰をつかんだ。

「んっ、…おなかの、うえに…だして…っ」

 そう言った瞬間、さらに手加減無しに腰を打ちつけれる。

「あっ、んんっ、……は、ぁんっ」

 ばちゅばちゅと水面を叩くような音が響いて、苦悶の顔で荒々しく息を吐く彼から流れた汗が、私の胸に飛び散る。

「はぁ…っ、はっ、——ぁあっ」
「…………ぅッ……」

 小さい呻き声の後、引き抜かれたペニスがどろどろの白濁液を放って、私のお腹から胸にかけて汚していった。呼吸を乱したまま、ユウマくんが私の横に倒れ込む。
 私のほうは、あと少しでまたイケそうだったけどイケなかった。
 だけど一回はイケたし不満や燻った感じは無くて、この飄々とした彼が、私の上で切なそうに顔を歪めていたのがこれ以上にないくらい嬉しくて、どうでもよかった。

「…………」

 無言のまま、綺麗な顔立ちがこちらをじっと見つめてくるから、腕を伸ばして頭をくしゃくしゃに撫でてみた。

「……バカにすんな」
「してないよ」

 少しだけ小さくなって、素直に頭を撫でられている彼に笑みがこぼれる。


 午前五時を回るかどうかギリギリのあたりで、ようやく空が白み始めてきた。
 私に背を向けながら寝ている彼を起こさないように、ゆっくりとベッドから這い出て服を整える。

「——帰るの?」

 静まりかえった部屋の中で、いきなり声をかけられて飛び上がった。
 いつの間に起きたのか、彼は眠そうに顔をしかめながら私を見ていた。 

「う、うん、外も明るくなってきたし。お邪魔しました」

 アルコールが抜けると昨夜の自分の行動が途端に恥ずかしくなってきて、彼の顔をまともに見られない。
 逃げるようにバッグを取って背中を向けると、その肩紐を引っ張られた。

「待って、送っていく」

 彼がベッドから上半身をはみ出させて、テーブルの上から眼鏡を取った。

「え、あ、ありがとう、優しいね」

「べつに。このまま一人で帰してやばい奴につきまとわれて刺されて、最後に会ったのが俺だからって警察に事情聴取されるのが嫌なだけ」
「自分の保身か」

 私の言葉に、ふと口元だけ歪めて彼が笑った。吹っ切れたのか、彼の言葉から敬語がどんどん抜けている。だけど嫌な感じはなく、なついてくれた気がしてむしろ嬉しかった。


 早朝の澄んだ空気が充満した住宅街には、私達以外にも若い大学生らしき人たちが数人歩いていた。きっとカラオケあたりでオールした帰りなんだろう。
 去年までは私もしょっちゅうやっていた。なのに遠い昔のことのように懐かしく感じる。
 長身の体をまっすぐ伸ばして歩く彼の横を、追いかけるように早足で歩く。

「今さらなんだけど、彼女いたらごめんね」
「いないよ、そんなの」

 そっけなく言われたけど、内心、嬉しさと安堵で感情がぐちゃぐちゃだった。
 よかった、彼女いないんだ……。
 一度寝たから気が大きくなってしまっていた。もしかしたら、このまま付き合えるのではないかと淡い期待をしてしまうくらい。だけどその期待は次の一言でものの見事に粉砕されてしまった。

「俺、あんまり人と深く付き合ったりとか好きじゃないし、ていうか、たぶんできないし」
「……え……」

 あ、これは、きっと牽制されたんだろう……。
 舞い上がっていたところを、鈍器で頭を殴られたくらいの衝撃が来て顔が引きつる。

「へぇ、そうなんだ……。じゃあ昨日みたいにセックスだけとか、そういうのがいいんだろうね。お互いが負担にならない感じの」
「あぁ、うん、そうですね」

 自分で誘導した言葉なのに適当な感じであっさりと同意されて、勝手に傷つく。
 まぁ、昨日会ったばかりでセックスして、それで好きになってしまう私のほうがおかしい、のだろう。というか、ちょろすぎる……。うわ、今さら、恥ずかしくなってきた……。

「ね、ねぇ、そういえば、うちのサークルどうだった?」

 黙って歩いていれば泣きそうだったから、不自然なくらい無理やり話題を変えて場を持たせる。
 それまでまっすぐ前を向いていた彼が急に横を向いた。ばちっと視線が合う。逸らすタイミングを逃して、緊張しながら彼の顔を見つめた。

「酒癖の悪い痴女がいるやばいサークルだっていうのは理解しました」
「えぇ、ひっどい、なにそれ」

 笑いながら彼の背中を小突いた。付き合ったりできないと言われて傷ついた後に、こんな軽口を叩かれて喜んでいる自分がいる。

「これからよろしくお願いします、先輩」
「うん、サークル以外でもなにか講義とかで困ったことがあったらいつでも言いなよ。同じ学部だし」
「極力頼らないように頑張ります」

 彼は最後の最後で私が喜ぶような言葉を言わない。そこはさっきみたいに「よろしくお願いします」って言って欲しかったのに。

 
 彼の歩幅に合わせたからか、思っていた以上に早く私のアパートに着いた。
 もう少し話したかったし、連絡先もまだ聞いていないから知りたかった。だけどどこまで踏み込んでいいのかわからない。

「へぇ、道路挟んですぐ大学っていいですね、遅刻しなさそう」
「いいでしょ。結構、人気の物件で空いてもすぐ埋まっちゃうんだって」

 部屋に、招き入れていいのだろうか。だけどもてなすほどのお菓子や飲み物があるわけでもない。しかもまだ早朝だ。
 自分の部屋の玄関先でどう切り出そうか悩んでいると、突然、彼が思い出したように言った。

「あ、そうだ、連絡先」
「え?」
「頼れって言ったのはそっちなのに、連絡先も知らないでどうやって頼ればいいんですか」
「あっ、そうか」

 ドキドキしながらスマホを差し出す。連絡先を交換している間、緊張して手が震えっぱなしだった。
 メッセージアプリに彼のアイコンが追加されて、うつむきながら気づかれないように頬を緩ませた。

「じゃあね、先輩。バイバイ」
「う、うん、またね! 送ってくれてありがとう!」

 スタスタと軽い足取りで彼が道路を渡っていく。その後ろ姿が見えなくなるまで、私はドアの前で立ったままだった。もちろん、彼は振り向かない。
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