【R18】私が後輩のセフレに沼ってから別れるまでのお話。

志貴野ハル

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第7章

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「……この前、先輩に怒られてすげえへこんだ。でも先輩のほうが傷ついたと思うから、ごめん」

 今度は真面目な顔でしおらしく謝られて、こちらがたじろぐ。

「や……私っていうより、彼女さんが」
「そっちは別に、大丈夫。元々付き合うつもりはなかったから」
「え」
「試用期間みたいなやつ。三ヶ月でいいからって言われて、同期だしバイト先も同じだし俺の嫌いな陽キャだし、断るとなんかあることないこと言われそうで、……言い訳っぽい?」
「……かなり」
「でも本当なんだよなぁ。顔だけで寄ってきて、後から勝手に幻滅されるのが嫌だから、こっちは最初から断ってんのに」

 ユウマくんがくすくすと笑った。一番最初に関係を持ったとき、人付き合いが苦手だと一線を引かれたけど、自分に近寄ってくる異性に対して警戒心が強いのだと思う。
 前に、長い間、自分をいじめてきた女の子になぜか告白されて、心底嫌だったというような話をしていた。あれがきっかけなのだったら、ユウマくんの女性不信はかなり根深く心に残っている。

「……私も、この前、ユウマくんにひどいこと言ってごめんね」
「なんか言ったっけ」
「ふ、不誠実って」
「あぁ、実際そうなんだし、いいんじゃない?」

 ヘラヘラと笑うユウマくんに、「ううん」と首を振って否定する。

「今は、ちゃんとしてると思う」
「そう? じゃあしてもいい?」

 腰に回っていた手が少しずつ上へ移動して、服ごと胸を持ち上げるように触れる。
 ユウマくんの顔がだんだん近づいてきた。キスされそうな距離まで近づいてくるのを、首を伸ばしてギリギリまで避ける。嬉しいし、したいけど、お酒も飲んでいるのと、暑い中汗だくになりながら歩いて帰って来たから……。

「……ごめん、先にシャワー浴びたい」
「一緒に入る」
「ダメ。は、入りたいならユウマくんからどうぞ」

 被せるように言うと、ユウマくんがくつくつと笑った。

「じゃああがったら服着ないで、そのまま出てきて」
「えっ、なんで」
「早く触りたくて限界」

 胸の先端を、すりすりと撫でていた指先でぐっと押されて、肩が跳ねる。久しぶりに触れられた身体は、甘い疼きを思い出して、一瞬で熱をあげ始めた。


「あの、電気消して」

 シャワーを浴びた後、言われた通りに服は着ないで、体にバスタオルを巻いた状態で部屋に戻った。
 ベッドに座っていたユウマくんは満足そうに目尻を下げて私の腕を引っ張ると、そのまま押し倒した。はだけそうになるバスタオルを胸元でぎゅっと握る。

「なんで?」
「久しぶりすぎて、恥ずかしいから……」
「ふーん」
 そう言ったきりニヤニヤと笑って何もしないユウマくんに痺れを切らして、サイドボードへ腕を伸ばして部屋のリモコンを探る。だけど、私よりもリーチの長いユウマくんが先に取って、床へ置いてしまった。

「あっ」
「俺以外としてないの?」

 ユウマくんの手が、リモコンを取ろうとして伸びていた私の体に触れる。背中からくびれまでバスタオル越しに撫でられて、くすぐったい。すぐユウマくんの隣に戻って、イタズラする手を掴む。

「……そういう相手、いないもん」
「一人も?」
「当たり前でしょ。会わなくなって三か月しか経ってないんだよ。そんな短期間で他の人となんて。……ユウマくんとしたのが最後だよ」

 三か月しか、なんて言って、その三か月間、ずっとユウマくんのことを考えて後悔して、会いたがっていたのは私なのに。

「俺も先輩以外としてない」
「え」
「言ったじゃん、先輩としかできないって。どうしてくれんの」

 掴んでいた手をそのまま口元に持っていかれて、唇が触れた。手の甲にキスをされて、ユウマくんらしくない行動に戸惑う。

「……し、知らないよ」

 やけに緊張して、声が上擦ってしまった。
 上目遣いのユウマくんと視線がぶつかって「無責任じゃない?」と笑った。
 この綺麗な顔で見つめられると、自分が弱くなって、何も言えなくなる。

「……んっ」

 ユウマくんの唇が、今度は私のに触れた。一瞬でこじ開けるように、唾液を溜め込んだ舌が入ってきて、その体温の高さに驚く。

「ん……んぁ……ん、う……、はぁっ……あっ」

 息継ぎも許されないくらい、何度も深く口の中を探られて、ぢゅうぅっと舌を吸われる。舌が根本から引っこ抜かれるんじゃないかというほどの強い痛みが走って、目をギュッとつぶってユウマくんの首にしがみついた。
 間が空いても、全部、身体が覚えている。知り合って一年半しか経っていないのに、もうずっと昔から知っているような気になる。
 口の中を丹念に蹂躙した舌は、ぬるりと這い出てきて、唇を舐め、赤黒い新種の生き物のように顎のラインから首すじに移動した。ゾクゾクと寒気のようなものが走って、顎を突き出しながら結んだ唇を細かく震わせる。

「……ん……ふ、ぅう…………っ」

 胸を下から持ち上げられて、ただの布切れみたいになったバスタオルがはだけていく。舌が鎖骨のくぼみを撫でて、盛り上がった膨らみに到達すると突然なんの躊躇いもなく歯を立てられた。

「っ」
「……痛い?」
「……ぃた、……っぁ……」

 ユウマくんが私の反応を見ながら意地悪く唇を歪ませた。ジンジンと痛む柔らかい箇所を慰めるようにぺろりと舐めて吸いつく。場所を移して何度も同じように繰り返して、胸元に赤い痕がどんどん増えていく。

「……あっ、……ん……はぁ……っ、……はあっ……」
「声、えろくなってきた……もう痛くない?」
「——あぅっ」

 ユウマくんの指先が、左胸の先端をきゅっと捻った。タオルの布地が掠っただけでそそり勃つそこは、赤い痕をつけられているときから触って欲しくて仕方なかった。
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