国家魔法探索士の椿〜未確認幻獣探し旅〜

三十話 いやあああああああああ

　受験者達がクッチーの叫び声に驚く。

　クッチーって喋るの!?

　クッチーはあたりを見渡す。

「あら～食べ頃な女性に男性が沢山いるわね～うふふ」

「！」

　食べ頃って、まさか･･････

「では、受験者の人数は五百八十二人！一次試験開始です！」

　緑がそう言うとブザー音が鳴り響いた。

　ちなみにこの第一訓練場の広さは約六千四百平方メートルで椿達がいた所は上から見ると左上あたりである。

「さ～て、どの子にしようかしら･･････ん？」

　先程、椿をからかっていた大柄な男がクッチーに向かって行った。そして、右手で

「！」

　クッチーの顔面を思いっきり殴る。

「どうだ！かなり効い──！」

　クッチーが大柄な男の右手を掴む。

「いいパンチね～うふふ」

　そして、段々にクッチーの手の部分がまるで蛇のように大柄な男の右手に絡みつく。

「くっ！離れねえ！」

「無駄よ。あなたの力じゃあ振り解けないわ」

「だったら･･････」

　大柄な男は左足でクッチーの顔めがけて蹴りを入れる。

「よし！」

　しかし、

「いい蹴りね～でも、あたしには効かないわ」

「！」

　クッチーは大柄な男の左足に自分の手を絡ませた。そして、クッチーは大柄な男の顔に近づき、

「おい！なにするつもりだ!?」

「うふふ。ブッチュウウウウウウウウ」

「！」

　とクッチーは大柄な男の頬に接吻をした。

「いやあああああああああああ！」

「チュウウウウウウウウ」

「あ･･････あ、あ──」

　大柄な男は気絶するように眠ってしまった。

「あら～もう寝ちゃった？」

　クッチーはそっと、大柄な男を横にする。

「受験番号五百二十一番失格！」

　近くにいた試験官が声をあげる。

「だから、おすすめしないって言ったのに･･････はぁ」

　と緑がつぶやく。

「さ～て、次はどの子にしようかしら？」

　それを聞いた途端、その場にいた受験者達が一斉にクッチーから離れて行った。

　食べ頃って、そっちの食べ頃ってこと!?やばい！あたしも逃げなきゃ！

　と逃げようとした瞬間、何かに足を掴まれる。

「！」