国家魔法探索士の椿〜未確認幻獣探し旅〜

四十話 入浴

　しばらくして──

「氷縛ひょうばく！」

「ぎゃああああ！」

　柊が魔法でクッチーを胸から下までを氷漬けにする。

「おお！」

　それを見ていた椿が声を上げる。

　すると、クッチーが蒸発するように消えていった。

「受験番号四百九十八番、二次試験合格！」

「よし！」

　柊が片手でガッツポーズをとる。

　その日の夜──

　椿は試験会場内の宿泊施設にある浴場で身体を洗っていた。

「今日は疲れたわ」

「そうだね」

　椿の隣で身体を洗っていた柊が声を掛け、椿が返事をする。

「そういえば二次試験すごかったね柊！あの氷魔法」

「うん、ありがとう」

「他にはどんな魔法が使えるの？」

「悪いけどそれは言えないわ。今回の試験では一時的に手を組む形になったけど、明日の試験からは敵同士になるかもしれない。その相手に手の内を晒すわけにはいかないわ」

「そっか。それはごめんね」

「別に謝らなくてもいいわ」

　柊は身体をシャワーで洗い流す。

　椿は柊の身体を見る。

　綺麗な白い肌だなぁ。けど･･････

　椿が柊の胸を見る。

　やっぱり胸は小さい。

　柊が椿を見る。

「今、胸小さいって思わなかった？」

「お、思ってないよ！ただ、綺麗な白い肌だなぁと思ったくらいで･･････」

「！」

　柊が頬を少し赤らめる。

「･･････そう。それは悪かったわね。ありがとう」

「ううん、ぜんぜん！」

　半分ほんとだけど、半分嘘ついてごめん！

　しばらくして──

　椿と柊は湯船に浸かっていた。

「明日から最終試験か～」

「そうね～」

「しばらくはこうやってお風呂には入れないんだろうね」
　
「そうね･･････」

　柊が椿を見ながら真剣な顔をして、

「椿はどうして魔法探索士の試験を受けようと思ったの？」

　と訊ねた。

「え？ああ、うん･･････」

　椿が考え込む。

「？」

「･･････笑わったり、馬鹿にしたりしない？」

「しないわよ。でも、言いたくなければ無理して言わなくてもいいわよ」

「大丈夫！･･････未確認幻獣の獏を見つけて、お母さんを助けたいんだ」

「･･･獏って夢を食べるって言われてる未確認幻獣よね？お母さんを助けるっていうのはどういうこと？」

「それはね──」

　椿は柊に春子が意識不明であることやその理由、そして意識を回復させるための方法の一つとして獏が必要であり、その獏がもしかしたら立入禁止区域にいる可能性があることを話した。

「なるほど、それで魔法探索士を･･････」

「うん」

「･･････」

　柊が下にうつ向く。すると、

「あら、あなた達まだ入ってたの？」

「「ん？」」

　椿達が湯船に浸かった状態で後ろを振り向く。