魔法力士（旧タイトル: ギルドに冒険者登録しに行ったら、なれる職業が魔法力士しかなかった）

八十五話 主様

　そこには五十代くらいの頭頂部のハゲた男がいた。

「生で見るとなかなか･･････うんうん」

　ハゲた男はタケシ、ヒロキ、サチを舐めまわすように見る。

「よし！三人とも一次合格！」

「え！」

　タケシ達が驚く。

「ちょっと待って下さい！主様！先程、不合格にしたサチ様を合格にするのですか!?」

「ああ」

「しかし、このサチ様は──」

　ハゲた男はナカコに対して手を前にかざす。

「わかっとる。門柱の監視水晶で観ていたからな」

　それを聞き、タケシが門柱を見る。

　あれ、灯水晶じゃなかったのか。

「でしたら、なぜサチ様を一次合格に？」

「ナカコ？一次はあくまで見た目の審査だ。誰が中身まで審査しろと言った？中身に関してはわしが審査すると言ったはずだ」

　ハゲた男がナカコを睨見つける。ナカコはビクッとなり、

「申し訳ありません！」

　冷や汗をかきながらお辞儀をする。

「分かれば良い。まあ、おまえのことだから気を利かせてくれたつもりなんだろうが、この審査はわしの楽しみでもある」

「余計なことをして申し訳ありませんでした」

「そう何度も謝らなくて良い」

　ハゲた男がタケシ達の方を見る。

「それにしても、うちのメイドがすまなかったね。わしはナミオ・フクオカだ。さあ、こちらにどうぞ」

「あ、はい」

　ナミオはタケシ達を招く。