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第4章 雨蛙
2.雨催い
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空は陰気な灰色で、鉄橋を駆け抜ける電車の音も陰気に響いた。七星はペットボトルと菓子類でずっしり重い袋を両手にさげ、ユーヤの階段をとぼとぼ上った。雨が降ってはやみのはっきりしない天気がつづき、外気はいつも湿った匂いがしている。階段を上りきったところであの香りを感じた。
――あの人が来ている。
そう考えただけで、七星の全身、細胞のすみずみに甘い高揚がわきあがる。だがカフェの奥に伊吹が座っているのをみるとすぐ、それは突き刺すような胸の奥の痛みと罪悪感に変わる。間違ってはいない、と七星は自分にいいきかせる。あの人がここにいて、それを嬉しいと思うのは仕方のないことだ。あの人にこれ以上近寄らないのは、これ以上ないくらい正しいことだ。
六月第二週、木曜の夕暮れ。ユーヤの地下ホールでは演劇公演がはじまったところだが、伊吹は芝居を見に来たわけではないらしく、カフェの窓際に座っていた。仕事帰りに立ち寄ったのだろう。
七星がいることに伊吹はもちろん気づいている。それどころかまっすぐこっちをみている。七星だって誰よりも先に伊吹をみたのだから、どっちもどっちだ。
ふたりともほぼ同時に会釈した。
それだけで何か重要なことを伝えあったような気がする。おたがいがそこにいると確認して、安堵する。
六月になってからずっとそうだ。伊吹がもっと近くにいて、スタッフと世間話をしていることでもあれば、七星も挨拶程度の話はする。
今日は目をみかわしただけ。たったこれだけなのに、七星の頭の芯にはかすかな甘い感覚がまとわりつく。胸の奥の刺すような痛みや罪悪感を打ち消して、伊吹と会えたことをただ喜んでしまうのだ。
七星も伊吹も、同時に目をそらした。まるで何も起きなかったように七星はペットボトルの袋を持ちかえ、事務所のドアを押した。
「お、七星戻った?」
マツが伸びをしながらふりむく。
「雨まだ降ってる?」
「今はやんでますよ。また降りそうですけど」
ブラインドを下げた事務所の窓からは外の天気はよくみえない。マツが歌うように語尾をのばして「あまもよいだなぁ」といい、七星は「雨模様でしょ?」といいかえした。
「いや、雨催いだよ。催す方。同じ意味だけど」
「そんな言葉あるんですか?」
「あるよぉ。辞書引いてみな」
ユーヤの古株は語彙が豊富だ。まったく太刀打ちできないのを知っているから、七星はうなずくだけにする。マツは七星の無知につけこんだりしない人間だから、きっと正しいのだろう。領収書を経理の机に置いて自分の椅子に座ると、今度はマツが出て行った。地下の様子を見に行ったのだろう。
今日の公演はユーヤが主催ではなかったから、スタッフは必要最小限しかいない。魚居も祥子も留守で、七星は事務所で電話番である。
ノートパソコンを開いたが、メールは回答待ちの案件ばかりだった。暇だからカフェに伊吹がいることを思い出してしまう。いや、もう帰ったかもしれない。伊吹の家は宮久保家――隣県に本拠のある名族だ。七星のような一般人とは縁がないはずの一族だ。
ユーヤが九月末でクローズすると決まっても、七星の日常に変化はなかった。秋からの就職先を探す必要はあったが、まだ何もする気になれない。彰が生きていたらそんな七星に苛立ったにちがいなく、あれこれ口を出しただろうが、今の七星は自由だ。
いや、自由だなんて思うのは間違っているのかも。彰ならきっと、七星は怠けているのだというだろう。もっと先のことを考えて動けばいいのに、と昔からよくいわれたものだった。愛情ゆえの小言だった――はずだし、何をいわれても腹は立たなかったが、たまにひどく窮屈な気がして苛立つことはあった。
それでも彰とまともに喧嘩したことは一度もなかったはずだ。だいたい、不機嫌を表に出すのはいつも彰の方だったし、そんな彼に譲って謝るのは七星の方だった。
伊吹もそうなのだろうか。蓮と――つがいとふたりきりのとき、彰のように苛立ったり、蓮を独占しようとするんだろうか? あの人はどんなふうに蓮を――
またずきりと胸が痛んだ。ヒートの時の、たった一度の間違いを忘れられない自分にうんざりする。七星は立ち上がり、狭い事務所の中を行ったり来たりして、あらぬ想像をふりはらおうとした。ついでにゴミを片づけ、納品されたばかりのフライヤーの角をそろえたり、棚のファイルの順序を直したりといった、やってもやらなくてもいいことをして時間をつぶす。
ホワイトボードは文字でぎっしり埋まっていた。七月七日、七夕からはじまる企画まであと三週間程度しかない。時計をみて事務所のドアをそうっとあける。伊吹の気配はもうなかった。
「あ、ここのスタッフの人?」
見知らぬベータの男が話しかけてきたのは公演がおわったあと、観客がぞろぞろ出て行く最中のことだ。七星は地下ホールの出口で、アンケートボックスのうしろに突っ立っていた。
「はい。アンケートはこちらへどうぞ。ありがとうございます」
七星は反射的に手を出して礼をいったが、男は七星の顔をのぞきこむようにみた。三十代なかばだろうか。垢ぬけたデザインの白いジャケットをゆるく羽織っている。地紋で柄を織り出したシャツに粗い目のニットタイ、短いつばの帽子を無造作に頭にのせていた。
「友達が来られなくなって、代理で来たんだけどさ、ここでは他にどんな演目をやってるの?」
「あ、はい――お待ちください」
壁際に押しやっていたラックからパンフレットを抜いて渡すと、男はその場でひらいてみている。
「変わった劇場だね。この中って――」
「むかし銭湯だった建物を改修しているんです」
「ああ、それで中に浴槽があるのか。ボイラー室もそうなの?」
「ええ」
「いつからある?」
「二十年前からです」
奇妙なことに、わざわざ問いかけたわりには男は答えに関心がないような気がした。秋で終わりますけど、と七星はいいたくなったが、もちろん口に出さなかった。今月末までは一般には伏せることになっている。
「俳優さんや演出の方にご用があるなら、もうすぐ二階にいらっしゃいますよ」
「あ、うん――へえ、撮影にも使えるんだね」
男はパンフレットを裏返してしげしげと眺めた。最後のページにはスタジオ撮影用のレンタル料金が載っているのだ。
「はい。インディーズのミュージシャンの方がプロモーションビデオの撮影に利用したりされますね」
「雰囲気あるからね。あ、俺こういう者なんだけど」
男はジャケットの内ポケットに手をいれた。よく手入れされた爪が妙に七星の目をひいた。出てきたのは鮮やかなブルーに染めた革の名刺入れだ。慣れた仕草で一枚渡されて、七星はいささか途惑いながら受け取った。
「株式会社エス・エー・エー……クリエイティブディレクターの春日武流さん?」
「しがない広告屋だよ。でも俺、勘が働くって評判でさ。この建物に入ったとたんにぴんときたんだ」
「ぴんと……?」
七星はきょとんとして聞き返したが、男は邪気のない笑いをみせ、畳んだパンフレットをひらひらと振った。
「これもらっていくよ。二階のカフェってまだ営業してる?」
「はい。公演がある日は延長して営業してます」
「じゃ、そっちものぞいて行くか。どうもありがとう」
男は帽子に手をあて、気障なしぐさで会釈すると、すたすたと通路を歩いて行ってしまった。
――あの人が来ている。
そう考えただけで、七星の全身、細胞のすみずみに甘い高揚がわきあがる。だがカフェの奥に伊吹が座っているのをみるとすぐ、それは突き刺すような胸の奥の痛みと罪悪感に変わる。間違ってはいない、と七星は自分にいいきかせる。あの人がここにいて、それを嬉しいと思うのは仕方のないことだ。あの人にこれ以上近寄らないのは、これ以上ないくらい正しいことだ。
六月第二週、木曜の夕暮れ。ユーヤの地下ホールでは演劇公演がはじまったところだが、伊吹は芝居を見に来たわけではないらしく、カフェの窓際に座っていた。仕事帰りに立ち寄ったのだろう。
七星がいることに伊吹はもちろん気づいている。それどころかまっすぐこっちをみている。七星だって誰よりも先に伊吹をみたのだから、どっちもどっちだ。
ふたりともほぼ同時に会釈した。
それだけで何か重要なことを伝えあったような気がする。おたがいがそこにいると確認して、安堵する。
六月になってからずっとそうだ。伊吹がもっと近くにいて、スタッフと世間話をしていることでもあれば、七星も挨拶程度の話はする。
今日は目をみかわしただけ。たったこれだけなのに、七星の頭の芯にはかすかな甘い感覚がまとわりつく。胸の奥の刺すような痛みや罪悪感を打ち消して、伊吹と会えたことをただ喜んでしまうのだ。
七星も伊吹も、同時に目をそらした。まるで何も起きなかったように七星はペットボトルの袋を持ちかえ、事務所のドアを押した。
「お、七星戻った?」
マツが伸びをしながらふりむく。
「雨まだ降ってる?」
「今はやんでますよ。また降りそうですけど」
ブラインドを下げた事務所の窓からは外の天気はよくみえない。マツが歌うように語尾をのばして「あまもよいだなぁ」といい、七星は「雨模様でしょ?」といいかえした。
「いや、雨催いだよ。催す方。同じ意味だけど」
「そんな言葉あるんですか?」
「あるよぉ。辞書引いてみな」
ユーヤの古株は語彙が豊富だ。まったく太刀打ちできないのを知っているから、七星はうなずくだけにする。マツは七星の無知につけこんだりしない人間だから、きっと正しいのだろう。領収書を経理の机に置いて自分の椅子に座ると、今度はマツが出て行った。地下の様子を見に行ったのだろう。
今日の公演はユーヤが主催ではなかったから、スタッフは必要最小限しかいない。魚居も祥子も留守で、七星は事務所で電話番である。
ノートパソコンを開いたが、メールは回答待ちの案件ばかりだった。暇だからカフェに伊吹がいることを思い出してしまう。いや、もう帰ったかもしれない。伊吹の家は宮久保家――隣県に本拠のある名族だ。七星のような一般人とは縁がないはずの一族だ。
ユーヤが九月末でクローズすると決まっても、七星の日常に変化はなかった。秋からの就職先を探す必要はあったが、まだ何もする気になれない。彰が生きていたらそんな七星に苛立ったにちがいなく、あれこれ口を出しただろうが、今の七星は自由だ。
いや、自由だなんて思うのは間違っているのかも。彰ならきっと、七星は怠けているのだというだろう。もっと先のことを考えて動けばいいのに、と昔からよくいわれたものだった。愛情ゆえの小言だった――はずだし、何をいわれても腹は立たなかったが、たまにひどく窮屈な気がして苛立つことはあった。
それでも彰とまともに喧嘩したことは一度もなかったはずだ。だいたい、不機嫌を表に出すのはいつも彰の方だったし、そんな彼に譲って謝るのは七星の方だった。
伊吹もそうなのだろうか。蓮と――つがいとふたりきりのとき、彰のように苛立ったり、蓮を独占しようとするんだろうか? あの人はどんなふうに蓮を――
またずきりと胸が痛んだ。ヒートの時の、たった一度の間違いを忘れられない自分にうんざりする。七星は立ち上がり、狭い事務所の中を行ったり来たりして、あらぬ想像をふりはらおうとした。ついでにゴミを片づけ、納品されたばかりのフライヤーの角をそろえたり、棚のファイルの順序を直したりといった、やってもやらなくてもいいことをして時間をつぶす。
ホワイトボードは文字でぎっしり埋まっていた。七月七日、七夕からはじまる企画まであと三週間程度しかない。時計をみて事務所のドアをそうっとあける。伊吹の気配はもうなかった。
「あ、ここのスタッフの人?」
見知らぬベータの男が話しかけてきたのは公演がおわったあと、観客がぞろぞろ出て行く最中のことだ。七星は地下ホールの出口で、アンケートボックスのうしろに突っ立っていた。
「はい。アンケートはこちらへどうぞ。ありがとうございます」
七星は反射的に手を出して礼をいったが、男は七星の顔をのぞきこむようにみた。三十代なかばだろうか。垢ぬけたデザインの白いジャケットをゆるく羽織っている。地紋で柄を織り出したシャツに粗い目のニットタイ、短いつばの帽子を無造作に頭にのせていた。
「友達が来られなくなって、代理で来たんだけどさ、ここでは他にどんな演目をやってるの?」
「あ、はい――お待ちください」
壁際に押しやっていたラックからパンフレットを抜いて渡すと、男はその場でひらいてみている。
「変わった劇場だね。この中って――」
「むかし銭湯だった建物を改修しているんです」
「ああ、それで中に浴槽があるのか。ボイラー室もそうなの?」
「ええ」
「いつからある?」
「二十年前からです」
奇妙なことに、わざわざ問いかけたわりには男は答えに関心がないような気がした。秋で終わりますけど、と七星はいいたくなったが、もちろん口に出さなかった。今月末までは一般には伏せることになっている。
「俳優さんや演出の方にご用があるなら、もうすぐ二階にいらっしゃいますよ」
「あ、うん――へえ、撮影にも使えるんだね」
男はパンフレットを裏返してしげしげと眺めた。最後のページにはスタジオ撮影用のレンタル料金が載っているのだ。
「はい。インディーズのミュージシャンの方がプロモーションビデオの撮影に利用したりされますね」
「雰囲気あるからね。あ、俺こういう者なんだけど」
男はジャケットの内ポケットに手をいれた。よく手入れされた爪が妙に七星の目をひいた。出てきたのは鮮やかなブルーに染めた革の名刺入れだ。慣れた仕草で一枚渡されて、七星はいささか途惑いながら受け取った。
「株式会社エス・エー・エー……クリエイティブディレクターの春日武流さん?」
「しがない広告屋だよ。でも俺、勘が働くって評判でさ。この建物に入ったとたんにぴんときたんだ」
「ぴんと……?」
七星はきょとんとして聞き返したが、男は邪気のない笑いをみせ、畳んだパンフレットをひらひらと振った。
「これもらっていくよ。二階のカフェってまだ営業してる?」
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