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戦闘後の銭湯ってなんかいいですよね
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「魔王、ちょっといいっすか?」
勇者が訪ねて来て数日後にはじまりの村から1番近くのモンスター達を束ねるアポロさんが不機嫌そうに私のところに来ました。
アポロさんはレベル5くらいあれば誰でも倒せる簡単な小ボスさんです。
「久しぶりですねアポロさん。羽痛は最近良いんですか?」
アポロさんはコウモリのモンスターです。
魔王討伐全盛期にあらゆるパーティがレベル上げのため何度もアポロさんに戦闘を挑み、画面の都合上ずっと飛んでいなければならなかったため慢性的な羽痛を患ってしまいました。
もちろん労災で治療中です。
「魔王から勧められた温泉で湯治して少し良くなったんですけど、こないだの戦闘でまた少しジンジンしてるんすよね」
「もしかしてその勇者の名前はエルですか?」
「さすが魔王、あんな辺境の地のことでももう耳に入ってるんですね」
いや知ったのはこの魔王城でですけどね。
そうですか、頑張ってるんですねエル。
「けどそのエルって勇者、パーティ組まないで1人で挑んで来るんすよ。最初勇者だけのレベル上げかな?って思ったんですけど、その割に凄い弱くて…」
は?1人…?
「ちなみにそのエルの今のレベルは?」
「それが…2です」
「え?…2?」
「はい、1の次の2です。私のところ来るまでに3~4まで行くんですけどなにせ1人なもんで負けるじゃないですか?酒場で復活して冒険に出る前の2に戻っちゃうんですよ。それのエンドレス」
あの人なにしてんですか!
「私、最弱のボス言われてるんですよ?全パーティのレベルが5あれば回復魔法使わなくても余裕で倒せるんですよ?それが1人で、しかもあのレベルで何度も挑んで来るって、あの人バカなんじゃないですかね?」
否定は出来ません。
なにせ自由に決められる名前を決められず、ラスボスの私に相談しに来るくらいですから。
「何回も来るからもう私、羽パンパンなんすけどどうにかならないですかねぇ?」
アポロさんももう若くはありません。
無駄に戦闘が長引けばそれだけ羽にキます。
「わかりました。私がなんとかしておきます」
「すいません魔王。よろしくお願いします」
パタパタと飛び上がろうとするアポロさん。
「あ!無理しないで!私、巣の洞窟まで飛ばしますから」
「重ね重ねすいません魔王」
「はい、テレポ」
すみませんねアポロさん。
もうちょっと我慢してください。
「メイルさん!メイルさんいます?」
私は館内放送でメイルさんを呼ぶとしばらくして扉が開き、妖精のメイルさんが姿を現しました。
メイルさんは妖精族の小さな小人で私の軍の中では希少な非戦闘員です。
ティンカーベルのオスを想像していただけたらメイルさんの姿がわかると思います。
「珍しいですね、館内放送なんて。今日サディちゃんは?」
「生理休暇で休むそうです」
多分二日酔いで朝起きられなかっただけだと思います。
「そうなんすか。で、何か用事でも?」
「お願いがあるんですが、エルっていう勇者をここに呼んできて欲しいんです。多分始まりの村からアポロさんの所までをうろうろしてるはずです」
「序盤も序盤っすね」
序盤どころか始まってイの1番に私んトコ来ましたよ、名前つける前に。
「わかりました。行ってきます」
「すみませんねメイルさん。お願いします」
パタパタとメイルさんが窓から羽ばたいて行くのを見送って私はひとつ大きなため息をつくのでした。
勇者が訪ねて来て数日後にはじまりの村から1番近くのモンスター達を束ねるアポロさんが不機嫌そうに私のところに来ました。
アポロさんはレベル5くらいあれば誰でも倒せる簡単な小ボスさんです。
「久しぶりですねアポロさん。羽痛は最近良いんですか?」
アポロさんはコウモリのモンスターです。
魔王討伐全盛期にあらゆるパーティがレベル上げのため何度もアポロさんに戦闘を挑み、画面の都合上ずっと飛んでいなければならなかったため慢性的な羽痛を患ってしまいました。
もちろん労災で治療中です。
「魔王から勧められた温泉で湯治して少し良くなったんですけど、こないだの戦闘でまた少しジンジンしてるんすよね」
「もしかしてその勇者の名前はエルですか?」
「さすが魔王、あんな辺境の地のことでももう耳に入ってるんですね」
いや知ったのはこの魔王城でですけどね。
そうですか、頑張ってるんですねエル。
「けどそのエルって勇者、パーティ組まないで1人で挑んで来るんすよ。最初勇者だけのレベル上げかな?って思ったんですけど、その割に凄い弱くて…」
は?1人…?
「ちなみにそのエルの今のレベルは?」
「それが…2です」
「え?…2?」
「はい、1の次の2です。私のところ来るまでに3~4まで行くんですけどなにせ1人なもんで負けるじゃないですか?酒場で復活して冒険に出る前の2に戻っちゃうんですよ。それのエンドレス」
あの人なにしてんですか!
「私、最弱のボス言われてるんですよ?全パーティのレベルが5あれば回復魔法使わなくても余裕で倒せるんですよ?それが1人で、しかもあのレベルで何度も挑んで来るって、あの人バカなんじゃないですかね?」
否定は出来ません。
なにせ自由に決められる名前を決められず、ラスボスの私に相談しに来るくらいですから。
「何回も来るからもう私、羽パンパンなんすけどどうにかならないですかねぇ?」
アポロさんももう若くはありません。
無駄に戦闘が長引けばそれだけ羽にキます。
「わかりました。私がなんとかしておきます」
「すいません魔王。よろしくお願いします」
パタパタと飛び上がろうとするアポロさん。
「あ!無理しないで!私、巣の洞窟まで飛ばしますから」
「重ね重ねすいません魔王」
「はい、テレポ」
すみませんねアポロさん。
もうちょっと我慢してください。
「メイルさん!メイルさんいます?」
私は館内放送でメイルさんを呼ぶとしばらくして扉が開き、妖精のメイルさんが姿を現しました。
メイルさんは妖精族の小さな小人で私の軍の中では希少な非戦闘員です。
ティンカーベルのオスを想像していただけたらメイルさんの姿がわかると思います。
「珍しいですね、館内放送なんて。今日サディちゃんは?」
「生理休暇で休むそうです」
多分二日酔いで朝起きられなかっただけだと思います。
「そうなんすか。で、何か用事でも?」
「お願いがあるんですが、エルっていう勇者をここに呼んできて欲しいんです。多分始まりの村からアポロさんの所までをうろうろしてるはずです」
「序盤も序盤っすね」
序盤どころか始まってイの1番に私んトコ来ましたよ、名前つける前に。
「わかりました。行ってきます」
「すみませんねメイルさん。お願いします」
パタパタとメイルさんが窓から羽ばたいて行くのを見送って私はひとつ大きなため息をつくのでした。
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