妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま

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Folge 40 束縛で心臓バクバク

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「こうして、ここもこうすれば、うふふ」

 ――あん?
 そう言えば、力が抜けたんだっけ。
 ――その先が思い出せない。

「次はこっち。こうして、こんな感じかな。うふふ」

 まだ全身が麻痺している。
 しびれの酷いやつって感じ。
 これって、美咲に何かを飲まされたってことだよな。
 それしか無いか。
 美咲……。
 まさかこういうことをする子だとは思わなかった。
 それにしても、意識が戻ってきているのに身体は痺れたままとは。
 動けないし声も出せないんじゃどうにも詰んでるな。

「これでサダメちゃんが起きても大丈夫。うふふ」

 へ?
 何かをされたのは分かるけれど、目も開かないからさっぱりわからない。

「素敵。はぁ、いつまでも見ていたい……」

 うー、どういう状況なんだろ。
 段々怖くなってきちゃったよ。
 感覚無し、声が出せない、目が見えない……。
 これで耳が聞こえて意識があるってのは怖すぎるよ。

「キスもゆっくり出来た。はぁ、幸せ」

 キスしていたのか。
 おいおい。
 ほんとに感覚が無いんだが。
 これから何をされるのか考えたくないな。
 いっそ意識が無い方が良かった……。
 なんで耳まで聞こえるんだ。
 それなら少しは身体が動いてくれてもいいじゃないか。

「サダメちゃん、そろそろ聞こえているのかな」

 なんだって!?
 この感覚は意図的にされたことなのか。
 一体どうやって……。

「考えても答えは出ないでしょうから気にしないの」

 全てお見通し?

「あなたは私のモノなの。何も考えないで」

 そう言われてもさ。
 恐怖心があるんじゃ考えないわけにはいかないぞ。

「今はね、頭を撫でているだけよ。怖くない、怖くない……」

 いや、怖いから。
 めっちゃ怖いから!

「サダメ?」

 咲乃の声だ。
 様子を見に来たのか。

「あれ? サダメ~。美咲~」

 美咲はなんで返事をしないんだ?
 ああもう。
 朝起きた時の弟妹にしがみ付かれているのとは大違い。
 自分から何もできないのは辛すぎるよ。
 こんなことしなくても美咲になら……。

「ねえ、二人共いるよね? 大丈夫?」
「どうしたの咲乃ちゃん」
「あ、カルラちゃん。二人共何の反応もないんだ」
「お取込み中だったとか?」
「物音一つしないんだよ」

 オレは動けないから音も出せないけど、美咲はどうしたんだ?
 オレに話しかけていたのに……。

「ボク、嫌な予感がする……」
「どういうこと?」
「もしかして、美咲が飲み物を持って行った?」

 やっぱり飲まされたのか。
 咲乃が気づくってことは初めてじゃないってこと!?

「うん、サダメに飲み物持って行くって」
「何を持って行った?」
「何って、ココアとミルク」
「あ! そっか……」

 何か混ぜたことの確認にしてはおかしい。
 だって飲み物の種類って関係無いだろ。

「まずいなぁ、サダメが無事ならいいんだけど、物音無いし」
「まずい状況なの!? 中に入ろうよ」

 カルラが開けようとしているけど、鍵を掛けていたみたいだな。
 オレを閉じ込める気満々だったのか。

「鍵掛かっている?」
「大丈夫。これで開けられるから」
「ヘアピン!? まるでスパイね」
「そんなことないわ。家の中の鍵って、キーが無くても開けられるから」

 そうだった。
 ウチのドアは全部中から鍵が掛けられるけど、外側は浅い鍵溝がある。
 確かにヘアピンがあれば開けられる。

「サダメ? 美咲ちゃん? ええ!?」

 ええ!? ってなんだよ。
 もっと怖くなっちまうだろうが。

「ああんもう! サダメごめん! すぐ外すから」

 外す!?
 固定されていたのか。
 そこまでされなくても動けなかったけどな。


 どうやらオレはベッドの四つ角にガムテープで手足を固定されていたらしい。
 美咲はミルクを飲むと独占欲が覚醒するんだとか。
 なんだよそれ。
 オレと二人きりになることで緊張が限界を超えた。
 それを誤魔化そうとお酒のような気分でミルクを飲んだと。
 それが逆効果になったようだ。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「わかった、わかったから。悪気は無かったわけだしさ」
「でも、でも!」
「初めて会った時から物凄く緊張する子だってのは知っているから」
「はあ。また兄ちゃんの異常な優しさが出てる……」
「ツィスカ、そこが好きなんでしょ?」
「カルラもじゃん」
「わたしは全部好きだから。サダメのために産まれたんだもの」
「はいはい。それにしても美咲ちゃんにそんな技があったなんてね」

 技ってなんだよ。
 確かに全く歯が立たなかったけどさ。
 戦うつもりはなかったぞ。

「サダメ、美咲を嫌いにならないでね」
「大丈夫だって。理由が分かれば問題ない。そりゃ怖かったのは確かだけど」
「今日の夜は精一杯お相手させていただきます!」
「あの、程々でいいから。ほどほどで」
「はい! 精一杯尽くします!」

 だめだ。
 聞いてくれない……。

「しょうがないわね。ドアの前で寝るから、何かあったら呼んでよね、兄ちゃん」
「お前、いや、お前らどうせ全員ドアの前で様子を伺うつもりだろ」
「当然よ。見張りは大事」

 カルラの発言にツィスカと咲乃が大きく頷いている。
 なんだこいつら。
 だったらみんなで寝ればいいのに。

「美咲ちゃん、やらかしちゃったね」
「タケル君、やっちゃった」

 タケルは美咲がこうなる性質を知っていたってことか。
 あいつ。
 話した時に言えよな!
 オレが恐怖体験をしただけの一日だった。
 酷いよ……。
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