妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま

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Folge 39 ミルク

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 さてさて。
 彼女がチェンジされましたよ。
 なんだか酷い男に聞こえる……。
 オレがチェンジしたわけじゃないからね!?
 彼女が仮彼女を決めて、仮彼女が次の仮彼女に替わっただけだから!
 ――言えば言う程酷いな。
 もう黙ってタスクをこなそう。
 いや待て。
 彼女と付き合うことをタスクとするのは失礼過ぎた。
 クズだ、オレ。

「サダメ、どうしました?」
「ごめんな」
「えっ、何かしましたっけ?」
「あ、いや、悪いなと思ってさ」

 首を傾げる美咲。
 そりゃそうだ。
 誰だっていきなり謝られたら何のことかわからないよね。

「丁寧語に戻っているね」
「あまり意識していないので、コロコロ変わると思います」
「そっか。特に嫌な思いをしているとかでなければ構わないよ」

 美咲はオレの真正面に立った。
 今度は逆に何をするのか分からないことをされちゃった。
 同じく首を傾げて様子を見る。

「私、二人きりになりたいのですけれど」
「いきなりだな」
「いいじゃないですか。咲乃ともそうしていたのですし」

 確かに。
 こちらとしても、同じ容姿の子から既にされたことに驚きはしない。
 全く問題ないぞ。

「そうだな。オレもどうしたらいいか分からないから、とりあえず、ね」
「はい!」

 弟妹もこちらを同時に見る。
 いいんじゃない? と目で伝えてきた。

「それじゃあ部屋に行くよ」

 タケルがにこやかに手を振ってくる。

「いってらっしゃい」

 美咲と話しをしてきたタケル。
 その辺の思いも詰まった送り出しなんだろうな。
 さて、美咲がご所望の二人きり時間。
 この時間が一番困るかも。
 何をすればいい時間なんだろ。
 無理してでも二人きりにならなきゃいけないのかな。
 咲乃と付き合ってみたことで何かは少し分かった気でいたけれど。
 何も分かっていないや。
 美咲と楽しくなれたらそれでいい。
 それだけで良いんだろう、と思っておく。
 ガチャリと滅多に聞かない音が聞こえた。
 部屋の鍵が掛けられたらしい。
 鍵を!?

「鍵――」
「はい。二人きりの時間を邪魔されたくないので」
「あ、ああ」

 なんとなく気持ちはわかる。
 鍵をかけておけばよかったと思ったことは、しばしばある。
 思い出すと恥ずかしいことばかりだ。
 あはは。

「飲み物をもらってきますね。待っていてください」
「ありがと」

 ふう。
 美咲も多少は緊張しているのかな。
 鍵をかけたばかりなのに……。
 オレも飲み物は助かるから賛成だけどさ。
 彼女って思うだけで、今までとは違ってくる。
 妙に意識するからね。

「お待たせしました」

 ベッドから降りてミニテーブル前に座る。

「聞いていなかったのでココアにしてしまいましたけど、良かったですか?」
「ココア好きだから問題ないよ」
「良かったあ」

 綺麗に笑うよなあ。
 同じだけど違いを感じるのが双子の不思議。
 これって双子の妹がいるオレならではの感覚なのかな。
 裕二や他の連中の反応を見ていると、困惑していることがあったな。
 どっちだか分からなくなるって。
 オレ、分からなくなることが分からない。

「美味しいよ。少し甘めにしてあるね」
「少しだけハチミツを。私ならではのものを作りたくて」

 自分のを一口飲んでからこちらをジッと見ている。

「どした?」
「味、変でしたか? お口に合わなければ無理して飲まないでくださいね」
「いや、美味しいよ、大丈夫。美咲は何にしたの?」
「ホットミルクです。好きなんですよ」
「そうなん、だ――」

 あれ?
 なんだか急に瞼が重くなってきた。
 ちょっと、おかしいな。
 全身の力が抜けて、座っているのに上半身を起こしていられなくなる。
 このことを美咲に話したいのだけど、口もまともに動かない。

「うふふ。サダメちゃん、効果が出るの早いんですね」

 効果? 何のことだ。
 んと、あの――
 ――脳内で考える
 ――ことまで
 ――呂律、が
 ――まわらなくなって……きて……いる

「おやすみなさい。私のサダメちゃん」
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