妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま

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Folge 44 無敵

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「それにしても、サダメは堂々とイチャつくようになったな」
「ん?」
「弟妹のことしか頭に無くて、妹と相思相愛だからと周りから敬遠されて」
「その辺の話は言わないでくれ。これでも気にしている」

 この話が出ると反射的に周りの視線を気にしてしまう。
 酷く冷たい目で見られていたからなあ。
 美咲が絡みだしてからは見られ方が変わったように思う。
 なんとなくね。
 冷たい目線からぬるい目線に変わったというか。
 当たりが柔らかくなったような。
 妹以外の女子と話すようになるだけでこの差になるのか。
 妹が好きで何が悪いんだ?
 可愛いぞ、あいつら。
 可愛い事への嫉妬かな。
 いや、男子も冷たかったし。
 可愛い妹がいることへの嫉妬かな。
 なんだ。
 結局羨ましいってだけだったのか。
 へへ、いいだろ。
 今じゃこんな美人の姉妹までくっついているしね。
 なんだか調子に乗ってしまいそうだ。
 人に羨まれるって嬉しくなってくる。
 くすぐったいな。
 そうか、そうだったんだ。
 もっと堂々としていいんだ。
 卑屈になることなんて無かったんだよ。

「ははは! そうっか」
「なんだよ急に」
「お前、まだ土下座してたの?」

 目線に裕二が入らないから床を見た。
 ドッグフードを食べている最中の犬のような裕二がいた。

「お二人に睨まれていたらこの体勢をキープするしかないだろ」
「がんばれ」

 舌打ちをする裕二。
 それをさらに睨みつける美乃咲姉妹。

「……すみません」

 これは当分下僕だな。
 それが一番の平和な選択だろう。


 ◇


 美咲の教室は別。
 よって同クラスの咲乃が嬉しそう。
 姉にずっと独占されるわけではないのだと、ウキウキだ。
 微笑む咲乃を見ると安心するよ。
 あれだけ人混みが苦手だと、吐いたりまでしていたのだから。
 今じゃニコニコと時には真剣な眼差しで授業を受けている。
 少しは役に立てたのかな。
 たまに女子からも声を掛けられているみたい。
 まだその対応は無理っぽい。
 オレにヘルプ目線を送ったり、謝って逃げてきたり。
 それでも疲れて倒れるなんてことは無くなった。
 その後のケアが大変なんだ。
 他人と接した分だけ甘えて来るから。
 縄張り争いに負けて飼い主にすり寄る猫のように。


 ◇


 何気に咲乃が得をする学校が終わった。
 下校になったわけだが。

「妹ちゃんたちとタケル君に分かるかどうか試してみようよ」
「朝確認してもらった時にみんな見ているじゃない。意味無いわ」
「美咲トイレに行きたいでしょ。公園に行ってきなよ」
「行きたくないわよ。咲乃こそ行って来たら? 待っていてあげるから」
「喉乾いたでしょ。買ってきたら? 待っていてあげるから」
「もう、しつこいなあ。サダメちゃんの彼女は私なの」
「仮だもん」
「仮でも今は私が彼女。咲乃は体験したじゃない。反則する気?」
「べ、別に反則じゃないよ。ボクは美咲が離れる時にサダメが寂しくないように――」
「無理やり理由作ってサダメちゃんとの時間を作ろうとしているだけじゃない」
「そ、そんなことないもん」
「サダメちゃんに嫌われるわよ?」

 可愛いやりとりだなあ。
 これでも姉妹喧嘩なのかな。

「ボクのこと、嫌いになる? 今でも好き?」
「言っただろ、好きだって」
「えへへ」
「ああ! そりゃまだ初日ですけど。一週間かけて私寄りにしてあげるからね」
「美咲じゃ無理だよ。ボクとサダメはもう恋人になっているから」
「咲乃が勝手にそう思っているだけよ。私のターンに入ったのだから、ふふ、ふふふ」

 その笑い、怖いって。
 一週間もあれば、何かが起きそうな予感。
 いや、大丈夫だろう。
 あの時も随分と謝っていたしな。
 そこは信じてあげないと。

「むう。サダメはボクのだ」

 小さく呟きながら俯いて歩いている。
 最近日増しに咲乃の可愛さが増している気がする。
 まだ可愛くなるんだな。
 それはそれで恐ろしいぞ。
 どこまで可愛くなるってんだ。

「兄ちゃんみっけ!」

 遠くから良く通る聞きなれた声がした。
 この地元でそんな子はツィスカしかいない。
 告白途中の男子を鞄で殴り倒している。
 これが日常。
 そして弟妹が全員走ってこちらへ向かってくる。

「いっちばん!」
「また二番ね」
「僕は全員ハグできるから最後が好き」

 美咲ごとオレはハグされた。
 ハグかな、これ。
 ほとんど押し競饅頭くらまんじゅうじゃないのかな。

「今日も無事だったみたいね。いつも元気な兄ちゃん!」
「体温良し、血圧良し、ハグによる多少の高揚有り。問題無いわ」
「兄ちゃんと姉ちゃんは最高だあ」

 ……やっぱこいつら無敵だな。
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