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暑い。
夏休みが目の前に迫ってきているから当然か。
その前に熱いイベントがあるのだ。
期末テスト。
オレは授業中に先生が漏らす大事なキーワードを逃さない。
それをかき集めた上で出題者の気持ちになってヤマを張る。
これが良く当たる。
ところが今回は諸々の事情により、授業の内容がほぼセーブできていない。
ヤバい――ヤバいんだよ!
何の情報も無いのだ!
今回は上位陣から脱落かも。
「サダメ、入ってもいい?」
ドアをノックされたことで抱えていた頭から手を離した。
咲乃のようだけど、なんだろ。
「いいよ」
一人、か。
ドアを締め終わるまで部屋の外をジッと見てみる。
誰もいないようだ。
「咲乃だけか?」
「そうだよ。みんな勉強中だから静かにしようねって決めたんだ」
「気を使わせてすまない」
「謝るのはこっちだよ。ごめんね、授業邪魔してばかりだったからさ」
そんなにきちんと謝られると申し訳ない気がしてしまうのはなんでだろう。
「そんなこと言うなよ。オレの集中力が足りなかっただけだ」
「優しんだから。そういうところ……えっと、あん、おっと」
「可愛い声出し始めるなよ。謝ったそばから邪魔だてするのか?」
抱えられている重ねた冊子やプリントが崩れそうになっている。
それを落とすまいとして声が出たみたい。
「落ちちゃう。サダメ、これ持って」
「あわわ、ちょ、よし、いいぞ離して」
結構な重量。
いろいろなサイズの紙ものが重ねられているから崩れやすい。
「なんだよこれ」
「ボクが邪魔していた分の授業を記録したものだよ」
なんと!
「え! 咲乃はちゃんと受けていたってのか」
「うん。サダメを堪能しながらだったから捗った」
オレと真逆かよ。
「だからね、その、これを使って欲しいなって」
顔を火照らせて言うとさ、めっちゃ可愛いんですけど!?
こいつは妙なギャップがあるんだよな。
それにこの容姿だから――パンチ力半端ない。
「ほんとだ。全部メモってあるどころか要所も印が付いていて分かりやすい」
「使えるかな?」
「マジで助かる! これならなんとかなりそうだ。ありがと、咲乃」
ん?
両手を広げて見せている。
「ご褒美、ちょうだい――」
なんだよそれー!
咲乃が甘え上手になっている!
くぁぁぁっ!
あげるよあげる! いくらでもっ!
「おいで!」
テテテテっと寄ってきたところでオレは立ち上がる。
そして思いっきり抱きしめた。
「ひゃ!」
「今日はいつも出さない声が聞けるな」
抱きしめる腕に力が入る。
久しぶりに咲乃を感じながら間近で顔を見る。
鼻の頭をちょんと触って横へ滑らせる。
鼻を並べるとそのまま唇を重ねた。
オレからこんなキス、レアなので本物のご褒美です。
「すごく、ドキドキしてる……サダメからしてもらっちゃった」
「ご褒美だから――内緒だぞ」
「うん……」
顔が真っ赤だ。こっちまで照れるだろ。
いや、抱きしめてからは照れまくりなんですけど。
「よし、頑張るか!」
真っ赤な顔のまま部屋を出ていく咲乃を見送った。
勢いでしてしまった、キス。
やれてしまうもんだな。
雰囲気とか、勢いって大事だね――いやいや、怖いね。
それにしても授業の記録はマジで助かる。
一からやるのは変わらないんだけどさ。
全く無かった情報が一気に揃ったんだ。
みんな気を使って時間を作ってくれている。
これを無駄にしてはいけない。
いつも通り、いやそれ以上の結果を出さないと。
両頬をペチペチと叩いてシャキッとさせる。
頑張ったら誰と寝ようかな。
やっぱりこんなにありがたいヘルプをしてくれた咲乃だよな。
うんそうしよう。
うわー、なんて贅沢なことを。
でもさ、そんなエサぶら下げれば頑張れる!
あ、いい加減始めよう。
夏休みが目の前に迫ってきているから当然か。
その前に熱いイベントがあるのだ。
期末テスト。
オレは授業中に先生が漏らす大事なキーワードを逃さない。
それをかき集めた上で出題者の気持ちになってヤマを張る。
これが良く当たる。
ところが今回は諸々の事情により、授業の内容がほぼセーブできていない。
ヤバい――ヤバいんだよ!
何の情報も無いのだ!
今回は上位陣から脱落かも。
「サダメ、入ってもいい?」
ドアをノックされたことで抱えていた頭から手を離した。
咲乃のようだけど、なんだろ。
「いいよ」
一人、か。
ドアを締め終わるまで部屋の外をジッと見てみる。
誰もいないようだ。
「咲乃だけか?」
「そうだよ。みんな勉強中だから静かにしようねって決めたんだ」
「気を使わせてすまない」
「謝るのはこっちだよ。ごめんね、授業邪魔してばかりだったからさ」
そんなにきちんと謝られると申し訳ない気がしてしまうのはなんでだろう。
「そんなこと言うなよ。オレの集中力が足りなかっただけだ」
「優しんだから。そういうところ……えっと、あん、おっと」
「可愛い声出し始めるなよ。謝ったそばから邪魔だてするのか?」
抱えられている重ねた冊子やプリントが崩れそうになっている。
それを落とすまいとして声が出たみたい。
「落ちちゃう。サダメ、これ持って」
「あわわ、ちょ、よし、いいぞ離して」
結構な重量。
いろいろなサイズの紙ものが重ねられているから崩れやすい。
「なんだよこれ」
「ボクが邪魔していた分の授業を記録したものだよ」
なんと!
「え! 咲乃はちゃんと受けていたってのか」
「うん。サダメを堪能しながらだったから捗った」
オレと真逆かよ。
「だからね、その、これを使って欲しいなって」
顔を火照らせて言うとさ、めっちゃ可愛いんですけど!?
こいつは妙なギャップがあるんだよな。
それにこの容姿だから――パンチ力半端ない。
「ほんとだ。全部メモってあるどころか要所も印が付いていて分かりやすい」
「使えるかな?」
「マジで助かる! これならなんとかなりそうだ。ありがと、咲乃」
ん?
両手を広げて見せている。
「ご褒美、ちょうだい――」
なんだよそれー!
咲乃が甘え上手になっている!
くぁぁぁっ!
あげるよあげる! いくらでもっ!
「おいで!」
テテテテっと寄ってきたところでオレは立ち上がる。
そして思いっきり抱きしめた。
「ひゃ!」
「今日はいつも出さない声が聞けるな」
抱きしめる腕に力が入る。
久しぶりに咲乃を感じながら間近で顔を見る。
鼻の頭をちょんと触って横へ滑らせる。
鼻を並べるとそのまま唇を重ねた。
オレからこんなキス、レアなので本物のご褒美です。
「すごく、ドキドキしてる……サダメからしてもらっちゃった」
「ご褒美だから――内緒だぞ」
「うん……」
顔が真っ赤だ。こっちまで照れるだろ。
いや、抱きしめてからは照れまくりなんですけど。
「よし、頑張るか!」
真っ赤な顔のまま部屋を出ていく咲乃を見送った。
勢いでしてしまった、キス。
やれてしまうもんだな。
雰囲気とか、勢いって大事だね――いやいや、怖いね。
それにしても授業の記録はマジで助かる。
一からやるのは変わらないんだけどさ。
全く無かった情報が一気に揃ったんだ。
みんな気を使って時間を作ってくれている。
これを無駄にしてはいけない。
いつも通り、いやそれ以上の結果を出さないと。
両頬をペチペチと叩いてシャキッとさせる。
頑張ったら誰と寝ようかな。
やっぱりこんなにありがたいヘルプをしてくれた咲乃だよな。
うんそうしよう。
うわー、なんて贅沢なことを。
でもさ、そんなエサぶら下げれば頑張れる!
あ、いい加減始めよう。
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