妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~

沢鴨ゆうま

文字の大きさ
82 / 107

Folge 82 温泉と妄想

しおりを挟む
「みんなバーベキューだ!」

「あはは」

 食後のお片付け。
 突然ツィスカが叫び出した。
 理由が分かったのか、カルラが笑っている。

「どうしたんだ?」

 一人一人、一嗅ぎして回って答えた。

「今みんな美味しいよ、きっと」

「煙の匂いが付いたからってことみたいよ」

 ああ。
 お寺の常香炉的な?
 ご利益は……腹いっぱいの食べ物?
 どんなことでも思いっきり楽しめるのがツィスカだ。
 満喫できていそうで良かった。

「ツィスカ、はしゃいでいるね」

「だな。バーベキューは好きだったか」

「みんなとワイワイ食べるのが好きだから」

「全員そういう食べ方が好きだもんな」

 明らかにテンションが上がっているツィスカ。
 たぶん、突然スイッチが切れるパターンだろう。
 やれやれ。
 就寝時間はツィスカが決めそうだな。

「それでは、匂いを落としに行きましょうか」

「お風呂!」

「そうです。それも温泉ですよ!」

「温泉!」

 ツィスカが酔っ払っている。
 バーベキュー酔いってあるのか!?
 煙酔いかな。
 温泉は少し離れた所にあるという話だった。
 夕飯をバーベキューにしたのは温泉に入るからかも。
 後で洗い流せると考えればあり得る。
 温泉を楽しむ付加価値にもなるか。
 普通の風呂とは違い、温泉なら雰囲気も味わえる。
 遠出の定番だとは思うけれど、間違いのない選択だ。
 特に藍原家は旅行そのものが珍しい。
 定番であることが助かる。

「とりあえず片づけはこれで良しとして、着替えを用意しましょう」

 美咲の指示に全員従う。

「モノを積んだだけになっているけど、洗いとか返却分を運ぶとかしなくていいの?」

「戻ったら私がやっておきますから。今はみなさんが楽しみにしていることを優先したいので」

「なんだか悪いよ。戻ったら手伝うから、始める時に絶対呼んでくれ」

「サダメちゃんがそう言うのなら。絶対にお声掛けしますね」

 この主従はムズムズする。
 オレは平凡な一般人。
 身分が高いわけではない、。
 だけどさくみさは、どうも決めたら徹底するタイプ。
 主従関係と認識してしまった現状。
 それを変える何かが起きるまではこのままなのだろう。
 ヘタに口を出せなくなってしまう。
 その反面、美女二人を意のままに操れてしまうのでは!
 と考えてみたりして。
 男はいけませんねえ。
 二人共に好かれているだけで満足しろよ、自分。

「サダメちゃんを呼べる口実が。ふふ、ふふふ」

 ん~と。
 美咲は時々モードが切り替わるよな。
 時々覗かせる怪しい感じ。
 あのミルクを飲んだ時の……。
 あちらが本当の美咲だと思うんだよ。
 ミルクは解放させているんだろうからさ。
 普段は気持ちを抑えている結果、丁寧語になりがちなのだと。
 だから丁寧語の美咲には、我慢することないよと言いたいんだ。

「サダメー!準備できたの?」

「ごめん、今からだ」

「置いて行っちゃうぞ? その時はボクも一緒だけどさ」

 咲乃も隙あらばってのを常に狙っているなあ。
 嬉しいな。
 今じゃこちらの方が一緒にいて欲しくなっているのに。
 さて、いよいよ温泉だ。
 意気込むようなものではないのだろうけどさ。
 妙に気持ちが昂るんだよな。

「兄ちゃんと温泉! 兄ちゃんと温泉!」

「いや、一緒に入るのはマズいんじゃないのか?」

 混浴とかあっても、外の風呂では気が引ける。
 家のように入りたいのは山々さ。

「美咲ちゃん、混浴とかないの?」

 カルラよ、それを狙うのか。

「残念だけど無いの。私も温泉でサダメちゃんと一緒に入れたら嬉しいのに」

「いつも美咲は遠慮するのに、温泉だと積極的になるんだな」

「当然一緒に入りたいですよ。でも、なんだか恥ずかしさが勝ってしまって……」

「外だと気持ちが勝ちやすいってことかな」

「なのでしょうね。……一緒に入りたいです」

 なんだよ。
 美咲がとろんとした眼を向けている。
 そんな表情は他の連中よりずっと少ないのに。
 胸がキュっとするだろ。
 その……構いたくなるじゃないか。

「あたし達がいるから入ったとしても二人きりにはならないけどね!」

 長女マウントが来た。
 徹底したガードだ。
 でも最近は半分本気で半分遊びになっているような。
 別荘から出発し、そんな話をしながら歩いた。
 するとあっという間に到着する。
 賑やかだと時間が経つのは早い。

「ここですよ」

 別荘と同じようにログハウス風に作られた建物。
 外観からではとても温泉とは思えない。
 コテージのように見える。
 この辺りの別荘はログハウス系が集まっているようだ。

「さて、入りますか!」

 気合を入れてタケルと肩を組んで男風呂を目指す。
 残った女子は全員残念そうだ。
 ……そんなに!?
 やっぱりさ、妹はまだわかるんだが。
 さくみさはちょいと考えてしまうぞ。
 その辺の壁をあちらは取り除いてしまったようだ。
 あ……主従関係。
 それが大きいのかな。
 男風呂に来い、とか試したくなる。
 いやいや。
 主として失格だ。
 待てよ、主の特権?
 ――――何を考えているんだか。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...