恋愛ショートショート

狂った彼氏

ある晩、真弓は正行とのデートのために待ち合わせ場所の公園にやってきた。
しかし、公園には正行の姿がなかった。
心配しながらも、真弓は少し待ってみようと思い、ベンチに座った。

すると、真弓の目の前に一人の男性が現れた。
その男性は、薄暗い公園の中で不気味な雰囲気を醸し出していた。
真弓は身を縮めたが、男性は近づいてきて、何かを言おうとしていた。

「お待たせしました。真弓さん、お元気でしたか？」

驚きと安堵が入り混じった感情が真弓の胸を襲った。
なんと、その男性は正行だったのだ。真弓は声を失ったまま、正行を見つめた。

「驚かせてごめんね。実は、今日は特別なデートを用意していたんだ。君のためにサプライズをしようと思って。」

正行は真弓の手を取り、公園の奥にある建物に連れて行った。中に入ると、そこは廃墟のような場所だった。真弓は不安になりながらも、正行の手を引かれて進んでいった。

廃墟の中には薄暗い光が差し込んでおり、そこにはテーブルが置かれていた。テーブルの上にはキャンドルや花が飾られ、美しい夕食が用意されていた。

「どうだい、驚いたかな？僕が一生懸命準備したんだよ。」

真弓は感動と興奮で胸がいっぱいになった。正行の優しさと努力に心が満たされていく。

二人は夕食を楽しみながら、お互いに笑顔を交わした。しかし、真弓の心の中にはまだ疑問が残っていた。

「正行、なぜこんな場所を選んだの？」

真弓の問いかけに、正行は微笑んで答えた。

「この場所は、僕たちの出会いの場所なんだ。初めて君と会った公園の近くにあるんだよ。だから、特別なデートにぴったりだと思ったんだ。」

真弓は驚きと感動で言葉に詰まった。二人の出会いの場所を思い出し、幸せな気持ちが溢れてくる。

しかし、その幸せな気持ちは一瞬で打ち砕かれることになる。

突然、廃墟の中から怪しい音が聞こえてきた。真弓と正行は驚いて周りを見回すが、何も見えない。

すると、正行の表情が一変し、薄笑いを浮かべた。

「さあ、真弓さん。ゲームの始まりですよ。」

真弓は正行の言葉に戸惑いながらも、急な展開に興味を持った。

「ゲームって何のこと？」

正行は得意げに笑いながら、真弓に近づいてきた。

「君を追いかけるんだ。逃げ切れたら、君のもの。逃げ切れなかったら、僕のもの。」

真弓は正行の言葉に恐怖を感じながらも、彼の瞳には異常な興奮が宿っているのを見た。

「何を言っているの？冗談でしょう？」

真弓は逃げ出そうとしたが、正行の手が彼女の腕を掴んだ。

「逃げるのは無駄だよ。君はもう僕のものだから。」

正行の言葉と共に、真弓は恐怖に包まれていった。