どこにでもいる平凡な私

柚みかん

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お父さまの執務室から出て
応接室に二人で座る。

侍女がお茶の用意をしてくれ退室した。
人払いをしたので
護衛もおらず珍しく二人っきりだ。

今更、何を話せばいいのやら…。


「すまなかった。」

「いえ、私も至らなかったのです。
私みたいな平凡な女より
きっと殿下には素晴らしいご令嬢が
他にいらっしゃいますわ。」

ニッコリと微笑みお茶を一口含ませる。

顔は笑っても心は痛い。
婚約者となり10年お側にいた。
私の初恋は間違いなく王太子だ。
平凡な私がよく10年もいれたなと思う。

「そんな事はない。
其方はいつも素晴らしかった。」

「お褒めに預かり光栄ですわ。
最後にお褒めいただき
今までの苦労が」「だから最後ではない。」

「ぁっ…大丈夫ですのよ。
お父さまには殿下の後ろ盾から外れないように私からもお願いしておきますわ。」

そうよね。
公爵家からの後ろ盾がなくなると
困るものね。
これはお父さまにお願いしておかねば。

「そのような事はどちらでもいいのだ。」

あら?必要なかったのかしら…。

「私は其方の…心が欲しかった。
何をしても変わらず
どうにか振り向かせたかった。
だから…あのような…其方がそのまま受け入れるなど思ってもみなかった。
私が愚かだったのだ。」

「そんな事はありませんわ。
殿下が優秀なのは皆が知っている事ですもの。」

「だが誰が褒めても一人の男としては不甲斐なかった。
本当に愚かだった。すまない。」

「もう本当に宜しいんですのよ。
私も至らずで本当にすみませんでした。」

「其方は何も悪くないのだ。
私が素直になっていれば良かったのだ。」

ふっと王太子の顔を伺うと顔が赤くなっていた。
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