どこにでもいる平凡な私

柚みかん

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「でもそれは無理な話だったな。
最初からリリシェールの心は私には」「お慕いしております。」

「…は?」

王太子がポカーンとしている。

「初めてお会いした時からアルベルトフォード様をお慕いしておりますわ。」

「いや、しかし…」

「殿下に嫌われていると思っていたのです。
いつも険しい顔をされていましたので…。」

「それはその其方の顔を見るとだらしなくなってしまうから。それに其方だっていつも無表情であったではないか。」

「私も同じですわ。それに周りに何を言われるか…」

殿下がそっと隣に座ってくる。

「気づかなくてすまなかった。
でも、もう二度と誰にも言わせない。
だから婚約者でいてくれるな?」

そう言いながら手を握ってくるものだから
頬が熱い。

「私のようなもので宜しければ」

「其方がいいのだ。リリシェールでなければ誰も要らぬ。愛しておるのだ。」

嬉しくて
コクコクと頷けば
そっと涙を拭ってくれる。

私も周りばかりを気にして
自分で殻に閉じこもるばかりで
きちんとアルベルトフォード様と向き合ってなかったわ。

「こ、これからは私の事はフォードと呼ぶように。」

「宜しいのですか?」


「シェールだけが呼べる名だ。」

「フォード様」

誰も呼ぶ事のないお互いだけの愛称。


「そろそろ仲直りしたかね?」

お父さまが部屋に入ってくる。

「うむ。
此度の件本当にすまなかった。
公爵…いや義父上の前で誓おう。
アルベルトフォードはリリシェールを
今後守り抜くと。」

「お互い側から見れば思い合っているのがわかっていましたからね。
二人だけのお茶会で良かったですぞ。
ですが、殿下
これっきりですからね。次はないですぞ。」

「わかっておる。」

繋がれた手があたたかい。

平凡で普通だと思っていたけど
私も特別な人の特別になれた。

たった一人の特別。

誰もが必ず出逢える一人。








※次回おまけ入れます。
おまけなのに長くなりました。
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