黒猫館 〜愛欲の狂宴〜

翔田美琴

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第十六夜 阿鼻叫喚の乱交

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 黒猫館の地下室では様々な感情が入り乱れる。
 悲痛な叫び、助けを乞う声、喜びの歓声、落胆のため息、激しい怒り、ある者は義憤に駆られ、ある者は感覚を麻痺させて──。
 俺はその間、どうしていたのか──。
 感覚を麻痺させて、今日と言う日を生きる事に集中していた。
 怒りを露わにする事はなんら不思議な感情ではない。そして悲しみを感じるのも人間らしさの証だ。
 しかし、感情に溺れて、感情のままに行動を起こしても悪い状況になる事が十二分にある。だから──俺は感情を殺して、今を生きていた。
 そうしないと、周囲の助けを乞う声にいちいち反応してこの身が壊されそうであるからだ──。
 だが、やはり俺にも義憤の心はある。
 鳴川なるかわにもだ。
 俺の鳴川の他にも会話を交わす男達が増えてきている。
 同じ監獄にいる、同じ釜の飯を食う者同士、それなりに仲間みたいな気持ちになってきた。
 昨夜は会話を交わす中でも最近の元書生だった男、唐島からしまが直美様の生贄になったらしい。
 本人は笑い話にしているが、過激な目に遭わされたようだ。

 と言うのも、最近になり貴婦人らしき客が目立つと言う。
 その女達が、まるで社交パーティーのように集まり、そして一様に男達を見世物にして楽しんでいる──と言うのだ。
 全裸にされて、覆面を着けさせられ、何も見えない中で、女達が煽り、男の象徴シンボルを見せろとか、他の貴婦人と女達の前で交われとか、兎に角、破廉恥極まりないらしい──。
 この『黒猫館』にはまだまだ深い闇がある──俺はそう直感した。
 そんな破廉恥極まりない社交パーティーに今夜、俺と鳴川が参加する事になる。
 それを知らされる事はないが、今夜の生贄の先がまさにそこだった。
 
 監獄にて、待っているとその時間が来た事を告げる靴の音が聞こえる。
 最初は恐怖で足が竦んだものだ。
 今はその時間が来たと覚悟できるようになった。これは大きい。
 覚悟さえ決まれば人間なんだって出来るものだろう。
 それが恥さらしでも、出来てしまう。
 今夜の迎えは雪菜様だ。
 同伴に来るのは亜美さんだ。
 彼女は最早、この『黒猫館』で起きている異常な光景を何とも思っていないような節を感じる。そうしないと壊れる事を知っているからだ──。
 鉄の手枷を着けられる俺と鳴川は、地下室の廊下を抜けて、未知の領域へ案内される。
 特別待遇と言う意味か。『人間』をしている中でもお気に入りはどうやら他の世界を観る権利はあるらしい。
 地下室の廊下を通り抜け、広く拡がる空間に出ると周囲を囲うのは、美しいドレスの貴婦人達だ。それぞれが嬲るような視線で俺達を観ている。
 鉄の手枷が外されると、そこにいた直美様が言葉を発した。

「皆様、お待たせ致しましたわ。今夜も美しい男達のあられもない舞踊ダンスで興奮して、存分に男達を召し上がりになって──?」

 何やら面妖な音楽がかかった。
 周りの松明の炎が更に揺れる。
 そして、呆然自失する俺達に直美様と雪菜様はいきなり命令してきた。

「全裸になりなさい! そして、アソコを見せびらかして、彼女達を悦ばせてあげなさい──皆、お待ちよ?」
「早くアソコを見せて──!」
「ああん、今夜の男はどんなに逞しいかしら?」
「チンポダンスを踊って~!」

 投げやり気味に服を脱いで全裸になった。
 そして腰を揺らして、ソコを強調すれば、狂乱するように喜ぶ女達。
 鳴川も貴婦人達に、近寄り、ソコを触らせて彼女達を煽る。
 俺も何だか周囲に触発されるようにソコが勃っていく──!
 
「すごーい! 勃ったわ─! ガチガチで気持ち良さそうねぇ」
「立派な息子さん──旦那とは大違いね」
「わたくしを貫いて──お兄さん」

 差し出された花びらを観ると濡れに濡れて甘い快楽の蜜を滴り落ちさせている。
 その間、他の女性達も俺のソレに接吻キスしたり、口戯フェラチオしたりして過熱していくばかりだった。
 鳴川も様々な貴婦人に群がられ、阿鼻叫喚の攻めを受けている。
 あらゆる方向から貴婦人の口がきて、無理矢理、接吻キスされたり、口戯フェラチオされたり、手で花びらをかき混ぜたりと忙しそうだ──。 
 俺も強引にソレを誰だか解らない貴婦人の花びらに入れられて、気の狂いそうな快楽が襲ってくる。
 口には絶えず女性の舌が襲って、涎に塗れる。
 手のひらには誰かの快楽の蜜が絡まり、もう何がなんだか判らない──。
 乱れ咲く女達の乱交パーティーは夜が明けるまで続く。
 鳴川も様々な貴婦人の花びらを積極的に犯す。
 彼の愛液が飛び散る度に、もっと、もっと──と過熱していく。
 直美様と雪菜様は珍しく傍観者として俺達の行為を見つめていた。
 様々な貴婦人と交わる俺達は、激しい快楽に身を任せ、そこでは雄犬も同然だ──。
 
「もっと興奮してみせて──。お兄さんの硬いのをちょうだい!」
「あハァ! 素敵よ! いっぱい奉仕をして?」

 打ち込まれた媚薬は求められる程に体に周り、俺や鳴川を駆り立てる。
 腰が勝手に動き、何度も、何度も──絶頂に達して──気が遠くなる。
 まるで、生命いのちを削るような彼女達の快楽と愛欲の宴は永遠に続く拷問に見えた──。
 俺達が切なく喘ぐと、快楽を求める蝶がそこに集まり、乱れ咲く花に群がるように──。
 
 狂乱と阿鼻叫喚の儀式は、俺達の自我を破壊していく──。
 直美様と雪菜様は侮蔑するような嬲る瞳で、そのパーティーを見つめていた。
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