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第1章 女神の騎士と女神殺し
1-2 騎士が来た理由
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私は元居た世界で、一度、死んだ。妻を遺して、娘を遺して、先に逝くはずだった。死んだ理由は、私が居た世界では戦争が勃発していた。互いの理念が、互いの理想が、互いの感情が理解できない故に起きた戦争。
私が所属する軍はその戦争で既に敗北濃厚な状況だった。私はその国で、その世界での運命を作った技術士官の一人。運命のはじまりの人間だった。
だが、戦場に出て私はその生命を散らした。ここで死ぬんだ。愛する人を遺して逝くのだ……そう思った。
だが、私は気が付いたらとある世界に導かれた。金色に光るなまめかしい程、美しい男性が私に告げた。
「君はこれから、混沌の女神の騎士になるんだよ」
と。それがどういう意味を告げるのか私にはわからなかった。そもそもここはどこだろうか? 地球とは違う。あの世界にこんな神殿があるはずない。少なくとも機械文明の世界にはこんな所はない。
そうしたら、金色に輝く男性はこう、私の問いに答えた。
「この世界は『アルトカークス』。君が元居た地球と並行して存在する異世界。いうなればパラレルワールドという所だよ」
私はとある神殿の中にいた。天井が高く、太陽の光が差し込む、不思議な神殿。天からは白い羽根が舞い落ちている。まるで天使の羽のように舞い落ちている。
私はまだその世界の軍服姿だった。全身が暗い緑色で、裾が長い腰まである黒い表地に裏地は朱色のマントを翻してそこに立っている。
すると、私の纏う軍服がみるみるうちに、変化した。漆黒の騎士の姿に。
白い手袋が、黒い手袋になってみるみるうちに鎧に変化する。肩にも黒い鎧が。私の左腰には黒い絹の布の、まるで水着のパラオみたいになって、神殿に吹く風に揺られて舞っている。
脚も漆黒のパーツが装着され、鉄製の黒い長靴になる。同じだったのがマントだった。あの国と同じ。黒い表地に裏地は血のような朱色の長いマント。
身に付けてきた、護身用の拳銃が、剣に変わっていく。不思議な剣だった。まるで拳銃と剣が融合したかのような剣。だがそれは不思議と手に馴染み、まるで過去から使ってきたような感覚がする。
私はそのあまりにもかけ離れた姿に驚く。そして金色に輝く男性は、私に告げる。
「君の使命は、混沌の女神・ルーア姫を守ることだよ」
「ルーア姫?」
「君は”混沌”とは何か判るかな?」
「いいや? だが、得体の知れない力とは思う」
「ルーア姫はその得体の知れない力を制御する女神。だが、彼女はこの世で独りきり、孤独な存在だ。君はその彼女を守る騎士。彼女の孤独を癒す騎士。混沌の女神は愛の女神でもある。だけど孤独では愛の女神にはなれない。その為に君の力と心を彼女に捧げて欲しい」
「どうやって?」
「簡単なことさ。愛の交換をするんだ。彼女の蕾を花にして、君の愛を彼女にあげるだけ。それで彼女は徐々に混沌の女神としての使命に目覚める。”混沌”はとても独りきりでは立ち向かえない。傍で支えてくれる人が必要だ。何よりも君が傍にいてあげるだけでいい。彼女を愛してあげてくれ」
「それが簡単なことですか? 私は曲がりなりにも一人の妻を持つ夫です。そう簡単に”愛”を育むのは出来ないと思います」
「なら、君のやり方でその”愛”を育んでみればいい。最初は手をつなぐだけ。それから少しずつ距離を縮めていけばいい。そして彼女が君の肌を欲するようになったら、君は肌を重ねればいい」
「このアルトカークスは、今はその”混沌”が溢れて、世界に暗い影を落としている。混沌の女神はこの世界の転生を司る女神。人々の魂を循環させ、また命として生む女神。だが、愛のない女神ではそれをすることはできない。だから、そのための君が必要なんだ」
転生を司る女神。だから、転生した私がここにいる。そういうことかなと思った。私だってとりあえずは一人娘の親だから気持ちはわからないでもない。
混沌の女神は愛の女神でもある。だから、愛を知らないといけないという。どういうものが”愛”なのか、そのルーア姫に教えなければならない。
その為に私を呼んだのだ、とあの金色に輝く男性は教えてくれた。
”愛”か。簡単なようで難しい話だ。私にはわからなかった。私の愛の形は。それが私の場合、身体を重ねる行為でもあったし、互いに思いやる優しさもそうなのかも知れないし、だからってそう簡単に身体を重ねるようなことはできない。
すぐに答えが出るような問題ではない。
金色に輝く男性は、最後にこう告げて、金色の輝きを放って去った。
「大丈夫さ。君は彼女と結ばれる。運命の赤い糸でつながっているんだ」
「運命の赤い糸──ね。どうだか……」
私は一人そう呟いて神殿を後にした──。
私が所属する軍はその戦争で既に敗北濃厚な状況だった。私はその国で、その世界での運命を作った技術士官の一人。運命のはじまりの人間だった。
だが、戦場に出て私はその生命を散らした。ここで死ぬんだ。愛する人を遺して逝くのだ……そう思った。
だが、私は気が付いたらとある世界に導かれた。金色に光るなまめかしい程、美しい男性が私に告げた。
「君はこれから、混沌の女神の騎士になるんだよ」
と。それがどういう意味を告げるのか私にはわからなかった。そもそもここはどこだろうか? 地球とは違う。あの世界にこんな神殿があるはずない。少なくとも機械文明の世界にはこんな所はない。
そうしたら、金色に輝く男性はこう、私の問いに答えた。
「この世界は『アルトカークス』。君が元居た地球と並行して存在する異世界。いうなればパラレルワールドという所だよ」
私はとある神殿の中にいた。天井が高く、太陽の光が差し込む、不思議な神殿。天からは白い羽根が舞い落ちている。まるで天使の羽のように舞い落ちている。
私はまだその世界の軍服姿だった。全身が暗い緑色で、裾が長い腰まである黒い表地に裏地は朱色のマントを翻してそこに立っている。
すると、私の纏う軍服がみるみるうちに、変化した。漆黒の騎士の姿に。
白い手袋が、黒い手袋になってみるみるうちに鎧に変化する。肩にも黒い鎧が。私の左腰には黒い絹の布の、まるで水着のパラオみたいになって、神殿に吹く風に揺られて舞っている。
脚も漆黒のパーツが装着され、鉄製の黒い長靴になる。同じだったのがマントだった。あの国と同じ。黒い表地に裏地は血のような朱色の長いマント。
身に付けてきた、護身用の拳銃が、剣に変わっていく。不思議な剣だった。まるで拳銃と剣が融合したかのような剣。だがそれは不思議と手に馴染み、まるで過去から使ってきたような感覚がする。
私はそのあまりにもかけ離れた姿に驚く。そして金色に輝く男性は、私に告げる。
「君の使命は、混沌の女神・ルーア姫を守ることだよ」
「ルーア姫?」
「君は”混沌”とは何か判るかな?」
「いいや? だが、得体の知れない力とは思う」
「ルーア姫はその得体の知れない力を制御する女神。だが、彼女はこの世で独りきり、孤独な存在だ。君はその彼女を守る騎士。彼女の孤独を癒す騎士。混沌の女神は愛の女神でもある。だけど孤独では愛の女神にはなれない。その為に君の力と心を彼女に捧げて欲しい」
「どうやって?」
「簡単なことさ。愛の交換をするんだ。彼女の蕾を花にして、君の愛を彼女にあげるだけ。それで彼女は徐々に混沌の女神としての使命に目覚める。”混沌”はとても独りきりでは立ち向かえない。傍で支えてくれる人が必要だ。何よりも君が傍にいてあげるだけでいい。彼女を愛してあげてくれ」
「それが簡単なことですか? 私は曲がりなりにも一人の妻を持つ夫です。そう簡単に”愛”を育むのは出来ないと思います」
「なら、君のやり方でその”愛”を育んでみればいい。最初は手をつなぐだけ。それから少しずつ距離を縮めていけばいい。そして彼女が君の肌を欲するようになったら、君は肌を重ねればいい」
「このアルトカークスは、今はその”混沌”が溢れて、世界に暗い影を落としている。混沌の女神はこの世界の転生を司る女神。人々の魂を循環させ、また命として生む女神。だが、愛のない女神ではそれをすることはできない。だから、そのための君が必要なんだ」
転生を司る女神。だから、転生した私がここにいる。そういうことかなと思った。私だってとりあえずは一人娘の親だから気持ちはわからないでもない。
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その為に私を呼んだのだ、とあの金色に輝く男性は教えてくれた。
”愛”か。簡単なようで難しい話だ。私にはわからなかった。私の愛の形は。それが私の場合、身体を重ねる行為でもあったし、互いに思いやる優しさもそうなのかも知れないし、だからってそう簡単に身体を重ねるようなことはできない。
すぐに答えが出るような問題ではない。
金色に輝く男性は、最後にこう告げて、金色の輝きを放って去った。
「大丈夫さ。君は彼女と結ばれる。運命の赤い糸でつながっているんだ」
「運命の赤い糸──ね。どうだか……」
私は一人そう呟いて神殿を後にした──。
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