9 / 49
第1章 女神の騎士と女神殺し
1-9 竜の天使
しおりを挟む
混沌の女神の騎士レムは自らの秘石(クリスタル)『幻の紫水晶』を手に入れた。彼の秘石の形は優雅な薔薇の形をした紫色のクリスタルだった。
これは彼がこのアルトカークスで行使する力、つまり彼を背中に乗せる天使・ミカエルを召喚する時に必要なアイテムだった。
今、彼らは、レムとルーアは空中でミカエルの背中に乗っている。ドラゴンに乗って感じる風を切る感覚も彼には新鮮だ。穏やかな風を感じて、そして改めてこの世界の美しさを感じる。
どこまでも続く大自然。緑豊かな森、青く輝く紺碧の海、黄金色の砂漠……所々には人間が住む街も見受けられる。
暖かな太陽の光も彼らの新たな旅立ちを祝福するかのように、さんさんと輝く。
銀翼の最強の竜であるミカエルの背中に乗るレムはそこで、率直な疑問をした。
「所でミカエル先生。もしかして、君は我々の世界で言う所の『天使』なのか?」
「そうか。お前は知らないな。この世界での天使は。丁度いい。少し、解説してやる。よく聞くがいい」
このアルトカークスに於ける『天使』は竜の姿をしている。それは創造神である『金のルシファー』が、天使という存在を最も誇り高き存在であるドラゴンの姿に造ったからだった。
地球に於ける『天使』とアルトカークスに於ける『天使』は似ているようで、違う存在だ。地球では『天使』は至上の存在だが、それはアルトカークスでも同じだった。
だが、アルトカークスに於ける『天使』は目に見える形で姿を現す。それが、竜という存在だ。なので彼らはミカエルらのことを『竜の天使』と呼んでいる。
そして、それらの存在の対極に位置するのが、『堕天使』と呼ばれる存在だ。
その名の通り、堕ちた天使。人間によって汚された竜の天使である。
その最もたる例が、人間によって手を加えられた存在……つまり魔法強化をされた竜の存在だ。
通常、竜の天使に人間が手を加えることなどそうそう出来ない。
もとより自我が崩壊しているか、強力な意思の力によって、それらの制御をする。
だが、例外もなくはない。
もし、竜の堕天使を駆使する存在がいるとしたら、その者も秘石(クリスタル)を持っている可能性がある。
秘石(クリスタル)は強力な力を行使する際に必要な、その人間の心が形となった聖なる石。
ルーアにも、必ず、その秘石(クリスタル)があるはずだ。
彼女の秘石(クリスタル)はただし竜の天使を召喚するための秘石(クリスタル)ではないが。
秘石はその物に必要な力を与える力を持つ。だから、それぞれが全く違う力を持っていることは大いにあり得る話だ。
その者がアルトカークスで生きるための力だから。
彼らは今はルーアの秘石(クリスタル)を求めて、銀翼の最強の竜の案内で、とある神殿に向かっている。
空から見るアルトカークスはまさに絶景だった。穏やかな吹く風とその風に乗って香る、彼女の長い茶色の髪の毛の香り。
甘く美しい薔薇の香りのシャンプーの香りが、後ろに座るレムの嗅覚に訴える。なかなかいい趣味をしているなと彼は思う。艶やかに波打つ髪の毛が彼には素敵に思える。
秘石はそれぞれが全く違う形と力を持つ。
彼の秘石(クリスタル)は混沌の女神を守るための力となってその形となった。能力は竜の天使を呼び出す力と彼が携える銀色の剣の能力の解放。
故に彼の秘石『幻の紫水晶』が輝きを増す程、自然と彼の相棒である銀翼の最強の竜・ミカエルも進化する。今はミカエルは第一段階に当たる能力だが、それでもなおその力は驚異的な力だ。
では、どうすれば、彼の秘石が輝きを増すのか?
それは、ミカエルさえもわからない。至上の存在であるミカエルをもってしても、彼の秘石を輝かせる方法は判らないのだ。
こればかりは、その石を持っている彼自身が見つけ出すしかない。そうして、心の結晶であるクリスタルは光輝くのだから。
レムは己の胸に輝く秘石を見つめる。まるでそれは紫色の薔薇だ。地球では絶対咲かない色の薔薇。だが、そこからは確かに力のような存在も感じることが出来る。
やがて、ルーアの秘石(クリスタル)があると言う神殿が見えてきた。
だが、そこに……先客が既に来ていた。
あの、『女神殺し』を企む騎士・・ビヨンド・グレイブである。
グレイブにはわかっている。あの銀翼の最強の竜にまたがる者こそ、混沌の女神を守る為に召喚された存在、混沌の女神の騎士であることを。
意外と華奢な外見にグレイブは苦笑いをする。まさか、金のルシファーともあろう者が、あんな男を混沌の女神の騎士として召喚したことに。
レムも見慣れない男がそこにいるのを確認する。明らかに友好的な人物ではないことに気付いた。殺気が伝わってくる。この目の前にいるルーアを殺そうとしていることに気付いた。
なら、自分はその男と戦うのが己の使命だと思う。
ルーアは、私が守る。誓った約束を破るつもりなどない。どんなことになろうとも彼女を守る。それの障害となる者は排除する。
答えはすぐに出た。なら、彼に出来るのは自分が乗るこの銀翼の相棒の力を借りることだ。
レムはミカエルに念のために聞いてみた。
「どう思う? ミカエル先生? あの男、友好的な客に見えるか?」
「どこからどう見ても、あの男は敵だな。奴はルーアを狙っているぞ?」
「やはり、な。なら、手加減は無用だな。ここは一つ、ミカエル先生の実力を見せてもらうとするか」
「注意しろ。レム?奴は持っているぞ?お前と同じく秘石(クリスタル)を」
「何?」
「恐らく奴は時読みの一族の騎士。時読みの巫女に仕える騎士だ。ならば、秘石(クリスタル)を持っていても不思議なことではない」
「なるほど……とにかくあの男を倒すか?」
「覚悟は決めたか? レム?」
「別に今更、迷わない」
「いい答えだ!」
彼らはルーアを守るためにその揺るがぬ決意を胸に神殿へと降りる。レムの右手には既に銀色の剣が握られている。左腕には特殊な魔法金属製の盾を装備して。
彼らが初めて言葉を交わした。
これは彼がこのアルトカークスで行使する力、つまり彼を背中に乗せる天使・ミカエルを召喚する時に必要なアイテムだった。
今、彼らは、レムとルーアは空中でミカエルの背中に乗っている。ドラゴンに乗って感じる風を切る感覚も彼には新鮮だ。穏やかな風を感じて、そして改めてこの世界の美しさを感じる。
どこまでも続く大自然。緑豊かな森、青く輝く紺碧の海、黄金色の砂漠……所々には人間が住む街も見受けられる。
暖かな太陽の光も彼らの新たな旅立ちを祝福するかのように、さんさんと輝く。
銀翼の最強の竜であるミカエルの背中に乗るレムはそこで、率直な疑問をした。
「所でミカエル先生。もしかして、君は我々の世界で言う所の『天使』なのか?」
「そうか。お前は知らないな。この世界での天使は。丁度いい。少し、解説してやる。よく聞くがいい」
このアルトカークスに於ける『天使』は竜の姿をしている。それは創造神である『金のルシファー』が、天使という存在を最も誇り高き存在であるドラゴンの姿に造ったからだった。
地球に於ける『天使』とアルトカークスに於ける『天使』は似ているようで、違う存在だ。地球では『天使』は至上の存在だが、それはアルトカークスでも同じだった。
だが、アルトカークスに於ける『天使』は目に見える形で姿を現す。それが、竜という存在だ。なので彼らはミカエルらのことを『竜の天使』と呼んでいる。
そして、それらの存在の対極に位置するのが、『堕天使』と呼ばれる存在だ。
その名の通り、堕ちた天使。人間によって汚された竜の天使である。
その最もたる例が、人間によって手を加えられた存在……つまり魔法強化をされた竜の存在だ。
通常、竜の天使に人間が手を加えることなどそうそう出来ない。
もとより自我が崩壊しているか、強力な意思の力によって、それらの制御をする。
だが、例外もなくはない。
もし、竜の堕天使を駆使する存在がいるとしたら、その者も秘石(クリスタル)を持っている可能性がある。
秘石(クリスタル)は強力な力を行使する際に必要な、その人間の心が形となった聖なる石。
ルーアにも、必ず、その秘石(クリスタル)があるはずだ。
彼女の秘石(クリスタル)はただし竜の天使を召喚するための秘石(クリスタル)ではないが。
秘石はその物に必要な力を与える力を持つ。だから、それぞれが全く違う力を持っていることは大いにあり得る話だ。
その者がアルトカークスで生きるための力だから。
彼らは今はルーアの秘石(クリスタル)を求めて、銀翼の最強の竜の案内で、とある神殿に向かっている。
空から見るアルトカークスはまさに絶景だった。穏やかな吹く風とその風に乗って香る、彼女の長い茶色の髪の毛の香り。
甘く美しい薔薇の香りのシャンプーの香りが、後ろに座るレムの嗅覚に訴える。なかなかいい趣味をしているなと彼は思う。艶やかに波打つ髪の毛が彼には素敵に思える。
秘石はそれぞれが全く違う形と力を持つ。
彼の秘石(クリスタル)は混沌の女神を守るための力となってその形となった。能力は竜の天使を呼び出す力と彼が携える銀色の剣の能力の解放。
故に彼の秘石『幻の紫水晶』が輝きを増す程、自然と彼の相棒である銀翼の最強の竜・ミカエルも進化する。今はミカエルは第一段階に当たる能力だが、それでもなおその力は驚異的な力だ。
では、どうすれば、彼の秘石が輝きを増すのか?
それは、ミカエルさえもわからない。至上の存在であるミカエルをもってしても、彼の秘石を輝かせる方法は判らないのだ。
こればかりは、その石を持っている彼自身が見つけ出すしかない。そうして、心の結晶であるクリスタルは光輝くのだから。
レムは己の胸に輝く秘石を見つめる。まるでそれは紫色の薔薇だ。地球では絶対咲かない色の薔薇。だが、そこからは確かに力のような存在も感じることが出来る。
やがて、ルーアの秘石(クリスタル)があると言う神殿が見えてきた。
だが、そこに……先客が既に来ていた。
あの、『女神殺し』を企む騎士・・ビヨンド・グレイブである。
グレイブにはわかっている。あの銀翼の最強の竜にまたがる者こそ、混沌の女神を守る為に召喚された存在、混沌の女神の騎士であることを。
意外と華奢な外見にグレイブは苦笑いをする。まさか、金のルシファーともあろう者が、あんな男を混沌の女神の騎士として召喚したことに。
レムも見慣れない男がそこにいるのを確認する。明らかに友好的な人物ではないことに気付いた。殺気が伝わってくる。この目の前にいるルーアを殺そうとしていることに気付いた。
なら、自分はその男と戦うのが己の使命だと思う。
ルーアは、私が守る。誓った約束を破るつもりなどない。どんなことになろうとも彼女を守る。それの障害となる者は排除する。
答えはすぐに出た。なら、彼に出来るのは自分が乗るこの銀翼の相棒の力を借りることだ。
レムはミカエルに念のために聞いてみた。
「どう思う? ミカエル先生? あの男、友好的な客に見えるか?」
「どこからどう見ても、あの男は敵だな。奴はルーアを狙っているぞ?」
「やはり、な。なら、手加減は無用だな。ここは一つ、ミカエル先生の実力を見せてもらうとするか」
「注意しろ。レム?奴は持っているぞ?お前と同じく秘石(クリスタル)を」
「何?」
「恐らく奴は時読みの一族の騎士。時読みの巫女に仕える騎士だ。ならば、秘石(クリスタル)を持っていても不思議なことではない」
「なるほど……とにかくあの男を倒すか?」
「覚悟は決めたか? レム?」
「別に今更、迷わない」
「いい答えだ!」
彼らはルーアを守るためにその揺るがぬ決意を胸に神殿へと降りる。レムの右手には既に銀色の剣が握られている。左腕には特殊な魔法金属製の盾を装備して。
彼らが初めて言葉を交わした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる