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第1章 女神の騎士と女神殺し
1-12 夕食デート
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”美食のエリア”の中心部にそのレストランがあった。今は丁度ディナータイム。そこのレストランの扉を開ける。すると扉に取り付けられたレトロな雰囲気のベルがカランと鳴った。
ふくよかな料理の香りがする。悪い匂いでもない。雰囲気もまさに大人の社交場みたいなレストランだった。目に優しい木目調の建物。天井には華美でありながら上品なデザインのシャンデリア。目に優しい暖かなオレンジ色の照明だった。
「いい趣味をしているレストランだね」
「料理も美味なんですって」
二人は席に着くと、本日のお品書きが書かれたメニュー表を彼らに手渡す。そこの従業員は女性だった。
「本日のメニューはこちらになっております。ごゆっくり……」
彼らはメニュー表を見る。何となくだが、想像できた。このレストランは地球で表現すれば、イタリアンレストランといった所だろう。
レムはとりあえずは安心した。店内の照明は少し薄暗いが、ムードはある。なかなかロマンチックな雰囲気にルーアは何だか落ち着かない。
それに初めて着た色調のドレスだったので自分に似合っているのかも判断がつかないでいた。だが、目の前の紳士は彼女の姿を見て褒めてくれた。
「ルーア。なかなか趣味のいいドレスだと思うよ?とても落ち着いて品のあるドレスだと思う」
「そう……かな?」
「緊張するよね……でも安心して? 今夜は君が主役なんだから」
「レムのスーツも格好いいね」
「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」
「ねえ?」
「何かな?」
「元居た世界でもこうして女性とデートとかしたの? レムは?」
「まあね。こうしてレストランで食事したり、花火を見に行ったり、いろんなことをして生きてきたよ?」
「私、あなたの娘に似ているって言っていたよね? 名前は?」
「ジェニファー……っていうんだ」
「その子も可愛い?」
「もちろん。君と同じくらい可愛いよ?」
「でも、君は君だよ。別に彼女に似ているから守りたいわけじゃない。本当に君のことを守りたいんだ。何が起こってもね」
彼は信念のこもった瞳でルーアを見つめた。唇を優しく微笑ませる。どこかその表情は恋人に向けるようなまなざしだった。
そうして、今夜のディナーが運ばれてきた。
本日のお勧めメニューだった。マグロのカルパッチョ。キノコのキッシュ。魚介類のペペロンチーノ。メインディッシュには牛肉のステーキが出た。
そして食前酒に赤ワインがグラスに注がれると二人はグラスを合わせて、ひと口飲んだ。この赤ワインは美味しい。深みのある味わいだった。
二人でディナータイムを楽しむ。彼は元居た世界のことをルーアにいろいろ話した。
自分の家族のこと。自分が住んでいた世界のこと。そこでは悲惨な戦争が起きていること。自分が選んだ仕事のこと。そして自分が産み出した兵器が大事な人々の生命を奪っていること。
彼は包み隠さず話した。そして、その奪った生命の清算をここでしていること。その為に自分が傷ついてもいいとまで彼は話した。
彼の心の内側は、密かにそういう悲しみも抱いていた。自分が産み出した兵器が人の命を奪っている。だけど、それを引き受けたのは自分自身だから後悔はしていない……とも。
ルーアはだんだん彼に惹かれていく。
ディナータイムを終わらせた二人は、夜の歓楽都市の絶景ポイントへ向かう。
この時間は花火大会が開かれている時間だった。それを歓楽都市の高台で観るのがデートの定番だった。
やがて高台に上った二人は、夜空に華やかな花火が上がるのを二人で肩を寄せて見つめる。
その花火の明かりが彼を照らすとルーアは彼の顔を見つめる。彼は夜空の花火を見つめて、夜になるとその特徴的な瞳を更に不思議な輝きを宿していた。
まるで銀色の瞳だった。口元は微笑んで、彼もまた久しぶりに観る花火で、昔、愛妻と観た記憶がよみがえった。
よく二人でこうやって見つめていたよな。懐かしい気持ちがよみがえった。
やがてその花火を背後に二人はお互いの顔を見つめ合う。ルーアがそっと瞳を閉じて唇を彼に向ける。彼はその苺のような瑞々しい唇にそっと自分の唇を重ねた。
自然ときつく抱きしめ合う。
そのまま、今夜泊まるホテルへと向かった。
彼女の、ルーアの初夜がとうとう始まろうとしている。
ふくよかな料理の香りがする。悪い匂いでもない。雰囲気もまさに大人の社交場みたいなレストランだった。目に優しい木目調の建物。天井には華美でありながら上品なデザインのシャンデリア。目に優しい暖かなオレンジ色の照明だった。
「いい趣味をしているレストランだね」
「料理も美味なんですって」
二人は席に着くと、本日のお品書きが書かれたメニュー表を彼らに手渡す。そこの従業員は女性だった。
「本日のメニューはこちらになっております。ごゆっくり……」
彼らはメニュー表を見る。何となくだが、想像できた。このレストランは地球で表現すれば、イタリアンレストランといった所だろう。
レムはとりあえずは安心した。店内の照明は少し薄暗いが、ムードはある。なかなかロマンチックな雰囲気にルーアは何だか落ち着かない。
それに初めて着た色調のドレスだったので自分に似合っているのかも判断がつかないでいた。だが、目の前の紳士は彼女の姿を見て褒めてくれた。
「ルーア。なかなか趣味のいいドレスだと思うよ?とても落ち着いて品のあるドレスだと思う」
「そう……かな?」
「緊張するよね……でも安心して? 今夜は君が主役なんだから」
「レムのスーツも格好いいね」
「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」
「ねえ?」
「何かな?」
「元居た世界でもこうして女性とデートとかしたの? レムは?」
「まあね。こうしてレストランで食事したり、花火を見に行ったり、いろんなことをして生きてきたよ?」
「私、あなたの娘に似ているって言っていたよね? 名前は?」
「ジェニファー……っていうんだ」
「その子も可愛い?」
「もちろん。君と同じくらい可愛いよ?」
「でも、君は君だよ。別に彼女に似ているから守りたいわけじゃない。本当に君のことを守りたいんだ。何が起こってもね」
彼は信念のこもった瞳でルーアを見つめた。唇を優しく微笑ませる。どこかその表情は恋人に向けるようなまなざしだった。
そうして、今夜のディナーが運ばれてきた。
本日のお勧めメニューだった。マグロのカルパッチョ。キノコのキッシュ。魚介類のペペロンチーノ。メインディッシュには牛肉のステーキが出た。
そして食前酒に赤ワインがグラスに注がれると二人はグラスを合わせて、ひと口飲んだ。この赤ワインは美味しい。深みのある味わいだった。
二人でディナータイムを楽しむ。彼は元居た世界のことをルーアにいろいろ話した。
自分の家族のこと。自分が住んでいた世界のこと。そこでは悲惨な戦争が起きていること。自分が選んだ仕事のこと。そして自分が産み出した兵器が大事な人々の生命を奪っていること。
彼は包み隠さず話した。そして、その奪った生命の清算をここでしていること。その為に自分が傷ついてもいいとまで彼は話した。
彼の心の内側は、密かにそういう悲しみも抱いていた。自分が産み出した兵器が人の命を奪っている。だけど、それを引き受けたのは自分自身だから後悔はしていない……とも。
ルーアはだんだん彼に惹かれていく。
ディナータイムを終わらせた二人は、夜の歓楽都市の絶景ポイントへ向かう。
この時間は花火大会が開かれている時間だった。それを歓楽都市の高台で観るのがデートの定番だった。
やがて高台に上った二人は、夜空に華やかな花火が上がるのを二人で肩を寄せて見つめる。
その花火の明かりが彼を照らすとルーアは彼の顔を見つめる。彼は夜空の花火を見つめて、夜になるとその特徴的な瞳を更に不思議な輝きを宿していた。
まるで銀色の瞳だった。口元は微笑んで、彼もまた久しぶりに観る花火で、昔、愛妻と観た記憶がよみがえった。
よく二人でこうやって見つめていたよな。懐かしい気持ちがよみがえった。
やがてその花火を背後に二人はお互いの顔を見つめ合う。ルーアがそっと瞳を閉じて唇を彼に向ける。彼はその苺のような瑞々しい唇にそっと自分の唇を重ねた。
自然ときつく抱きしめ合う。
そのまま、今夜泊まるホテルへと向かった。
彼女の、ルーアの初夜がとうとう始まろうとしている。
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