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第2章 パラレリアクロス
2-6 父の知り合いは軍団長
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彼らが次に面会したのはカルベローナ公国軍の機動大隊第1部隊の隊長であり司令のロベルト・ギリアム大佐。
普段は主に戦闘機に搭乗し前線で活躍するパイロットだが、防衛作戦にて大多数の指揮官が死亡してしまった影響で、今は治安維持の指揮を執る事になった人物だ。
性格は苛烈な程の敵に対する冷酷さとは裏腹に味方には義理堅い人物でもある。
特にあらゆる思想には特に興味は抱く事はなく国を守る軍人として、特定の人物の私兵にはならない軍人と知られている。
彼はハザード・レスター中佐とは防衛大隊が一緒という事で連絡の取り合いは定期的にしている。ハザード・レスターはエースパイロットの傍らで情報屋として生計を立てる人物なので、常に新しい情報を得ているので助かるのだ。
とはいえ、この状況は余りにも混乱しているのでハザードも、どの話が真実なのかを全て詮索するのは無理がある。
なのでハザード自身も情報の筋は特定している状況だ。それほど今の情勢は混乱の一途を辿っていた。
「本国の状況はどうなんだ、ロベルト」
「情報が色々、錯綜しているから全部が全部、正しくはないが信用できる話だけを話すよ。まずジュノワール家が甦ったって話はマジだ。この間、俺も総帥の姿を目撃した。早くも総帥の私兵になる連中も出てきている」
「総帥はこの間の防衛作戦で死んだって聞いたが……」
「だから甦ったって話だよ」
「で、その他は?」
「首都の防衛を担当しているが、見たこともない羽虫がやたらめったら人々に危害を加えている。そいつら拳銃の弾に対する防御力は大したものだよ」
「やっぱりそっちにも羽虫は湧いていたか」
「ハザードの方も羽虫共には襲われたんだろう? つまりはガセじゃないって訳だな」
「それで指揮系統の方は、その総帥が甦った影響で混乱してきている。一応、俺達の防衛大隊の方は当面の任務はサイド3の都市部の防衛だ。羽虫やその他の市民に対する攻撃に対して対処するように命令されている」
「エースパイロットも甦ったって聞いたぜ」
「先の大戦で死んだエースパイロット達が何のてらいもなく存在してるのは俺も肝が冷えたぜ。知っているだけでも5人はいる」
「何か今にも内戦が起こりそうな気配がするな」
「そんな事している場合じゃないだろって意見は俺も同じだよ。全く厄介極まりない状況だね」
ロベルトはため息をついた。
ここ数日は例の羽虫の対処で昼も夜も襲ってくるから兵士達の疲弊は問題になっている。
彼はハザードが連れてきた女性二人についての話に移した。
「そういえばあのレム大佐の娘さんだってな。あなたは」
「はい。生前の父から話は伺っています。頼りになる良い友人だと」
「でもわざわざここまで来たのは何でかな?」
「実はその父からの手紙であなたに協力を求めるように言われて」
「しかもレム・レンブラントは生きてるよ」
「ちょっと待て! レム大佐は乗機の撃墜は確認されている。肉体も確認できなかったって話だぜ」
「俺もこれには驚いたよ」
「ややこしい話になるけど時間あるかい?」
「ああ」
キッドはそこで話した。レム・レンブラントはパラレルワールドにて生きている事、その彼が、地球で起きる異変は自分自身の責任である事。勝手な言い分だが、この事態を解決する為にジェニファーにハザードとロベルトと後一人の知り合いに協力を求めた事を話した。
そしてそのことを綴った手紙も見せた。
「確かにレム大佐の筆跡だな。綺麗な字だからわかるよ。パラレルワールドって何だっけ? 耳にしたような事があるけど」
「並行世界って感じかな。次元も違うし、流れる時間も違うけど」
「難しいな」
「要するに元の地球に戻す為に俺達に協力して欲しいってことさ」
「他の一人は誰だよ」
「紅い稲妻、ジョニー・ライトニングらしいぜ」
「あいつね! 今は地球にいるってな」
協力か。確かにこの状況は混沌としていて腹の立つ状況だ。それに今更死んだ人間が現世に甦るというのも気持ち悪い。
死んだ人間にまで現世を支配されるのは個人としても腹が立つ。
あくまでもここは生きている人間が、世界のこれからを決めるべきなのだ。
ただ、今のロベルトはこのサイド3の守りを任されている。隊長として責任を果たしたいとも考えている。
その役割を誰かに託せるなら話は簡単なのだが……。
「お前以外で誰かに任せられる士官は?」
「一人、心当たりがいる。俺は階級では大佐なんだが、その人は中佐だから指揮を託されていないだけで、でもあの人が一番信頼できるんだよな」
「もしかして、オグス・レンディール中佐か?」
「ああ。レム大佐も確か知っているはず。向こうもレム大佐とは既知の関係だし」
そんな最中、その話題に上がった人物から救援要請が来た。
話し合いの最中に駆け込んでくる士官がいた。
「ギリアム大佐!」
「どうした!? 騒々しい!」
「オグス中佐から緊急の救援要請です! 3バンチコロニーにて未知の生物に遭遇! 市民の誘導は開始しているが通常兵器が全く効かないので大佐に報告とのことです」
「未知の生物?」
「何者なんだ?」
「実際に観に行った方が早いんじゃないかな?」
「なら、急いで向かうぞ」
キッドは未知の生物と聞いてもしかしたらアルトカークスの生物かもしれないと言葉を漏らす。例の羽虫もアルトカークスの生物だ。それ以外の生物も来るとくれば納得はできる。
「アルトカークス? 聞いた事もないぞ」
「レムのおじさんがいる世界の名前だよ」
「異世界ってやつか」
「この際、異世界だろうが何処だろうが、関係ない。気になるのは通常の兵器が効かないって部分だ」
「厄介な奴らかもな」
彼らはランチと呼ばれる連絡船に乗って3バンチコロニーへ向かう。
5分後、現場の指揮を執るオグス中佐に会う事が出来た。
「オグス中佐!」
「ギリアム大佐。助かる。市民の誘導は順調だが、妙な生物が出てきた」
「どんな生き物ですか?」
「例えるなら馬鹿馬鹿しい話だが、化け物という言葉が正しいかな」
そこでオグス中佐は自らの端末に残した写真を彼らに見せる。
その写真に写っていたものは確かに『化け物』そのものであった。
普段は主に戦闘機に搭乗し前線で活躍するパイロットだが、防衛作戦にて大多数の指揮官が死亡してしまった影響で、今は治安維持の指揮を執る事になった人物だ。
性格は苛烈な程の敵に対する冷酷さとは裏腹に味方には義理堅い人物でもある。
特にあらゆる思想には特に興味は抱く事はなく国を守る軍人として、特定の人物の私兵にはならない軍人と知られている。
彼はハザード・レスター中佐とは防衛大隊が一緒という事で連絡の取り合いは定期的にしている。ハザード・レスターはエースパイロットの傍らで情報屋として生計を立てる人物なので、常に新しい情報を得ているので助かるのだ。
とはいえ、この状況は余りにも混乱しているのでハザードも、どの話が真実なのかを全て詮索するのは無理がある。
なのでハザード自身も情報の筋は特定している状況だ。それほど今の情勢は混乱の一途を辿っていた。
「本国の状況はどうなんだ、ロベルト」
「情報が色々、錯綜しているから全部が全部、正しくはないが信用できる話だけを話すよ。まずジュノワール家が甦ったって話はマジだ。この間、俺も総帥の姿を目撃した。早くも総帥の私兵になる連中も出てきている」
「総帥はこの間の防衛作戦で死んだって聞いたが……」
「だから甦ったって話だよ」
「で、その他は?」
「首都の防衛を担当しているが、見たこともない羽虫がやたらめったら人々に危害を加えている。そいつら拳銃の弾に対する防御力は大したものだよ」
「やっぱりそっちにも羽虫は湧いていたか」
「ハザードの方も羽虫共には襲われたんだろう? つまりはガセじゃないって訳だな」
「それで指揮系統の方は、その総帥が甦った影響で混乱してきている。一応、俺達の防衛大隊の方は当面の任務はサイド3の都市部の防衛だ。羽虫やその他の市民に対する攻撃に対して対処するように命令されている」
「エースパイロットも甦ったって聞いたぜ」
「先の大戦で死んだエースパイロット達が何のてらいもなく存在してるのは俺も肝が冷えたぜ。知っているだけでも5人はいる」
「何か今にも内戦が起こりそうな気配がするな」
「そんな事している場合じゃないだろって意見は俺も同じだよ。全く厄介極まりない状況だね」
ロベルトはため息をついた。
ここ数日は例の羽虫の対処で昼も夜も襲ってくるから兵士達の疲弊は問題になっている。
彼はハザードが連れてきた女性二人についての話に移した。
「そういえばあのレム大佐の娘さんだってな。あなたは」
「はい。生前の父から話は伺っています。頼りになる良い友人だと」
「でもわざわざここまで来たのは何でかな?」
「実はその父からの手紙であなたに協力を求めるように言われて」
「しかもレム・レンブラントは生きてるよ」
「ちょっと待て! レム大佐は乗機の撃墜は確認されている。肉体も確認できなかったって話だぜ」
「俺もこれには驚いたよ」
「ややこしい話になるけど時間あるかい?」
「ああ」
キッドはそこで話した。レム・レンブラントはパラレルワールドにて生きている事、その彼が、地球で起きる異変は自分自身の責任である事。勝手な言い分だが、この事態を解決する為にジェニファーにハザードとロベルトと後一人の知り合いに協力を求めた事を話した。
そしてそのことを綴った手紙も見せた。
「確かにレム大佐の筆跡だな。綺麗な字だからわかるよ。パラレルワールドって何だっけ? 耳にしたような事があるけど」
「並行世界って感じかな。次元も違うし、流れる時間も違うけど」
「難しいな」
「要するに元の地球に戻す為に俺達に協力して欲しいってことさ」
「他の一人は誰だよ」
「紅い稲妻、ジョニー・ライトニングらしいぜ」
「あいつね! 今は地球にいるってな」
協力か。確かにこの状況は混沌としていて腹の立つ状況だ。それに今更死んだ人間が現世に甦るというのも気持ち悪い。
死んだ人間にまで現世を支配されるのは個人としても腹が立つ。
あくまでもここは生きている人間が、世界のこれからを決めるべきなのだ。
ただ、今のロベルトはこのサイド3の守りを任されている。隊長として責任を果たしたいとも考えている。
その役割を誰かに託せるなら話は簡単なのだが……。
「お前以外で誰かに任せられる士官は?」
「一人、心当たりがいる。俺は階級では大佐なんだが、その人は中佐だから指揮を託されていないだけで、でもあの人が一番信頼できるんだよな」
「もしかして、オグス・レンディール中佐か?」
「ああ。レム大佐も確か知っているはず。向こうもレム大佐とは既知の関係だし」
そんな最中、その話題に上がった人物から救援要請が来た。
話し合いの最中に駆け込んでくる士官がいた。
「ギリアム大佐!」
「どうした!? 騒々しい!」
「オグス中佐から緊急の救援要請です! 3バンチコロニーにて未知の生物に遭遇! 市民の誘導は開始しているが通常兵器が全く効かないので大佐に報告とのことです」
「未知の生物?」
「何者なんだ?」
「実際に観に行った方が早いんじゃないかな?」
「なら、急いで向かうぞ」
キッドは未知の生物と聞いてもしかしたらアルトカークスの生物かもしれないと言葉を漏らす。例の羽虫もアルトカークスの生物だ。それ以外の生物も来るとくれば納得はできる。
「アルトカークス? 聞いた事もないぞ」
「レムのおじさんがいる世界の名前だよ」
「異世界ってやつか」
「この際、異世界だろうが何処だろうが、関係ない。気になるのは通常の兵器が効かないって部分だ」
「厄介な奴らかもな」
彼らはランチと呼ばれる連絡船に乗って3バンチコロニーへ向かう。
5分後、現場の指揮を執るオグス中佐に会う事が出来た。
「オグス中佐!」
「ギリアム大佐。助かる。市民の誘導は順調だが、妙な生物が出てきた」
「どんな生き物ですか?」
「例えるなら馬鹿馬鹿しい話だが、化け物という言葉が正しいかな」
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