28 / 49
第2章 パラレリアクロス
2-12 時間と空間を越える旅へ
しおりを挟む
ハザード達が見つけてきた【オーパーツ】は今は今後の旅の方針を決める為にジョニーの伝手で手配した作戦会議室のテーブルに置かれていた。
まるで天使の羽のようなレリーフの彫像みたいなアイテムだ。
キッドの答えではこれは『鍵』らしい。
一体、これから何が起きようとしているのか?
彼らは固唾を呑んでキッドの言葉を待った。
「一体、その【オーパーツ】を使ってこれからどうする気なんだい?」
「あの隕石の近くに行くよ」
「大丈夫なのか? あの隕石?」
「ああ。あの隕石こそレムが導かれた異世界【アルトカークス】と地球の様々な場所へ行く為の扉──【セラフィックゲート】なんだ」
「今にニューヤークだけじゃなく世界中にこの隕石は落下してくると思う。その隕石の近くには必ず【オーパーツ】がある筈。その【オーパーツ】を使い、その場所で起きている歪んだ世界を解決していけばやがてアルトカークスへと行ける寸法さ」
「これから先は生身での闘いになる。ハザードもロベルトも、そしてジョニーもある程度の準備を整えてくれ」
「……」
「どうした? ジェニファー?」
「……ううん、ちょっと考え事してただけ」
これから起きる闘いの旅は楽しみではある。
しかし、ジェニファーの心は迷路のように迷っていた──。
あの【女神の瞳】で観た光景の中には、父の行動全てが視えていた。
父が護るべき女性と愛を交わす時も。
まるで自分自身が抱かれる錯覚を起こしたようにルーアの【女神の瞳】には父との愛の交換のシーンが覗けてしまった。
不思議と疎外感は感じなかった。
父のレムはそこでは余りにも美しく、余りにも艶やかで、心を剥き出しにしてルーアと体を重ねていた──。
父はその端正な姿でカルベローナ公国の技術士官大佐の地位を守っていた逸話がある。
偽りだらけの恋愛の連続で、彼の心にはいつも雨が降っていた。
吐息を甘く絡ませ、自分自身を偽り、相手を悦ばして、そうして己の地位を守っていた事に虚しさを感じていた。
しかし、夢うつつで観たルーアとの営みは偽りの想いではしてなかった。
そして私は迂闊だった──。
その実の娘である私は父の肌を感じてみたいと思うようになった。許されない事は解っている。
確かに父はこの機械仕掛けのクロスボウを与えて私に勇気をくれた。
周囲のパイロット達は私を頼ってくれて、お礼も言ってくれる。
初めて友人と言える女の子にも会えた。
だけど、この全ての闘いが終わった時───父は果たして地球に戻ってきてくれるだろうか?
まだ私は、地球の為に闘おうなんて覚悟は決まっていない───。
父ともう一度会いたい。父の声を聞きたい。
それだけだ。
そんな覚悟でこれからの旅を続けられるのであろうか?
「隕石の近くに寄っても大丈夫そうなら、まじまじと観察してみたいな」
「本当に隕石なのか確かめる必要はあるよな」
「ジェニファーちゃん」
「あ、はい」
「何か凄く考え事があるのは判るけど、少し息を抜こう。レム大佐は誰かを裏切る人ではないよ」
「少し旅を続ければ『自分自身の闘い』も見えてくるはずさ。焦る必要はないさ──」
「ハザードさん」
「俺達もレム大佐に会いたい気持ちはあるから安心しろよ」
パイロット達は皆、闘いに慣れていないジェニファーにフォローをしてくれる。
キッドはこの人達はただ強いだけのエースパイロットではないなと思う。
戦力を集める中でも彼らは、『闘うべき相手』と『闘うべきではない相手』をきちんと考えて行動している。
レムが友人として信頼するのも判る。
こういう人達こそ、訳の解らない怨霊や化け物などに殺されないで欲しい。
ジェニファー達は全員揃って隕石の前に立った。
彼らの手にはアルトカークスの武器が収まったケースや諸々の持ち物などが一つの袋に収まるように入っている。
ジェニファーも割りと身軽な荷物だった。
キッドは最後の確認を取った。
「このオーパーツを使えば何処に飛ばされるか分からないからサイド3 に帰還するのは困難だよ。準備と覚悟はいいかい?」
「おう! 何でもかかってこいや!」
「ロベルトの奴、結構、楽しみっぽいな。俺も良いぜ」
「ワクワクしてきたな。こういうのを俺は待ってきたのかもな」
「ジェニファー?」
「───私も大丈夫。行こう!」
キッドは隕石の前にオーパーツを差し出すと、オーパーツが金色の光を放ち、彼らを何処かへと連れ去った。
その旅立ちの前のジェニファーの不安な心の内側はこの質問だった。
ねえ? お父さん。全てが終わった時、お父さんは地球に戻ってきてくれるの?
それともルーアさんと一緒の人生を歩むの?
どっちなの───?
地球とアルトカークス───どちらを選ぶの?
ジェニファーは不安を抱きながら、地球の異変を正す旅立ちを迎えた。
一抹の不安を感じながら──。
世界を救う為に。
まるで天使の羽のようなレリーフの彫像みたいなアイテムだ。
キッドの答えではこれは『鍵』らしい。
一体、これから何が起きようとしているのか?
彼らは固唾を呑んでキッドの言葉を待った。
「一体、その【オーパーツ】を使ってこれからどうする気なんだい?」
「あの隕石の近くに行くよ」
「大丈夫なのか? あの隕石?」
「ああ。あの隕石こそレムが導かれた異世界【アルトカークス】と地球の様々な場所へ行く為の扉──【セラフィックゲート】なんだ」
「今にニューヤークだけじゃなく世界中にこの隕石は落下してくると思う。その隕石の近くには必ず【オーパーツ】がある筈。その【オーパーツ】を使い、その場所で起きている歪んだ世界を解決していけばやがてアルトカークスへと行ける寸法さ」
「これから先は生身での闘いになる。ハザードもロベルトも、そしてジョニーもある程度の準備を整えてくれ」
「……」
「どうした? ジェニファー?」
「……ううん、ちょっと考え事してただけ」
これから起きる闘いの旅は楽しみではある。
しかし、ジェニファーの心は迷路のように迷っていた──。
あの【女神の瞳】で観た光景の中には、父の行動全てが視えていた。
父が護るべき女性と愛を交わす時も。
まるで自分自身が抱かれる錯覚を起こしたようにルーアの【女神の瞳】には父との愛の交換のシーンが覗けてしまった。
不思議と疎外感は感じなかった。
父のレムはそこでは余りにも美しく、余りにも艶やかで、心を剥き出しにしてルーアと体を重ねていた──。
父はその端正な姿でカルベローナ公国の技術士官大佐の地位を守っていた逸話がある。
偽りだらけの恋愛の連続で、彼の心にはいつも雨が降っていた。
吐息を甘く絡ませ、自分自身を偽り、相手を悦ばして、そうして己の地位を守っていた事に虚しさを感じていた。
しかし、夢うつつで観たルーアとの営みは偽りの想いではしてなかった。
そして私は迂闊だった──。
その実の娘である私は父の肌を感じてみたいと思うようになった。許されない事は解っている。
確かに父はこの機械仕掛けのクロスボウを与えて私に勇気をくれた。
周囲のパイロット達は私を頼ってくれて、お礼も言ってくれる。
初めて友人と言える女の子にも会えた。
だけど、この全ての闘いが終わった時───父は果たして地球に戻ってきてくれるだろうか?
まだ私は、地球の為に闘おうなんて覚悟は決まっていない───。
父ともう一度会いたい。父の声を聞きたい。
それだけだ。
そんな覚悟でこれからの旅を続けられるのであろうか?
「隕石の近くに寄っても大丈夫そうなら、まじまじと観察してみたいな」
「本当に隕石なのか確かめる必要はあるよな」
「ジェニファーちゃん」
「あ、はい」
「何か凄く考え事があるのは判るけど、少し息を抜こう。レム大佐は誰かを裏切る人ではないよ」
「少し旅を続ければ『自分自身の闘い』も見えてくるはずさ。焦る必要はないさ──」
「ハザードさん」
「俺達もレム大佐に会いたい気持ちはあるから安心しろよ」
パイロット達は皆、闘いに慣れていないジェニファーにフォローをしてくれる。
キッドはこの人達はただ強いだけのエースパイロットではないなと思う。
戦力を集める中でも彼らは、『闘うべき相手』と『闘うべきではない相手』をきちんと考えて行動している。
レムが友人として信頼するのも判る。
こういう人達こそ、訳の解らない怨霊や化け物などに殺されないで欲しい。
ジェニファー達は全員揃って隕石の前に立った。
彼らの手にはアルトカークスの武器が収まったケースや諸々の持ち物などが一つの袋に収まるように入っている。
ジェニファーも割りと身軽な荷物だった。
キッドは最後の確認を取った。
「このオーパーツを使えば何処に飛ばされるか分からないからサイド3 に帰還するのは困難だよ。準備と覚悟はいいかい?」
「おう! 何でもかかってこいや!」
「ロベルトの奴、結構、楽しみっぽいな。俺も良いぜ」
「ワクワクしてきたな。こういうのを俺は待ってきたのかもな」
「ジェニファー?」
「───私も大丈夫。行こう!」
キッドは隕石の前にオーパーツを差し出すと、オーパーツが金色の光を放ち、彼らを何処かへと連れ去った。
その旅立ちの前のジェニファーの不安な心の内側はこの質問だった。
ねえ? お父さん。全てが終わった時、お父さんは地球に戻ってきてくれるの?
それともルーアさんと一緒の人生を歩むの?
どっちなの───?
地球とアルトカークス───どちらを選ぶの?
ジェニファーは不安を抱きながら、地球の異変を正す旅立ちを迎えた。
一抹の不安を感じながら──。
世界を救う為に。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる