罪の劇場 〜SMクラブWhich Trials〜

翔田美琴

文字の大きさ
5 / 60
第1クール 魔女裁判編

Case04 首無し騎士判事、出廷す

しおりを挟む
 【Which Trials】館内は次の魔女ジェシカに対する魔女裁判を検討していた。ジェシカが判事ガチャで引いたのはレア判事。しかし言葉刃物罪の魔女では荷が勝ち過ぎる。
 困っている所に【WhichTrials】の謎のスーパーレア判事、デュラハンが助け舟を出した。
「お困りのようだな」
「あっ、デュラハン判事!」
「次の魔女、言葉が刃物のタイプかね?」
「言葉の火力が高すぎて炎上ものです」
「私に任せたまえ」
「宜しいので?」
「ああ、ムートン判事では荷が重いだろう? 彼は壊されるべきではない才能だ……なら私がいく」
 そこでSSR判事ジョニー判事が脇から出てくる。
「おお~!? 首無し騎士判事、出廷か!」
「相変わらず、ジョニー判事の物言いは物騒な」
「お前に裁かれりゃあちょっとは口も治るだろうぜ」
「口を治すのではない……永久に聞けなくするのだ……」
「言ってる事がこえぇよ。まあ……何だ物理的に殺すなよ……」
「……ふん、救いのない魔女など救わなくて良いのだ」
「それがこえぇって」

 漆黒のフード付きの法衣が風もない屋内で揺れたように観えた。ジョニーは予感する。

「今夜も荒れるな……これ」
「観たくない……でも、俺は経理だし……うわー、お願いだから誰も死なんでくれ」

 2階観覧席のエリオット判事とアレシア判事も気配がおかしいことに気づく。
 少しあの世の空気があるように、冷たい空気が場を支配し始めている。
 エリオット判事は眉を顰めた。

「どうやら、次の舞台は首無し騎士判事が来るな」
「デュラハン判事ね」
「優雅に見えて、から恐ろしい男」
「まあ、でもデュラハン判事なら大丈夫だろう」
「心配してあげるのは次の魔女ね」

 舞台裏の回廊では、先程のジェシカが控えている。腕を組んで「ふん」とばかりに壁に寄りかかる。

「感謝なさいよね。あんた達の余興に出演してやるんだから」
「余興で終わればこちらも嬉しいですよ」
「何それ?」
「次はあなたに免じて最高の判事をご用意しましたから」
「私に免じてね……」
  それは先程のリリアとは違った挑戦者の目をしていた。
「やってやろうじゃないの」
「魔女ジェシカ・フローベル、出廷せよ」

 この後、彼女は恐ろしいを通り越した悪夢をみることになる。
 回廊を潜り、舞台へと上がると、そこはリリアの精神が挫かれる要素で溢れている。
 客の無遠慮な煽り、暴言。
 それは当然、ジェシカにも向けられる。

「のこのこと出て来やがったぜ! クソ魔女ー! 死ねー!」
「テメーは終わりよ! 首無し騎士判事さえ、いりゃあな!」
「テメーの人生、ここで終わりだ!」
「くたばれや!」

 暴言のレベルが数段暴力的だった。
 それはデュラハン判事の裁きは心を砕く審問だから。
 煽りは祝詞であることを知っているから。

「うるさいわね! 私は死なないわ!」
「吠え面かくなよ!?」
「吠えろ! 吠えろ! 今のうちに吠えて、後で死ね!」
「やたらと死ねが出てるけど」
「そーだ! テメーみたいなアマは死ね!」
「静かに──これより魔女ジェシカ・フローベルの審問を開廷する」

 ジェシカはその判事を観ると恐ろしくて言葉を失った。
 漆黒のフード付きの法衣。顔はフードでよくわからない。佇まいは威圧的、まるでそれは幽鬼みたいな圧を感じる。
 本当に人なのかと疑いたくなるような冷気の漂う気配、濃厚な死の香り──。
 常に黒の革手袋に包まれた手袋の指先から殺気さえも漂っているように。
 この判事こそ、デュラハン判事。ランクはスーパーレア判事に分類される恐怖のスーパーレアである。
 渾名はまさに永久に口を封じる判事、死の判事、魂を喰らう者など。
 エリオット判事もアレシア判事も息を飲んだ。圧倒的過ぎる死の気配が、彼らの握るグラスを微かに震わせる。

「圧倒的過ぎるな」
「大丈夫? あの子、物理的に逝かない? これ?」

 露骨に心配するアレシア判事に、エリオット判事も額に汗が微かに出た。
 だが、あの魔女の無謀精神は怖さを知らないのか吐き捨てる。

「面を見せないってどういう了見よ?」
「君に必要なのは面ではない。鞭と死だ」
「出たー! 後悔しろよ! 女狐!」
「はい! あの世への片道切符ゲットだぜ!」
「死ねや、クソが!」
「デュラハン判事ー! 遠慮なくやっちゃってくださーい!」
「何で皆、死ねばかり言うのよ……何も悪いことしてないじゃない?」
「何故かは自分で考えろ。最も生きて帰れたらの話だが」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

会社員の青年と清掃員の老婆の超越した愛

MisakiNonagase
恋愛
二十六歳のレンが働くオフィスビルには、清掃員として七十歳のカズコも従事している。カズコは愛嬌のある笑顔と真面目な仕事ぶりで誰からも好かれていた。ある日の仕事帰りにレンがよく行く立ち飲み屋に入ると、カズコもいた。清掃員の青い作業服姿しか見たことのなかったレンは、ごく普通の装いだったがカズコの姿が輝いて見えた。それから少しづつ話すようになり、二人は年の差を越えて恋を育んでいくストーリーです。不倫は情事かもしれないが、この二人には情状という言葉がふさわしい。

処理中です...