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最終章
ニ
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YはJのいる部屋をフロントの人に聞いた。
「大西様は402号室になります。」
「ありがとう。」
Yは、礼を言い、廊下を歩いて、ボタンを押し、エレベーターを呼ぶ。
5階にいたエレベーターが4階3階と下りてくる。その待ち時間でYは、この前の報告会でのことを思い出していた。
※
Aが言った。
「AとJは、これから私の言うとおりに動いてもらう。」
Aがビールを飲み、一息入れる。
「と、その前に少し話をしょう。なぜ、奴が今回のターゲットに選ばれたかわかるか?」
「それは、Aの職場が一緒で、一番騙されやすそうだったからじゃないの?」とわたしは言った。
「残念ながら違う理由がある。今、Yが言ったことも正解である。けれどもっとちゃんとした理由があるんだ。」
「どういうこと?」
「それを話す前に君たちの過去について話さないとならない。昔、君たちはどんな子どもだったか。どんな風に暮らしていたかを思い出して欲しい。」
なぜわたしの過去が今関係あるのだと思った。
「俺の子どもの頃は、施設に入ってた。両親二人とも居なくなっちゃった。」
「えっ?わたしも施設に入ってたよ。」驚いた。Jも施設に入ってたなんて。
「Jは、なんで両親共に居なくなったんだ?」Aが質問した。
「たしか…。俺の父は医者をしてたんだ。母は、もともと体が弱くて、父の病院で入院してたんだ。
ある日突然、母の容態が急変して亡くなり、母が亡くなったのと同時に、父は家に帰ってこなくなった。俺は父に会いたいと思い、働いている病院に行ったんだ。そしたら、受付の女医さんに転勤してもうここには居ないと告げられた。それから、俺は父を見て居ない。」
「そうか。それで一人きりになったから施設に入れられたと。」
Jは、こくんと頷き、
「Yは、なんで施設に入れられたんだ?」と聞いてきた。
「わたしの場合は、母が男を作って出て行っちゃいました。それでも父は、男手一つ一生懸命にわたしを育ててくれました。
けれども、ある日父は、仕事先で大きなミスをしてクビになってしまいました。それで父は、毎日ギャンブル通い。挙げ句の果てに借金作って闇金にまで手を出して、最後はヤクザの人達に殺されちゃった。」
「なるほど。それで一人になって施設に入れられたわけか。あーごめん。なんか辛いこと思い出させて。」
Jは、こういう気遣いが出来るいい男である。
「いいよ。ねぇ。A。この話と奴は何が関係しているの?全然話が見えてこないんだけど。」
「まあ、焦らないでください。美味しいものは最後にとっておくものですよ。」
Aはゆったりとした口調でマイペースに続けた。
「では、ゆっくり物語を紐解いていきましょうか。今から私が言うことはすべて本当のことなのでよく聞いてください。」
「大西様は402号室になります。」
「ありがとう。」
Yは、礼を言い、廊下を歩いて、ボタンを押し、エレベーターを呼ぶ。
5階にいたエレベーターが4階3階と下りてくる。その待ち時間でYは、この前の報告会でのことを思い出していた。
※
Aが言った。
「AとJは、これから私の言うとおりに動いてもらう。」
Aがビールを飲み、一息入れる。
「と、その前に少し話をしょう。なぜ、奴が今回のターゲットに選ばれたかわかるか?」
「それは、Aの職場が一緒で、一番騙されやすそうだったからじゃないの?」とわたしは言った。
「残念ながら違う理由がある。今、Yが言ったことも正解である。けれどもっとちゃんとした理由があるんだ。」
「どういうこと?」
「それを話す前に君たちの過去について話さないとならない。昔、君たちはどんな子どもだったか。どんな風に暮らしていたかを思い出して欲しい。」
なぜわたしの過去が今関係あるのだと思った。
「俺の子どもの頃は、施設に入ってた。両親二人とも居なくなっちゃった。」
「えっ?わたしも施設に入ってたよ。」驚いた。Jも施設に入ってたなんて。
「Jは、なんで両親共に居なくなったんだ?」Aが質問した。
「たしか…。俺の父は医者をしてたんだ。母は、もともと体が弱くて、父の病院で入院してたんだ。
ある日突然、母の容態が急変して亡くなり、母が亡くなったのと同時に、父は家に帰ってこなくなった。俺は父に会いたいと思い、働いている病院に行ったんだ。そしたら、受付の女医さんに転勤してもうここには居ないと告げられた。それから、俺は父を見て居ない。」
「そうか。それで一人きりになったから施設に入れられたと。」
Jは、こくんと頷き、
「Yは、なんで施設に入れられたんだ?」と聞いてきた。
「わたしの場合は、母が男を作って出て行っちゃいました。それでも父は、男手一つ一生懸命にわたしを育ててくれました。
けれども、ある日父は、仕事先で大きなミスをしてクビになってしまいました。それで父は、毎日ギャンブル通い。挙げ句の果てに借金作って闇金にまで手を出して、最後はヤクザの人達に殺されちゃった。」
「なるほど。それで一人になって施設に入れられたわけか。あーごめん。なんか辛いこと思い出させて。」
Jは、こういう気遣いが出来るいい男である。
「いいよ。ねぇ。A。この話と奴は何が関係しているの?全然話が見えてこないんだけど。」
「まあ、焦らないでください。美味しいものは最後にとっておくものですよ。」
Aはゆったりとした口調でマイペースに続けた。
「では、ゆっくり物語を紐解いていきましょうか。今から私が言うことはすべて本当のことなのでよく聞いてください。」
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