インフィニート!!

桜木雨

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三話目!

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高校2年生の春。
全国の学生たちがクラス替えに胸をざわつかせる学校始業の日。
僕は全国有数の進学校である私立葉澄高等学校の校門の前に立っていた。
なんでこんなことになったんだ!?

時は遡り昨年十二月の年の暮れ。
忘れもしないインフィニート初顔合わせの日。
僕は半ば強制的に私立葉澄高等学校に転校させられることが決まった。
理由は簡単。事務所はインフィニートのメンバーを一つの学校に集め話題性を高め知名度を上げたいらしい。
当時中学三年生と絶賛受験期だった月と千景は私立葉澄高等学校を受験することとなり、無事合格したため、僕もこの学校へと転校することとなった。
しかし、この高校へ転校することがそんなに簡単なわけがない。
この高校偏差値が訳が分からないくらい高いのだ。
勉強は人並みにしか出来ない僕が、入試よりも難しいとされる転入試験に合格できる訳がない、そう思っていた。
そう久瀬さんにも言うと、なぜか近くにいた社長が答えた。
「普通の転入試験を受けさせる訳ないでしょ。来年の春に新設される芸能コースだよ。他のメンバーもそこに転科してもらう。新設された芸能コースは完全無料の全寮制だから。よろしくね」
え?この人今、全寮制って言った?完全無料?え?
「社長の説明は重要なことしか言わなさすぎて、逆に意味わからないことになってますよね。簡単にいうと、知名度を上げていきたい葉澄高校はそもそも知名度のある芸能人を高校に呼んで楽に知名度を上げようとしているんです。だからその対価として芸能コースの生徒は完全無料年です。全寮制なのは、学校の行き帰りなどでトラブルを生まないためだそうですよ。haruさんはおそらくインフィニートのリーダーということで書類だけでも通りますよ」
まじかよ。そんな都合のいいことって世の中にあるんだな。てか、タイミング良すぎだろ。
「haru今、タイミング良すぎとか思ったでしょ。これが違うんだなー。俺が合わせたんだよ。芸能コースの設立時期に。こちらとしても、アイドルが売れればうれしい訳だから。今回のインフィニートは話題性を追求したグループってことだよ」
おお。凄い。色々考えてるんだなぁ。なんて言うと思ったか。言わねぇよ。なんか利用された感すごいんですけど。ねぇ。まぁでも学費いらないし、いっか。

そんなこんなで、僕はこの高校へと転校してきた。
で、なんなんだ。この高校。でかくない?
僕はこの高校に入ることになってから知ったんだけど、この高校、高校だけじゃなくて、幼稚園から大学まであるらしい。
大学と高校は外部からも人を取ってるらしいけど、小・中では人の入れ替わりはないらしい。
でも、進級試験は難しいらしく、中学の終わりには幼稚園入園時の半分ほどの人数になるらしい。
怖すぎる。僕には無理だ。学費もすごいらしいし。
ちなみに海斗以外は高校からの入学らしい。
今日はもう始業式だけで帰っていいんだって、寮に。
荷物もすでに寮の方に送られているらしく、今日は荷物が軽い。
初めての転校と寮生活に不安と期待を抱えながら僕はこの大きな校門をくぐった。
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