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番外編 その後の王子
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あれから首都に戻った俺は……誰も頼らず、どこにも戻らず、ただただ街を、あてどなく彷徨っていた。
これ以上、こんな惨めな姿を誰にも晒したくはなかった。残り僅かな手持ちをはたいて浴びるように酒を飲み、ふらつく足で路地裏を歩く。すれ違いざまにガラの悪そうな男にぶつかって、俺は相手を睨みつけた。
「痛ってぇなぁ!」
案の定争いになったが、ちゃんと人を殴ったことすらない俺は……すぐにしたたかに打ちのめされて、冷たい地面に転がった。既に春が訪れていた南方のエルスター領区と違い、首都の夜はまだまだ底冷えのする寒さを残している。
──ああ、なんて寒いんだ。だがこのまま死ぬのも、悪くない。
「ねえちょっと兄さん! こんなとこで寝てたら死んじまうよ!」
だが俺を迎えに来た天使は、えらくみすぼらしい姿をしていた。
「ほっといてくれ……こんな人生、死んだ方がマシだ……」
「このバカ! 死んだらぜんぶ終わりなんだよ!?」
彼女はそう憤慨しながら痩せっぽちの身体でなんとか俺を支えると、すぐ横の石造りのアパートへと俺を押し込んだ。どうやらここの窓から倒れたまま動こうとしない俺を見て、心配して見に来たらしい。
「見ず知らずの男を家に連れ込むとか、バカはお前の方じゃないのか」
「もちろんバカなことやってんのはあたしにだって分かってるよ! でも、あのままじゃ死んじゃいそうだったから……ほっとけなかったんだから仕方ないだろ!」
肩をいからせたまま、彼女は言った。
「あんたの名前、なんてゆうの?」
「……ジョー」
「ジョー、いい名前だね! あたしはエイミーってゆうの。こっちは弟のビリー! ほら、これで見ず知らずじゃなくなった。とりあえず、元気になるまでいていいからね!」
俺は惰性に任せ、そのままエイミーたちの住む貧民街のボロアパートにいりびたった。石造りの建物は少なく見積もっても五百年は経っているだろう古さで、外国で起こるという噂の地震でも起きた日には、一発で崩れ落ちてしまいそうだ。
エイミーは昼間まだ幼い弟の世話をしながら内職仕事をすると、夜は仕事だと言って出かけていった。
「弟を夜一人で残すのは心配だったから、ジョーがいてくれて安心だ」
そう言う彼女に何でそこまで俺を信用できるんだと聞いたら、不思議そうな顔をしてこう答えた。
「自分でもよくわかんないんだけど、あんたってヒョロヒョロだし、それになんだかお上品? な感じでさ。いやしい感じがしないってゆうか、盗みとか働くようなタイプには見えないんだよね」
「俺は……そんな上等な人間じゃない」
「ほら、そうゆうところだよ!」
そう言って、何故かエイミーはひとしきり笑うと。そして、皮肉げな笑みを浮かべて……こう続けた。
「あたし、仕事でいろんな人に会うからさ……こういう直感って、けっこう当たるんだ」
いつも明け方近くに帰宅するエイミーを不思議に思い、あるとき俺は問いかけた。
「こんな夜に、一体何の仕事をしているんだ?」
エイミーは少し言いにくそうにしつつ、答えた。
「ええとね、あたしは……『花』を売ってるんだ」
夜に売る『花』とは……つまりそういうことなのだろう。だが俺は、知らぬふりをした。俺はちょっと世話になっているだけの赤の他人だ。他人がいらぬお節介で口を出すことじゃない。だが他人だと言いながら、俺はずるずると面倒見のよい彼女の世話になっていた。
数日後、まだ夜半のうちに帰宅したエイミーは、足を引きずり片頬を真っ赤に腫らしていた。
「どうした!?」
「さっきとったお客に……やられちゃって……。今日の売り上げも、ぜんぶとられちゃった……」
「くそっ! どこの野郎だ!?」
「わかんない……いつもお客は行きずりだから。ちょっとヤバそうかなって、思ったんだ。でも、チップはずんでくれるってゆうから……欲かいた罰だね……」
「こんな仕事、もうやめろ!」
「でもあたし、学ないからさ。こうでもしなきゃ、弟と二人で食っていけないから……」
『殿下、貴方は恵まれているのです』
俺は、かつての婚約者に言われた言葉を思い出した。
そうだ。俺は恵まれていたのだ。
全てを自ら手放してしまうまで、俺はひもじい思いも、寒い思いも、痛い思いも、惨めな思いも……一度たりとして、したことがなかったのだ。
「あたしさ、弟を学校にやってやりたくて、ちょっとずつだけどお金ためてるんだ。無学のままだと、いつまでたっても貧しいままだ。弟には、ちゃんと学つけて立派な仕事につかせてやりたいんだよ……」
そう言って夢見るような顔で笑う彼女を、俺は思わず抱きしめた。
「俺が……何とかしてやる」
翌朝、俺は近くにある港に向かった。そこなら日雇いで荷運びの仕事があるはずだ。
ようやく僅かな日銭を稼いで帰り、遠慮する彼女にこれまでの宿代だと言って押し付けた。俺は翌日も、そのまた翌日も、人足頭に怒鳴られながら重い荷袋を背負って運び続けた。これは俺の、贖罪なのだ。
そんな生活を続け、やがて数か月の時が流れた。
ある日俺は、港にある事務所の裏口に捨てられていた新聞を拾った。あえて世情から離れていた俺だが、この日気になったのは運命だったのかも知れない。
それはボルトン家の新しい当主が、その夫人と共にチャリティーイベントを開いたという記事だった。どうやらエリスは父親の部下だった男と再婚して跡を継ぎ、幸せにやっているらしい。
別の日に拾った新聞では、ミラベルたちのあの城が紹介されていた。
俺はかつて傷付けてしまった彼女たちの幸せな様子に安堵し……そして少しだけ、救われた気がした。
持ち帰った新聞を何度も取り出しては眺めていると、エイミーが驚いたように言った。
「すごい、あんたって字が読めるんだね」
「……普通は読めるんじゃないのか?」
「少なくともこの下町じゃ、読めない方がふつうだよ!」
「そうだったのか……」
俺は仕事を終えると真っすぐに帰宅して、エイミーとビリーに読み書きを教えることにした。目を輝かせながら学ぶ彼女は、俺にはあまりにも眩しい存在だった。かつての俺は、勉強などバカのやることだと思っていたのだ。
「ねえ、ジョーが教えてくれたおかげで、もう新聞も読めるようになったんだよ! でね、見てこのお城。ここにいったらさ、誰でもおとぎ話のお姫さまみたいになれるんだって! お姫さまかぁ……キレイなんだろうなぁ……」
そこにはあのエルスター城を描いた挿絵が、印刷されていた。
「エイミー……いつか俺が連れて行ってやるよ。うんと稼いで、俺がいつかお前を王妃にしてやる」
「あははっ! 王妃さまかぁ……。楽しみにして待ってる!」
ある日俺が小ぎれいな格好で帰宅すると、エイミーが驚いたように目を丸めた。
「えっ、あんたジョーなの!? どっ、どうしたの? そんなカッコして……」
「今日港に入ってきた外国船の通訳が、船旅の途中で亡くなっていてな。それが誰も知らない言語のようだったから、俺が代理で訳してやったんだ。ついでに他の言語もいくつか話せると言ったら船主に気に入られてな。明日からこの格好で、通訳兼従者として働けってさ」
商機を逃さず済んだ船主は上機嫌で、さっそく俺を手近で使おうと考えた。だが取引先の手前、あまり酷い風貌の男を連れて歩くのでは困ると思ったんだろう。床屋を呼んで俺の身なりを整えさせると、船主はさらに喜んで支度金をはずんでくれた。見目の良い従者というのは、男であっても主人の格を上げるということらしい。
「そうだったんだ……。えへへ、カッコよすぎて、まるでおとぎ話の王子さまみたい……」
「本当に王子だと言ったら、どうする?」
「それは困るなぁ……」
「何故だ?」
「いつか魔法がとけて、いなくなっちゃいそうだから。ジョーはただのジョーで、ずっとここにいて欲しいよ……」
「……安心しろ。俺は王子じゃなくてただのジョーで、ずっとお前と共にいる」
「うん!」
俺はエイミーの細い身体を強く抱き寄せた。
そうしてこの小さな幸せを、今度は絶対に手放さないと決めた。
日雇い人足の身から急に従者に抜擢された俺には、主人のいないところで唾を吐きかけてくる奴もいる。他の奴らも、嫉妬や侮蔑の視線を感じない方が、少ないくらいだ。身元不明の貧民上がりが、すぐにボロを出すだろう……そう、面と向かって笑われた。
だが、何を言われようと、どんな嫌がらせを受けようと、俺はこの仕事にしがみついてやる。今度こそ自分だけの力で、彼女を幸せにしたいのだ。
安全な場所で最高の教育を受けられた俺は、やはり恵まれていた。そうして得られた語学などの学識は、何も持たない俺に残った、ただ一つの武器となっている。
俺はエイミーが部屋の壁に貼り付けた、新聞記事の切り抜きに目をやった。
いつかあの城へ、エイミーを連れて行ってやろう。そうして今度こそ、大事なものが分かったのだと……胸を張って、あの二人に会いにゆくのだ。
ただのジョーとして、俺はこれからも生きてゆく。
おわり
これ以上、こんな惨めな姿を誰にも晒したくはなかった。残り僅かな手持ちをはたいて浴びるように酒を飲み、ふらつく足で路地裏を歩く。すれ違いざまにガラの悪そうな男にぶつかって、俺は相手を睨みつけた。
「痛ってぇなぁ!」
案の定争いになったが、ちゃんと人を殴ったことすらない俺は……すぐにしたたかに打ちのめされて、冷たい地面に転がった。既に春が訪れていた南方のエルスター領区と違い、首都の夜はまだまだ底冷えのする寒さを残している。
──ああ、なんて寒いんだ。だがこのまま死ぬのも、悪くない。
「ねえちょっと兄さん! こんなとこで寝てたら死んじまうよ!」
だが俺を迎えに来た天使は、えらくみすぼらしい姿をしていた。
「ほっといてくれ……こんな人生、死んだ方がマシだ……」
「このバカ! 死んだらぜんぶ終わりなんだよ!?」
彼女はそう憤慨しながら痩せっぽちの身体でなんとか俺を支えると、すぐ横の石造りのアパートへと俺を押し込んだ。どうやらここの窓から倒れたまま動こうとしない俺を見て、心配して見に来たらしい。
「見ず知らずの男を家に連れ込むとか、バカはお前の方じゃないのか」
「もちろんバカなことやってんのはあたしにだって分かってるよ! でも、あのままじゃ死んじゃいそうだったから……ほっとけなかったんだから仕方ないだろ!」
肩をいからせたまま、彼女は言った。
「あんたの名前、なんてゆうの?」
「……ジョー」
「ジョー、いい名前だね! あたしはエイミーってゆうの。こっちは弟のビリー! ほら、これで見ず知らずじゃなくなった。とりあえず、元気になるまでいていいからね!」
俺は惰性に任せ、そのままエイミーたちの住む貧民街のボロアパートにいりびたった。石造りの建物は少なく見積もっても五百年は経っているだろう古さで、外国で起こるという噂の地震でも起きた日には、一発で崩れ落ちてしまいそうだ。
エイミーは昼間まだ幼い弟の世話をしながら内職仕事をすると、夜は仕事だと言って出かけていった。
「弟を夜一人で残すのは心配だったから、ジョーがいてくれて安心だ」
そう言う彼女に何でそこまで俺を信用できるんだと聞いたら、不思議そうな顔をしてこう答えた。
「自分でもよくわかんないんだけど、あんたってヒョロヒョロだし、それになんだかお上品? な感じでさ。いやしい感じがしないってゆうか、盗みとか働くようなタイプには見えないんだよね」
「俺は……そんな上等な人間じゃない」
「ほら、そうゆうところだよ!」
そう言って、何故かエイミーはひとしきり笑うと。そして、皮肉げな笑みを浮かべて……こう続けた。
「あたし、仕事でいろんな人に会うからさ……こういう直感って、けっこう当たるんだ」
いつも明け方近くに帰宅するエイミーを不思議に思い、あるとき俺は問いかけた。
「こんな夜に、一体何の仕事をしているんだ?」
エイミーは少し言いにくそうにしつつ、答えた。
「ええとね、あたしは……『花』を売ってるんだ」
夜に売る『花』とは……つまりそういうことなのだろう。だが俺は、知らぬふりをした。俺はちょっと世話になっているだけの赤の他人だ。他人がいらぬお節介で口を出すことじゃない。だが他人だと言いながら、俺はずるずると面倒見のよい彼女の世話になっていた。
数日後、まだ夜半のうちに帰宅したエイミーは、足を引きずり片頬を真っ赤に腫らしていた。
「どうした!?」
「さっきとったお客に……やられちゃって……。今日の売り上げも、ぜんぶとられちゃった……」
「くそっ! どこの野郎だ!?」
「わかんない……いつもお客は行きずりだから。ちょっとヤバそうかなって、思ったんだ。でも、チップはずんでくれるってゆうから……欲かいた罰だね……」
「こんな仕事、もうやめろ!」
「でもあたし、学ないからさ。こうでもしなきゃ、弟と二人で食っていけないから……」
『殿下、貴方は恵まれているのです』
俺は、かつての婚約者に言われた言葉を思い出した。
そうだ。俺は恵まれていたのだ。
全てを自ら手放してしまうまで、俺はひもじい思いも、寒い思いも、痛い思いも、惨めな思いも……一度たりとして、したことがなかったのだ。
「あたしさ、弟を学校にやってやりたくて、ちょっとずつだけどお金ためてるんだ。無学のままだと、いつまでたっても貧しいままだ。弟には、ちゃんと学つけて立派な仕事につかせてやりたいんだよ……」
そう言って夢見るような顔で笑う彼女を、俺は思わず抱きしめた。
「俺が……何とかしてやる」
翌朝、俺は近くにある港に向かった。そこなら日雇いで荷運びの仕事があるはずだ。
ようやく僅かな日銭を稼いで帰り、遠慮する彼女にこれまでの宿代だと言って押し付けた。俺は翌日も、そのまた翌日も、人足頭に怒鳴られながら重い荷袋を背負って運び続けた。これは俺の、贖罪なのだ。
そんな生活を続け、やがて数か月の時が流れた。
ある日俺は、港にある事務所の裏口に捨てられていた新聞を拾った。あえて世情から離れていた俺だが、この日気になったのは運命だったのかも知れない。
それはボルトン家の新しい当主が、その夫人と共にチャリティーイベントを開いたという記事だった。どうやらエリスは父親の部下だった男と再婚して跡を継ぎ、幸せにやっているらしい。
別の日に拾った新聞では、ミラベルたちのあの城が紹介されていた。
俺はかつて傷付けてしまった彼女たちの幸せな様子に安堵し……そして少しだけ、救われた気がした。
持ち帰った新聞を何度も取り出しては眺めていると、エイミーが驚いたように言った。
「すごい、あんたって字が読めるんだね」
「……普通は読めるんじゃないのか?」
「少なくともこの下町じゃ、読めない方がふつうだよ!」
「そうだったのか……」
俺は仕事を終えると真っすぐに帰宅して、エイミーとビリーに読み書きを教えることにした。目を輝かせながら学ぶ彼女は、俺にはあまりにも眩しい存在だった。かつての俺は、勉強などバカのやることだと思っていたのだ。
「ねえ、ジョーが教えてくれたおかげで、もう新聞も読めるようになったんだよ! でね、見てこのお城。ここにいったらさ、誰でもおとぎ話のお姫さまみたいになれるんだって! お姫さまかぁ……キレイなんだろうなぁ……」
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「エイミー……いつか俺が連れて行ってやるよ。うんと稼いで、俺がいつかお前を王妃にしてやる」
「あははっ! 王妃さまかぁ……。楽しみにして待ってる!」
ある日俺が小ぎれいな格好で帰宅すると、エイミーが驚いたように目を丸めた。
「えっ、あんたジョーなの!? どっ、どうしたの? そんなカッコして……」
「今日港に入ってきた外国船の通訳が、船旅の途中で亡くなっていてな。それが誰も知らない言語のようだったから、俺が代理で訳してやったんだ。ついでに他の言語もいくつか話せると言ったら船主に気に入られてな。明日からこの格好で、通訳兼従者として働けってさ」
商機を逃さず済んだ船主は上機嫌で、さっそく俺を手近で使おうと考えた。だが取引先の手前、あまり酷い風貌の男を連れて歩くのでは困ると思ったんだろう。床屋を呼んで俺の身なりを整えさせると、船主はさらに喜んで支度金をはずんでくれた。見目の良い従者というのは、男であっても主人の格を上げるということらしい。
「そうだったんだ……。えへへ、カッコよすぎて、まるでおとぎ話の王子さまみたい……」
「本当に王子だと言ったら、どうする?」
「それは困るなぁ……」
「何故だ?」
「いつか魔法がとけて、いなくなっちゃいそうだから。ジョーはただのジョーで、ずっとここにいて欲しいよ……」
「……安心しろ。俺は王子じゃなくてただのジョーで、ずっとお前と共にいる」
「うん!」
俺はエイミーの細い身体を強く抱き寄せた。
そうしてこの小さな幸せを、今度は絶対に手放さないと決めた。
日雇い人足の身から急に従者に抜擢された俺には、主人のいないところで唾を吐きかけてくる奴もいる。他の奴らも、嫉妬や侮蔑の視線を感じない方が、少ないくらいだ。身元不明の貧民上がりが、すぐにボロを出すだろう……そう、面と向かって笑われた。
だが、何を言われようと、どんな嫌がらせを受けようと、俺はこの仕事にしがみついてやる。今度こそ自分だけの力で、彼女を幸せにしたいのだ。
安全な場所で最高の教育を受けられた俺は、やはり恵まれていた。そうして得られた語学などの学識は、何も持たない俺に残った、ただ一つの武器となっている。
俺はエイミーが部屋の壁に貼り付けた、新聞記事の切り抜きに目をやった。
いつかあの城へ、エイミーを連れて行ってやろう。そうして今度こそ、大事なものが分かったのだと……胸を張って、あの二人に会いにゆくのだ。
ただのジョーとして、俺はこれからも生きてゆく。
おわり
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