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サタン@異世界編PART2
金髪女騎士を覆う異常な瘴気
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ドォォォオオオオーーーン!!!
激しい金属音の後には、遅れて重厚な衝撃音が響く。
ロクサス、メイジーを中心に鍔迫り合いの衝撃波で、教会の床が円形に凹んでいる。
「おい!やめろお前ら!!ロクサス!!その金髪女止めろ!!!」
俺は慌てて声を上げつつ、翼で高速移動してクロエを羽交締めにする。
ロクサスも弾かれたように身を動かし、ユカを地面に拘束した。
「ユカ!!君はなにをしている!?」
「クロエ!お前もなにキレてんだよ!」
2人はそれでも振り払って前に進もうと抵抗していたが、やがて諦めて力を抜いたようだった。
メイジーはユカの剣が自分に迫ったものだと気づいたものの、気丈に振る舞うため、腕の震えを抑えようと必死だった。
それを見て騎士団に文句をつけた。
「ふぅ……ったく!一般市民に向かってレイピアで刺突してくるってのはどうなんだ!?団長さんよぉ!」
俺は結構ガチ目にロクサスに怒りを向けた。
「す、すまない!!ユカ!きちんと説明するんだ」
しでかしてしまったことに震えるユカに向き直り、ロクサスは冷静に問いかけた。
「あ、あの……私は……」
「ユカ……。結論次第では、僕は君を処罰しなくてはならない。頼むから、まずはきちんと説明してほしい」
ロクサスは権威ある騎士団の団長だ。
部下や一般市民が見ている中で曖昧なまま終わらせてしまうことは、騎士団、さらには帝国の信用にも関わる。
言い出しにくいとは思うが、他の人間の前でユカの行動の理由をはっきりと問うことは至極当然であった。
「わた、私は……ロクサス様を……たぶらかそうとする者から……守らねばと……」
「たぶらかそうとする者……?」
「(コクリ)そ、そこの……」
そう言ってメイジーを指差した。
「彼女は先代のアルコット騎士団長のご令嬢で、メイジー様だ。たぶらかそうとする者ではないよ」
「で、ですが!!ロクサス様は魅了の魔法をかけられているようでありました!!」
「ユカ。君なら状態異常になっているかどうかくらい気付けるはずだ。……なぜだかはわからないが……感情的になり、突発的な行動だったんじゃないかな?」
「うっ……。私は、ワタシは……ワダジはァ……」
その時、追求を受けていたユカの周りに瘴気がまとわりつき、体を覆っていく。
「ユ、ユカーー!しっかり!救援部隊長!ユカが何か攻撃を受けている可能性がある!魔法障壁を!」
「は、はい!!」
救援部隊長と呼ばれた青髪の騎士が、ユカの周りに魔法障壁を貼った。
だが、予想に反して瘴気はさらに大きさを増していく。
「ぐっ……なんて風だ……」
風圧で全員吹き飛ばされそうになる。
「な、なぜだ!?攻撃ではないのか!?」
ロクサスも初めての経験なのか、目を細めて見守ることしかできない。
「ウ、ヴァアァアァアァア!!!」
ユカの苦しそうな声が瘴気の中から発せられる。
「ぐ……なんだこれっ……」
それまで見ていたジョウチンが膝を落とした。
周りを見ると、騎士団員たちも全員倒れている。
「うっ……サタン!ヤバい……これって……!」
カトリーナも両手を地面につく。
「くっ………」
「うっ……これは……」
クロエに抱えられるようにしながら、メイジーも口を抑える。
ロクサスは相変わらず立っていたが、その目は長年の宿敵を見るような鋭い眼光だった。
「おい!ロクサス!これどうするよ!?」
俺は駆け寄るとロクサスに問いかける。
「これは……"ゼロ"の気配と同じだ……」
「マジ?だって中にいるの……金髪女だろ……?」
「わからない……何が起こっているのか……」
(これ……まさかな…)
俺は目の前の異常な瘴気を目の当たりにして、プニパンでジュース屋の親父が言っていた話を思い出していた。
『ああ。"魔王級モンスター"って呼ばれる最強にヤバい危険極まりないモンスターで、なんでか知らんけど、突然人間からなっちまうらしいんだ。だから普通の魔物と違って知恵もある』
(ウソだろ……)
最悪の可能性に行き当たったが、慌ててその考えを捨てた。
その時、カトリーナの声が後方から聞こえた。
「サタン!なら、あたしがユカさんに解呪の風をーーー」
ーーーーードンッ。
衝撃音とともに突然途切れる声。
振り向くと、そこにはーーー。
懐かしい顔ーーー。
忘れるはずもないーーー。
世界で一番憎いーーー。
キレイな銀髪をした男がーーー。
カトリーナの胸をーーー。
笑顔で貫いていたーーー。
激しい金属音の後には、遅れて重厚な衝撃音が響く。
ロクサス、メイジーを中心に鍔迫り合いの衝撃波で、教会の床が円形に凹んでいる。
「おい!やめろお前ら!!ロクサス!!その金髪女止めろ!!!」
俺は慌てて声を上げつつ、翼で高速移動してクロエを羽交締めにする。
ロクサスも弾かれたように身を動かし、ユカを地面に拘束した。
「ユカ!!君はなにをしている!?」
「クロエ!お前もなにキレてんだよ!」
2人はそれでも振り払って前に進もうと抵抗していたが、やがて諦めて力を抜いたようだった。
メイジーはユカの剣が自分に迫ったものだと気づいたものの、気丈に振る舞うため、腕の震えを抑えようと必死だった。
それを見て騎士団に文句をつけた。
「ふぅ……ったく!一般市民に向かってレイピアで刺突してくるってのはどうなんだ!?団長さんよぉ!」
俺は結構ガチ目にロクサスに怒りを向けた。
「す、すまない!!ユカ!きちんと説明するんだ」
しでかしてしまったことに震えるユカに向き直り、ロクサスは冷静に問いかけた。
「あ、あの……私は……」
「ユカ……。結論次第では、僕は君を処罰しなくてはならない。頼むから、まずはきちんと説明してほしい」
ロクサスは権威ある騎士団の団長だ。
部下や一般市民が見ている中で曖昧なまま終わらせてしまうことは、騎士団、さらには帝国の信用にも関わる。
言い出しにくいとは思うが、他の人間の前でユカの行動の理由をはっきりと問うことは至極当然であった。
「わた、私は……ロクサス様を……たぶらかそうとする者から……守らねばと……」
「たぶらかそうとする者……?」
「(コクリ)そ、そこの……」
そう言ってメイジーを指差した。
「彼女は先代のアルコット騎士団長のご令嬢で、メイジー様だ。たぶらかそうとする者ではないよ」
「で、ですが!!ロクサス様は魅了の魔法をかけられているようでありました!!」
「ユカ。君なら状態異常になっているかどうかくらい気付けるはずだ。……なぜだかはわからないが……感情的になり、突発的な行動だったんじゃないかな?」
「うっ……。私は、ワタシは……ワダジはァ……」
その時、追求を受けていたユカの周りに瘴気がまとわりつき、体を覆っていく。
「ユ、ユカーー!しっかり!救援部隊長!ユカが何か攻撃を受けている可能性がある!魔法障壁を!」
「は、はい!!」
救援部隊長と呼ばれた青髪の騎士が、ユカの周りに魔法障壁を貼った。
だが、予想に反して瘴気はさらに大きさを増していく。
「ぐっ……なんて風だ……」
風圧で全員吹き飛ばされそうになる。
「な、なぜだ!?攻撃ではないのか!?」
ロクサスも初めての経験なのか、目を細めて見守ることしかできない。
「ウ、ヴァアァアァアァア!!!」
ユカの苦しそうな声が瘴気の中から発せられる。
「ぐ……なんだこれっ……」
それまで見ていたジョウチンが膝を落とした。
周りを見ると、騎士団員たちも全員倒れている。
「うっ……サタン!ヤバい……これって……!」
カトリーナも両手を地面につく。
「くっ………」
「うっ……これは……」
クロエに抱えられるようにしながら、メイジーも口を抑える。
ロクサスは相変わらず立っていたが、その目は長年の宿敵を見るような鋭い眼光だった。
「おい!ロクサス!これどうするよ!?」
俺は駆け寄るとロクサスに問いかける。
「これは……"ゼロ"の気配と同じだ……」
「マジ?だって中にいるの……金髪女だろ……?」
「わからない……何が起こっているのか……」
(これ……まさかな…)
俺は目の前の異常な瘴気を目の当たりにして、プニパンでジュース屋の親父が言っていた話を思い出していた。
『ああ。"魔王級モンスター"って呼ばれる最強にヤバい危険極まりないモンスターで、なんでか知らんけど、突然人間からなっちまうらしいんだ。だから普通の魔物と違って知恵もある』
(ウソだろ……)
最悪の可能性に行き当たったが、慌ててその考えを捨てた。
その時、カトリーナの声が後方から聞こえた。
「サタン!なら、あたしがユカさんに解呪の風をーーー」
ーーーーードンッ。
衝撃音とともに突然途切れる声。
振り向くと、そこにはーーー。
懐かしい顔ーーー。
忘れるはずもないーーー。
世界で一番憎いーーー。
キレイな銀髪をした男がーーー。
カトリーナの胸をーーー。
笑顔で貫いていたーーー。
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