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サタン@現実世界/カトリーナ・メルクーリ編
美少年が語る『吸血鬼とは何者か』の話
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エドガーは俺より数千年後に生まれた弟分の始祖で、人懐っこい少年のような見た目だった。
生まれた始祖の中でとにかく知識欲が貪欲で、神話、魔術、科学に至るまで、その時代の最先端のあらゆる知識を吸収して、色々と研究している変わった奴だ。
そして頭でっかちになっているためか、たまに会った時すらジジイの小言のように俺の行動に色々注文をつけてくる。
「父さん、ルシフェルはいつも怒ってるフリしてるけど、実は一番優しいんですよ。ほら、今日だって父さんへのチョコレートと母さんへの花を用意してるし」
エドガーが俺のカバンの中を指さしておちょくるような笑顔を見せる。
「う、うるせーよ!黙っとけお前は!」
俺はそっと置いて帰る予定だった土産をバラされて動揺する。
「なんだ、テメーも可愛いところあるじゃねーか」
「母さんは知っているわよ。ルシフェルちゃんは優しい子だって。もちろん、エドガーちゃんもね」
父と母が反抗期のガキ扱いしてくる。
「あー!もういいっつーの!ガタガタ言うなら最初の頃みてーに実家に200年くらい住み着くからな!」
「いや、どんな脅し方なんだよ……。確かにこいつ、昔ずっとニートだったからな。マジでウザかったよな。叩き出したけど」
「あら。私は何万年でもいてくれて良かったわよ」
俺の黒歴史をネタにした反抗だったが、逆に傷を深くしただけだった。
「まったく、困った兄さんだなぁ。冗談は兄さんがトイレで大した後の異臭だけにしてよね」
「ふははは!まったくだ!」
「ほほほほ!いやだわ、エドガーちゃんったら!」
「もう黙れよお前ら!」
そんなやり取りをしていたら、眠気はすっかりどこかに行ってしまっていた。
「まぁ、それはそうと今日の議題を聞こうじゃねーか」
そう言って父は豪華なイスに座り直して脚を組んだ。
「そうね。確か2人から何か提案があったのよね?」
母は相変わらず笑顔で今日ここに集まった理由を聞く。
「いや、実は俺もエドガーに連れてこられただけで何も聞いてない。お前から話せよ」
俺は「世紀の大発見だよ!」とか言って強引に連れてこられただけなので、投げやりにエドガーへ振った。
「ええ。実は………」
そう言いながらイスから立ち上がり、話し始めた。
「ここ近年、僕たち"吸血鬼"という生物について研究していたんですが、ある仮説が立ったんですよ」
「……なんだって?」
唐突に告げられた俺たちにとって本質的な話に、ピリついた空気を出しながら父が眉をひそめる。
「簡単に言うと」
それを見て見ぬふりをして、エドガーは続けた。
「『外来種』なのではないかと思っています。それも宇宙とかじゃなくて、別の"異世界"の」
「…………………」
「…………………」
父と母は表情を崩さず黙って聞いていた。
「実は、以前に人型のトカゲのような生き物を見たことがあります。その生物は人間と同じ言葉を話すのはもちろん、高い知能を持ち、変身能力もあるらしく、人間界に混じって国政を動かしていました」
「……………」
母の眼光が心なしか鋭くなった気がする。
「"真紅の瞳"で彼らの姿を見ていたら、突然話しかけられました。『お前もこちら側だな』と」
「な、なんだそりゃ」
俺はエドガーから初めて聞く情報に思わず顔がひきつる。
「その彼は『ゲイル』と名乗った。彼が言うには、自分たちは『異世界』から来たと。その世界は『ピロピロムーン』という帝国が治める世界で、人間とモンスターと呼ばれる人外種がいる世界らしいです」
「帝国の名前ダサッ」
ハナから信じていない俺はエドガーのつまらない話にツッコミを入れていくことにした。
「その世界からこちらに『転移』してきたと言っていました。転移技術は異世界でも極一部しか知らない秘密らしいですが」
「『転移』ってなんだよ!」
ーーーバシッ。
俺は手の甲でエドガーの肩を叩いた。
「興味深かったのは、異世界からこちらには転移できるけど、こちらから向こうに行くには一度死んで、『転生』しなければならない、ということです」
「意味わかんねーよ!」
ーーーバシッ。
「それが何を意味するのか分かりませんが、我々も恐らく『転移』してきた可能性が高いと思います」
「なんで転移しなきゃいけねーんだよ!」
ーーーバシッ!
「ちょっと静かにしてくれるかな!」
さすがにエドガーもイラ立ってツッコんできた。
「僕らには人間には無い無限の再生能力があり、一方で人間と同じ知能も有する。過去には神のような扱いを受けることもありました」
エドガーは話しながら窓の外に目をやった。
「こちらの世界各所に散らばる神話も、その"異世界"の話なのだとしたら、アンデッドのような存在と人間が交わった生き物、それが我々かもしれません」
「なんでアンデッドと交わんなきゃいけねーんだよ!」
ーーーバシッ!
「しつこいな!!」
そんなあまりにも荒唐無稽なエドガーの話だが、父と母は黙って聞いていた。
「おいおい、ジジイたち、ガチで信じてるんじゃないよね?」
2人はまだテーブルの一点を見つめて顔を上げない。
「それで、『ある実験』をすれば、より自分たちが何者なのかわかるんです」
「ある実験?」
父は相変わらず眉をひそめたまま、ぶっきらぼうに答えた。
「はい。それが、『プリビアスキャッチャー計画』です。
エドガーは満面の笑みでその計画を語り出した。
生まれた始祖の中でとにかく知識欲が貪欲で、神話、魔術、科学に至るまで、その時代の最先端のあらゆる知識を吸収して、色々と研究している変わった奴だ。
そして頭でっかちになっているためか、たまに会った時すらジジイの小言のように俺の行動に色々注文をつけてくる。
「父さん、ルシフェルはいつも怒ってるフリしてるけど、実は一番優しいんですよ。ほら、今日だって父さんへのチョコレートと母さんへの花を用意してるし」
エドガーが俺のカバンの中を指さしておちょくるような笑顔を見せる。
「う、うるせーよ!黙っとけお前は!」
俺はそっと置いて帰る予定だった土産をバラされて動揺する。
「なんだ、テメーも可愛いところあるじゃねーか」
「母さんは知っているわよ。ルシフェルちゃんは優しい子だって。もちろん、エドガーちゃんもね」
父と母が反抗期のガキ扱いしてくる。
「あー!もういいっつーの!ガタガタ言うなら最初の頃みてーに実家に200年くらい住み着くからな!」
「いや、どんな脅し方なんだよ……。確かにこいつ、昔ずっとニートだったからな。マジでウザかったよな。叩き出したけど」
「あら。私は何万年でもいてくれて良かったわよ」
俺の黒歴史をネタにした反抗だったが、逆に傷を深くしただけだった。
「まったく、困った兄さんだなぁ。冗談は兄さんがトイレで大した後の異臭だけにしてよね」
「ふははは!まったくだ!」
「ほほほほ!いやだわ、エドガーちゃんったら!」
「もう黙れよお前ら!」
そんなやり取りをしていたら、眠気はすっかりどこかに行ってしまっていた。
「まぁ、それはそうと今日の議題を聞こうじゃねーか」
そう言って父は豪華なイスに座り直して脚を組んだ。
「そうね。確か2人から何か提案があったのよね?」
母は相変わらず笑顔で今日ここに集まった理由を聞く。
「いや、実は俺もエドガーに連れてこられただけで何も聞いてない。お前から話せよ」
俺は「世紀の大発見だよ!」とか言って強引に連れてこられただけなので、投げやりにエドガーへ振った。
「ええ。実は………」
そう言いながらイスから立ち上がり、話し始めた。
「ここ近年、僕たち"吸血鬼"という生物について研究していたんですが、ある仮説が立ったんですよ」
「……なんだって?」
唐突に告げられた俺たちにとって本質的な話に、ピリついた空気を出しながら父が眉をひそめる。
「簡単に言うと」
それを見て見ぬふりをして、エドガーは続けた。
「『外来種』なのではないかと思っています。それも宇宙とかじゃなくて、別の"異世界"の」
「…………………」
「…………………」
父と母は表情を崩さず黙って聞いていた。
「実は、以前に人型のトカゲのような生き物を見たことがあります。その生物は人間と同じ言葉を話すのはもちろん、高い知能を持ち、変身能力もあるらしく、人間界に混じって国政を動かしていました」
「……………」
母の眼光が心なしか鋭くなった気がする。
「"真紅の瞳"で彼らの姿を見ていたら、突然話しかけられました。『お前もこちら側だな』と」
「な、なんだそりゃ」
俺はエドガーから初めて聞く情報に思わず顔がひきつる。
「その彼は『ゲイル』と名乗った。彼が言うには、自分たちは『異世界』から来たと。その世界は『ピロピロムーン』という帝国が治める世界で、人間とモンスターと呼ばれる人外種がいる世界らしいです」
「帝国の名前ダサッ」
ハナから信じていない俺はエドガーのつまらない話にツッコミを入れていくことにした。
「その世界からこちらに『転移』してきたと言っていました。転移技術は異世界でも極一部しか知らない秘密らしいですが」
「『転移』ってなんだよ!」
ーーーバシッ。
俺は手の甲でエドガーの肩を叩いた。
「興味深かったのは、異世界からこちらには転移できるけど、こちらから向こうに行くには一度死んで、『転生』しなければならない、ということです」
「意味わかんねーよ!」
ーーーバシッ。
「それが何を意味するのか分かりませんが、我々も恐らく『転移』してきた可能性が高いと思います」
「なんで転移しなきゃいけねーんだよ!」
ーーーバシッ!
「ちょっと静かにしてくれるかな!」
さすがにエドガーもイラ立ってツッコんできた。
「僕らには人間には無い無限の再生能力があり、一方で人間と同じ知能も有する。過去には神のような扱いを受けることもありました」
エドガーは話しながら窓の外に目をやった。
「こちらの世界各所に散らばる神話も、その"異世界"の話なのだとしたら、アンデッドのような存在と人間が交わった生き物、それが我々かもしれません」
「なんでアンデッドと交わんなきゃいけねーんだよ!」
ーーーバシッ!
「しつこいな!!」
そんなあまりにも荒唐無稽なエドガーの話だが、父と母は黙って聞いていた。
「おいおい、ジジイたち、ガチで信じてるんじゃないよね?」
2人はまだテーブルの一点を見つめて顔を上げない。
「それで、『ある実験』をすれば、より自分たちが何者なのかわかるんです」
「ある実験?」
父は相変わらず眉をひそめたまま、ぶっきらぼうに答えた。
「はい。それが、『プリビアスキャッチャー計画』です。
エドガーは満面の笑みでその計画を語り出した。
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