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第9話 おっさん成り行きで師匠となる。
「よし、着いたよ」
「ありがとうございます」
「いえいえ」
ユイカさんが動けなくなっていてので、隠れ家までおんぶして運んだ。
まぁでもこれがダンジョン内で良かった。
もしもこれが地上だったら、おっさんが若い娘をおんぶしてるのを他の人に目撃されてあらぬ疑いをかけられていたかもしれない。
もちろんそういうやましい気持ちはないが、世間体を気にする年齢なので、なにかと考えるのだ。
「ワンワン!」
「お、ケルベロスもありがとな」
俺がユイカさんをおんぶしてる間、ケルベロスが辺りを警戒してくれていたので、とても助かった。
「一先ず、休みましょうか」
「はい、タツベイさんも休んでくださいね」
「ええもちろん、休みます」
そうして俺とユイカさんはリビングにある椅子に向かい合うようにして座った。
実を言うとそんなに疲れてはいないのだが、まぁとりあえず座っておくか。
「私、ドキドキしました」
「無理もないです、はじめてのダンジョンボスですからね」
「はい、でも私ももっと役に立ちたいです」
「え?」
「私もダンジョンボスを一人で倒せるくらい強くなりたいんです」
そう言ってユイカさんは勢いよく立ち上がった。
ダンジョンボスを一人で討伐か、別に驕りとかではないが、本来どのレベルのダンジョンであってもボスはパーティを組んで戦うものだ、1人で倒せるのはほんの一握りの冒険者くらい。
今回倒した石獣も普通なら魔法使い1人、戦士2人、ヒーラー1人の編成を組む必要がある。
まず、今回使用した溶液は俺が特別に調合したもので普通はそんなもの持ってはいない。
本当だったら魔法使いが弱点魔法を使って1箇所1箇所の装甲を剥がし、そこを戦士が攻撃する戦法を繰り返し弱らせ、倒すのが正攻法だ。
いくら溶液があっても経験の少ないユイカさん1人では、さすがに無謀すぎる。
「ユイカさんの向上心は素晴らしいです、ただね1人ではやっぱり無茶です」
「……でもタツベイさんはできてるじゃないですか」
否定するとユイカさんは俺ならできているじゃないかと反論してきた。
確かに俺なら1人で勝てるが……。
「俺だって最初から1人で狩れたわけではないです、最初はちゃんとパーティを組んでいました」
「だったら私ともパーティを組んでください」
「え?」
「私をタツベイさんの弟子にしてほしいです!!」
「で、弟子!?」
冒険者生活20年以上で、大体のことは経験してきたつもりだったが、まさか弟子ができるとわ。
別に断る理由もないし、ここで断ってユイカさんがこの小屋をでて魔物に殺されでもしたら一生悔いが残る……。
仕方ない、ここは一先ず弟子入りを認めるか。
だが条件があるがな。
「はい、私を鍛えてください」
「いいでしょう」
「やった!」
俺が弟子入りを承諾するとユイカさんは飛び跳ねて喜んだ。
その時、たまたま目線がユイカさんの胸元にあった俺は大きく揺れるユイカさん胸が目に入った。
い、いかん目を逸らさねば。
そう思った俺は目線をズラすべく咄嗟に立ち上がった。
「でも条件があります」
「え、条件?」
俺がいきなり立ちがったので、ユイカさんはビクッと驚いたが、目だけは真っ直ぐに俺の方へと向けていた。
良かった、怪しまれてないぞ。
「ええそうです、まず一つ私が逃げろと言ったら逃げること」
「はい!」
「二つ、ご飯はしっかり食べること」
「は、はい」
「三つ、しっかり休息を取ること」
「は、はい……」
「四つ!」
「まだあるんですか!?」
「これが一番大切です、死なないこと」
俺がそう言うとユイカさんは静かにコクっと頷いた。
死なないこと、これは間違いなく一番大切な事だ。
死んでしまっては目標も夢も何も叶わない。
「よろしい!それが守れるならユイカさんは、貴方は今日から私の弟子です」
「ありがとうございます!」
こうして俺とユイカさんは師匠と弟子となった。
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