おっさん冒険者のおいしいダンジョン攻略

神崎あら

文字の大きさ
13 / 21

第13話 霧の剣


 霧の剣とは昔、とある王国の王女が作った型と言われている。
 それまであった、大地、海、空の剣はその威力を発揮するにはある程度筋力が必要だった。
 しかし、それでは男の人ばかりが剣を極めてしまうため、女はずっと剣士になれない。
 そう考えた王女は、力による威力ではなく、手数と素早さから生まれる威力を追求した。
 
 「まず、霧の剣とは一撃の威力ではなく手数が多いのが強みです」
 「手数の多さですか」
 「はい、まず私が手本を見せますね」
 「はい!」

 そう言うと俺は近くにある丸岩の方へと向かった。
 
 「それではいきますね、霧の剣、四の型10本突き!!」
 『ズドン』
 「す、凄い丸岩が真っ二つになった」

 霧の剣、四の型10本突き、目にも止まらぬ速さで一点を10回突く剣技である。
 
 「今の見えました?」
 「え、見えたとは?一回突いただけに見てましたが……」
 「いいえ、私は今10回突いたのです」
 「10、10回!?」
 「先程、戦士の使う肉体強化のスキルの話をしましたが、実はこの霧の剣もその肉体強化のスキルの一つを使って使用する剣技となっています」
 「に、肉体強化」

 そう霧の剣は、肉体強化スキルの一つ神威と呼ばれる、一瞬の間のみ神の如く速く動けるスキルを応用する。
 当時の王妃は、戦士の専売特許だった肉体強化スキルを剣士に転用し、非力な女性でも扱える剣技を開発したのだ。

 「ではユイカさん、まずは肉体強化スキル、神威を覚えるところから始めましょうか」
 「え、いやいやできないですよ、肉体強化スキルなんてどうやって覚えるんですか?」
 「意外と簡単ですよ、特に神威はそれほど難しいものではないですし」
 「そそ、そうは言ってもですね」

 そう神威自体の会得難易度は、それほど高くない。
 何故なら弱いからだ、戦士の使うグレートアップやスキルアップなどの長時間使えるスキルとは違い、神威は一瞬だけ。
 つまり戦士からすればザコスキルなのだ。

 「それでは会得方法ですが、こいつを捕まえてください」
 「こいつ?」

 そう言って俺は、ポケットから神速虫を取り出した。
 神速虫とは、簡単に言うとめちゃくちゃ早い虫である。
 この虫を捕らえると、スキル神威が手に入のだ。

 「この虫は神速虫と言って、捕まる瞬間に一度だけ物凄く早く動く虫です、ただ次の動作までは0.1秒ほどかかります、つまりその0.1秒は止まってます、その瞬間に捕まえるのです」
 「わ、わかりました」

 そうしてユイカさんは俺の手から放たれた、神速虫を捕まえるべく、走り出した。
 俺は捕まえるまでに丸3日かかった。
 さてユイカさんはどうだ。

 「つ、捕まえました!」
 「え?」

 そう言うとユイカさんは捕まえた神速虫を俺に返しにきた。

 「す、凄いですね」
 「えへへ」

 俺が褒めるとユイカさんは照れくさそうに笑った。
 伝承では霧の剣の開祖である王女も、一度で捕まえたと言われてるけど、まさかユイカさんも同じくらい才能があるんじゃないか。
 
感想 1

あなたにおすすめの小説

木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!

神崎あら
ファンタジー
運動も勉強も特に秀でていないがめっちゃ運が良い、ただそれだけのオルクスは15歳になり冒険者としてクエストに挑む。 そこで彼は予想だにしない出来事に遭遇する。 これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。 ※71話を少し修正しました。3/16  

30代からはじめるダンジョン攻略!脱サラ男によるダンジョン攻略術。

神崎あら
ファンタジー
31歳、独身、職業攻略者。 世界にはダンジョンと呼ばれる不思議な建造物が出現して早20年、現在世界はまさにダンジョン時代と呼ばれるほどにダンジョンビジネスが盛んになった。  これはそんなダンジョン攻略者になったアラサー男性の冒険譚である。 ※話数の表記の修正と同じ話の整理を行いました。 17時更新です。

俺のレベルが常人では到達不可の領域にある件について ~全ユーザーレベル上限999の中俺だけレベル100億いった~

仮実谷 望
ファンタジー
ダンジョンが当たり前のようにある世界になって3年の月日が流れてずっとダンジョンに入りたいと願っていた青年が自宅にダンジョンが出現する。自宅の押し入れにダンジョンが出現する中、冷静に青年はダンジョンを攻略する。そして自分だけがレベル上限を突破してレベルが無尽蔵に上がり続けてしまう。そうしていづれは最強への探索者として覚醒する青年なのであった。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

ダンジョンで迷惑配信者をやっていた俺。うっかりアイドル配信者を襲ってたドラゴンをぶっ飛ばした結果、良い人バレして鬼バズる

果 一@【弓使い】2巻刊行決定!!
ファンタジー
 矢上一樹は、ダンジョンでマナー違反行為を繰り返す迷惑系配信者だ。  他人の獲物を奪う、弱いモンスターをいたぶる、下品な言葉遣い。やりたい放題やって人気を得ていた彼だったが――ある日、うっかり配信を切り忘れて律儀な一面がバレてしまう。  焦った一樹はキャラを取り繕うも、時すでに遅し。一樹の素は大々的に拡散され話題沸騰していて――さらには、助けた美少女が人気アイドル配信者だったことで、全国レベルでバズってしまい!? これは、炎上系配信者が最強でただのいいヤツだった的な、わりとよくある物語。 ※本作はカクヨムでも連載しています。そちらでのタイトルは「ダンジョンで迷惑配信者をやっていた俺。うっかりアイドル配信者を助けた結果、良い人バレして鬼バズってしまう~もう元のキャラには戻れないかもしれない〜」となります。

現代ダンジョン奮闘記

だっち
ファンタジー
15年前に突如としてダンジョンが登場した現代の地球。 誰が何のために。 未だに解明されていないが、モンスターが落とす魔石はすべてのエネルギー源を代替できる物質だった。 しかも、ダンジョンでは痛みがあるが死なない。 金も稼げる危険な遊び場。それが一般市民が持っているダンジョンの認識だ。 そんな世界でバイトの代わりに何となくダンジョンに潜る一人の少年。 探索者人口4億人と言われているこの時代で、何を成していくのか。 少年の物語が始まる。