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第1話
両想いの幼馴染・2
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パトリシアの事業計画はドミニクにとっては正に青天の霹靂。ドミニクは思わずパトリシアが起業内容の説明を始める前に割って入った。
「ま、待ってくれっ!!
と、トイレだって?
き、君は貴族の娘だというのに迷宮にトイレを作る仕事を始めるつもりなのかいっ!?」
ドミニクが驚くのも無理はない。
古今東西。トイレに係わるような仕事は、いわゆる賤民と呼ばれる底辺階級の人間の仕事であり、貴人が関わることではない。いや、絶対に係わってはいけない仕事とさえ言っても良い。そんな事業を仮にも貴族の娘であるパトリシアが起こそうというのだから、ドミニクでなくても驚くだろう。
しかしパトリシアは、あっけらかんと
「あら、だって。私、実家を追いだされて貴族じゃなくなりますのよ?
なんの問題がありますの?」
と、言い放つのだった。
そして当たり前の事のように言葉を続ける。
「私。今は、貴族特権があるから冒険者のお仕事も優先的に入って来るし、仲間も私についてきてくれます。
ですが、私が庶民になった場合、世間知らずなお嬢様の私に誰がついて来てくれるというのですか?
それがわからないほど私、お間抜けではありませんのよ?」
パトリシアはドミニクが思っているよりも現実を把握していた。
パトリシアのようなお嬢様が冒険者としてやっていけるのも、全て彼女が貴族特権を持っているからだ。これが失われてしまったら、これまでパトリシアに優しくしてくれた人たちも掌を返してしまうだろう。
現実は厳しい。
冒険者のような下級層の人々は先ず生きて行かなくてはいけないのだ。金の臭いがしなくなった世間知らずのお嬢様を善意だけで相手にしてあげるような余裕は誰にもない。そのことをパトリシアはよく理解していた。いや、それどころか世間知らずのお嬢様が世俗に下ることにより生まれる別の危険が迫っていることもパトリシアは分かっていた。
だから、今のドミニクにもパトリシアが事業を起こすことが必ずしも悪いことだとは思えなかった。ただそうは言っても、貴族の娘がトイレに関わる仕事に就くことにはデメリットが大きすぎるとドミニクは考えていた。
「な。パトリシア。
どうしてトイレなんだい?
君なら宝石店や服屋や飲食店。色んな仕事があるだろうに。」
ドミニクはどうしてもトイレの仕事が気になって仕方がない。それは貴族にとっては当然の感情だった。
” 誇り高い貴族の娘にそんなことをさせたくない ”
ドミニクのその気持ちは、パトリシアにもよくわかるし、ドミニクが自分を心配してくれるのがとても嬉しかった・・・・。
そして、その気持ちとは裏腹にパトリシアは彼に認めてもらいたいとも思っていた。
自分が誰よりも優秀なドミニク・ベン・サルヴァドール筆頭伯爵に劣らない立派な大人の女性だという事を彼に認めて欲しかった。
「ねぇ、ドミニク。
貴方は一年足らずで冒険者をやめてしまったからわからないでしょうけど、迷宮内での女性のお手洗い事情ってそれは酷いものなのよ?」
ドミニクはパトリシアの言う通り一年足らずで冒険者をやめた。それは家の事情だった。最初、4人兄弟の次男坊であったドミニクにはパトリシアのために冒険者になってあげられるくらいの自由はあった。ところが、突然の長男の死によってドミニクは冒険者を辞めて家督を継がねばならなくなったのだ。
しかも子供のころから優秀だったドミニクは冒険者としても、騎士としても、貴族としても優秀だった。実家に戻ってから恐るべき速度で出世を果たしたのだ。
パトリシアはその一部始終を知っていた。
(私の後を追って冒険者になったくせに、2年と待たずに冒険者の最高段位の8段龍殺しを授与された上に、お家の事情で故郷に戻ってからは戦場で八面六臂の活躍を見せて、国王が直々に爵位継承の儀式に参加されて、その場で国の防衛を任されるなんて聞いたこともありませんわっ!!
そんな立派な方と・・・・・いくら仲の良い幼馴染だといっても男爵家のじゃじゃ馬娘の私が結ばれるなんて・・・・きっと周りの人は誰も許してはくれませんっ!!
でも・・・・私、あなたと結婚できずに他の男と一緒になるなんて、絶対に嫌ですわっ!!)
パトリシアには、幼いころから優秀過ぎるドミニクに対して劣等感があった。
それ故にどうしてもドミニクを認められるような出世をしたいと思っていた。
だから例え常識外れであっても、貴族のルールに外れるような事であっても、それまで誰も思いつきもしなかった凄い事をやり遂げたいと強く願っているのだ。
ドミニクはパトリシアのその思いには気が付いていない。
せいぜい、パトリシアの強い一面が出ているのだと思う程度だった。だから、パトリシアのその淡い思いにドミニクが気がつけるはずもなかった。
ただ・・・・・ドミニクにもパトリシアの覚悟だけは伝わっていた。
だからドミニクは深呼吸を一つすると覚悟を決めてパトリシアに尋ねた。
「で? その事業をどのように展開していくつもりなのだね?」
「は、はいっ!!」
話を聞いてもらえるとなったパトリシアは元気よく返事をし、自信をもって答えた。
「まずはダンジョン入り口にお手洗い休憩所の宣伝をする者を立たせます。
それからダンジョンの中階層に当たる3階にお手洗い場を設置いたします。
もちろん施設は完全女性専用。受付で冒険者証を提示していただき確認いたします。殿方が入れませんので防犯対策は完璧です。さらに設備は清潔な水洗式で同時に5人が使用できる分の個室を設置する予定です。
事業がうまくいけば、さらに深い階層にも設置したいと思っています。」
ドミニクはパトリシアの話を黙って聞いていたが、全てを聞き終わると深いため息をついて質問をする。
「・・・・水洗式にするといったね? それはつまり、浄化槽を用いた物を使用するわけだ。地下には排水場所がないからね。
・・・・しかし、それは何を使って浄化するつもりなのかな?」
「それは勿論、ダンジョンの汚物を始末する魔物を使ったものを利用いたします。元々、生態的にそのような事をしている魔物ですから、なんの問題もないわ。
とりあえず専門業者に依頼して、必要な数を捕獲してもらって浄化槽に入れておくだけでよいのです。
この方法が一番、理想的です。
魔法使いを雇って清浄魔法で毎日処理してもらうことは魔法使いの負担が大きいですから。」
パトリシアは速やかに答えた。それは融資することになるドミニク側にとっては当然、疑問に思う部分であろうとパトリシアも予測していた質問だったので軽やかに答えることができた。
これら魔物を使った下水処理は、この世界の下水処理事業で現実に運用されている方法だったから、調べればすぐにわかることだった。特に魔物を使った処理方法は、極地で歓迎されるやり方だった。清浄魔法に比べて確かに処理に時間はかかるものの、極地に下水処理用の魔法使いを常駐させるよりは現実的なのだ。魔法使いを常駐させれば、その日数だけ人件費がかかるし、なによりも常駐させる魔法使いのメンタルケアが大変になる。パトリシアは事業を進めるためにこの事を十分に調べていたので、迷うことなく魔物を使った浄化槽スタイルを導入することに決めていた。
パトリシアの返答は内容的に完璧に思われた。だが、ドミニクが続けて尋ねた質問は答えることができなかった。何故なら、それは事業を始めるためには避けて通れない問題でありながら、とても専門的な知識を必要とするものだったからだ。
「なるほど。よく調べているね。・・・・・となると、運営の進め方はある程度煮詰まっているのだろう。これなら、融資の事も考えなくてはいけないね。」
ドミニクからまさかの賛辞が聞けたパトリシアは嬉しそうに「・・・ではっ!!」と、融資について確信を得た声を上げたのだが、その先の言葉はドミニクが上げた左手によって遮られた。
「融資の事は考えてもいい。ただし・・・・以下の質問に答えることができるならね。」
ドミニクはそう言うといつになく真剣な眼差しでパトリシアを見つめる。その気迫に押されてパトリシアは「は、はい・・・」と、しおらしく返事するのが精一杯だった。
そんなパトリシアにドミニクは内心、心が痛んだが、それでも投資が失敗すればドミニクにとっても無視できないレベルの痛手になるのだから、心を鬼にして尋ねないわけにはいかなかった。
「では、尋ねよう。
君はこの事業に必要な土地の面積は試算しているのかね?
トイレの建物だけでなく、1日当たりの客数に十分な水を貯蔵できるスペースも必要だ。その水の量を計算してあるかね? 排水の為の浄化槽のサイズは? それを浄化するために何匹の魔物が必要なのかね?
また、ダンジョン内で営業するのだから護衛のパーティが常駐できる宿泊施設も必要になる。とくに女性のトイレを守るのだから、女性だけの護衛部隊が必要だ。魔法使いは女性の方が優秀だろうが、肉弾戦になれば男の方が圧倒的だ。つまり、戦士の数は男性の場合の2倍は必要だ。しかも、24時間勤務なら交替制。休暇の事を考えれば3部隊は必要だぞ? 彼女らへの報酬は年間にすると莫大な金額になるだろう。
また、その魔物がどれほどの速度で水を浄化するか計算してあるのかね? これらは1日当たりの使用者数によって左右されることを考えておかねばならない。
また、工事の職人を確保するルートは押さえてあるのかね? つまり専門の業者の目星はつけてあるのかね?
そして、工期は? いつ始めていつ実行する予定なのかね?
それから・・・・」
ドミニクは詰問するようにパトリシアに矢継ぎ早に尋ねた。しかし、そこまで計算していなかった準備不足のパトリシアにとっては、まるでドミニクが自分を虐めているかのように思えて悲しくなった。
「う・・・うう~~~・・・っ」
と、ついにパトリシアの口からうめき声に似た息が漏れ始める。
その声に気が付いたドミニクは(しまった!! 追い詰め過ぎたかっ!)と、ハッとした。
しかし、時すでに遅し・・・・ついにパトリシアの大きい瞳からポロポロと大粒の涙がこぼれ始めた。
「うう~~~、いじめるっ!! ドミニクがいじめる~~~っ!!
な、なんでそんな難しい事ばっかり言うのっ!!
一緒に考えてくれたっていいでしょ~~っ!!」
と、両手を上下にバタバタ降って泣きじゃくり始めた。
これが28歳の成熟した女性の姿か? と、誰もが思いたくなるシーンであるが、なにもパトリシアも誰に対してもこのような態度は絶対に取らない。このような態度を取るのは唯一、ドミニク相手だけだ。
幼いころからどんなワガママも泣いて頼めば言う事を聞いてくれるという歪な関係がこのような甘えをパトリシアに植え付けてしまったのだ。
つまり、パトリシアがこうなってしまった責任はドミニクにもある。年甲斐もなく泣きじゃくる幼馴染の姿を愛らしいと感じてしまう自分自身も歪なのだとドミニクは自覚していた。
そして自覚しているからこそ、このような事態になった今。この期に及んでなおもパトリシアを甘やかすことがいけないことだと理解していた。
だから心を決めて椅子から立ち上がり、ハッキリとパトリシアを叱りつけるのだ。
(ああ。やってやるさ。言ってやるさっ!!
これは一族の財を担う男として。
融資を求められた投資家として。
パトリシアの事を愛してしまった一人の男として、なによりも彼女の成長のために叱りつけるのだ!!)
ドミニクは立ち上がった姿勢のまま右手人差し指で彼女を指差しながら怒鳴りつける。
「パトリシアっ!! いい加減にしろっ!!
君はこれから一人で生きて行かねばならないんだぞっ!! いつまでそんな甘えたことを言っているつもりだっ!!」
と、バシッと言ってやれればどんなによかったか。
決めた覚悟は、愛しいパトリシアを泣かせてしまった罪悪感の前ではなんの力も持っていなかったのだ。
ドミニクは脳内のエアプとは裏腹に立ち上がった瞬間。その角度から見えたパトリシアの泣き顔一つに覚悟を打ち砕かれ、慌ててパトリシアの隣に跪き、その手を取って慰める。
「す、すまない。少しきつく言いすぎたね。
全く、僕は悪い幼馴染だ。可愛い君が困っているんだから、手を差し伸べるのは当然だよね。
ごめんね? 許して? ね?」
周囲から「鬼将軍」、または「当代随一の武辺者」と讃えられるドミニク・ベン・サルヴァドール筆頭伯爵が女子一人のために眉を下げてオロオロと狼狽える姿を王国内の誰に想像できようか?
しかし、国内最強の男がここまで頭を下げているというのにパトリシアの暴走は止まることはなかった。
「嫌っ!! 絶対に許さないもんっ!!
本当はドミニクは私の事なんかなんとも思ってないんでしょっ!?」
「そ、そんなことはないっ!
僕は世界中の誰よりも君の事を考えているっ!!
いつもいつも君の事を思っているっ!!
君のいない人生なんか考えられないっ!!」
ドミニクは即答した。普通に考えれば愛の告白だが、距離の近すぎる二人にはそれがわからなくなっていた。だからパトリシアもそんなドミニクの気持ちに気が付くことがなく、拗ねて駄々をこねる。
「そんなの嘘よっ! だって、さっきのあなた。とっても怖かったもの。いじわるだったもんっ!
本当は私がどこかで一人寂しく死ぬか、さっさとどこの誰かもわからない貴族と結婚したらいいと思っているんでしょうっ!?」
その一言はドミニクの逆鱗に触れた。
(僕のパトリシアを他の男がっ・・・・!?)。想像しただけで怒りが込み上げてきた。会ったこともない誰でもない仮想パトリシアの夫に対して尋常じゃないほどの殺意が体にみなぎってきた。
その激情のままパトリシアの両肩をガシッと鷲掴みにすると睨みつけるようにパトリシアを見つめて吠える。
「バカ野郎っ!!
誰にも君を渡したりするものかっ!!
やってやるさっ!! 僕がっ!! 君を守ってやるっ!!
この事業も助けてやるさっ!!
困ったことがあったら、何でも僕に言えっ!! 僕がどうにでもしてやるっ!!
だから、泣かないでくれパトリシアっ!! 僕のパトリシアっ!!
君を・・・誰にも渡さないっ!!」
古今稀に見る盛大な愛の告白である。
だが、しかしっ!!
気が付かないのであるっ!! パトリシアもドミニクもお互いの距離が近すぎて、それが愛の告白だとは気が付かないのであるっ!!
だから、パトリシアはただただ、感動の涙を流しながらドミニクの胸に頭をうずめるのだ。
「本当? 信じていいの?
私の事を守って下さるのっ!?」
「ああっ!! 全て僕に任せておけっ!!」
「ドミニクっ!!
もう、私を離さないでっ!! ずっとそばで守っていてっ!!
あなたが側にいて下さらないと、私・・・私・・・・不安で怖くて悲しくなってしまうのっ!!」
「ああ・・・・。もう大丈夫だよ。
この事業。やり遂げるんだ。僕たち二人で力を合わせて素晴らしいものにするんだっ!!」
こうしてこの融資の話が決定した。いやそれどころか力添えするとドミニクは宣言してしまったのだ。
これでこの話はもう後には戻れないところに来てしまった。
だが、そんなことなど問題にならないかのように抱きしめあうドミニクとパトリシアの姿は美しかった。
そんな二人を執事のセバスティアン・マルティーニは見つめながら・・・・
(こ・・・・このボケどもは~~~~っ!!)と、ブチ切れていた。
しかし、そんな怒りはおくびにも出さずに「事業が決まったところで、紅茶はいかがですかな? 美味しいケーキもご用意いたします。」とニッコリと笑うのであった。
「ま、待ってくれっ!!
と、トイレだって?
き、君は貴族の娘だというのに迷宮にトイレを作る仕事を始めるつもりなのかいっ!?」
ドミニクが驚くのも無理はない。
古今東西。トイレに係わるような仕事は、いわゆる賤民と呼ばれる底辺階級の人間の仕事であり、貴人が関わることではない。いや、絶対に係わってはいけない仕事とさえ言っても良い。そんな事業を仮にも貴族の娘であるパトリシアが起こそうというのだから、ドミニクでなくても驚くだろう。
しかしパトリシアは、あっけらかんと
「あら、だって。私、実家を追いだされて貴族じゃなくなりますのよ?
なんの問題がありますの?」
と、言い放つのだった。
そして当たり前の事のように言葉を続ける。
「私。今は、貴族特権があるから冒険者のお仕事も優先的に入って来るし、仲間も私についてきてくれます。
ですが、私が庶民になった場合、世間知らずなお嬢様の私に誰がついて来てくれるというのですか?
それがわからないほど私、お間抜けではありませんのよ?」
パトリシアはドミニクが思っているよりも現実を把握していた。
パトリシアのようなお嬢様が冒険者としてやっていけるのも、全て彼女が貴族特権を持っているからだ。これが失われてしまったら、これまでパトリシアに優しくしてくれた人たちも掌を返してしまうだろう。
現実は厳しい。
冒険者のような下級層の人々は先ず生きて行かなくてはいけないのだ。金の臭いがしなくなった世間知らずのお嬢様を善意だけで相手にしてあげるような余裕は誰にもない。そのことをパトリシアはよく理解していた。いや、それどころか世間知らずのお嬢様が世俗に下ることにより生まれる別の危険が迫っていることもパトリシアは分かっていた。
だから、今のドミニクにもパトリシアが事業を起こすことが必ずしも悪いことだとは思えなかった。ただそうは言っても、貴族の娘がトイレに関わる仕事に就くことにはデメリットが大きすぎるとドミニクは考えていた。
「な。パトリシア。
どうしてトイレなんだい?
君なら宝石店や服屋や飲食店。色んな仕事があるだろうに。」
ドミニクはどうしてもトイレの仕事が気になって仕方がない。それは貴族にとっては当然の感情だった。
” 誇り高い貴族の娘にそんなことをさせたくない ”
ドミニクのその気持ちは、パトリシアにもよくわかるし、ドミニクが自分を心配してくれるのがとても嬉しかった・・・・。
そして、その気持ちとは裏腹にパトリシアは彼に認めてもらいたいとも思っていた。
自分が誰よりも優秀なドミニク・ベン・サルヴァドール筆頭伯爵に劣らない立派な大人の女性だという事を彼に認めて欲しかった。
「ねぇ、ドミニク。
貴方は一年足らずで冒険者をやめてしまったからわからないでしょうけど、迷宮内での女性のお手洗い事情ってそれは酷いものなのよ?」
ドミニクはパトリシアの言う通り一年足らずで冒険者をやめた。それは家の事情だった。最初、4人兄弟の次男坊であったドミニクにはパトリシアのために冒険者になってあげられるくらいの自由はあった。ところが、突然の長男の死によってドミニクは冒険者を辞めて家督を継がねばならなくなったのだ。
しかも子供のころから優秀だったドミニクは冒険者としても、騎士としても、貴族としても優秀だった。実家に戻ってから恐るべき速度で出世を果たしたのだ。
パトリシアはその一部始終を知っていた。
(私の後を追って冒険者になったくせに、2年と待たずに冒険者の最高段位の8段龍殺しを授与された上に、お家の事情で故郷に戻ってからは戦場で八面六臂の活躍を見せて、国王が直々に爵位継承の儀式に参加されて、その場で国の防衛を任されるなんて聞いたこともありませんわっ!!
そんな立派な方と・・・・・いくら仲の良い幼馴染だといっても男爵家のじゃじゃ馬娘の私が結ばれるなんて・・・・きっと周りの人は誰も許してはくれませんっ!!
でも・・・・私、あなたと結婚できずに他の男と一緒になるなんて、絶対に嫌ですわっ!!)
パトリシアには、幼いころから優秀過ぎるドミニクに対して劣等感があった。
それ故にどうしてもドミニクを認められるような出世をしたいと思っていた。
だから例え常識外れであっても、貴族のルールに外れるような事であっても、それまで誰も思いつきもしなかった凄い事をやり遂げたいと強く願っているのだ。
ドミニクはパトリシアのその思いには気が付いていない。
せいぜい、パトリシアの強い一面が出ているのだと思う程度だった。だから、パトリシアのその淡い思いにドミニクが気がつけるはずもなかった。
ただ・・・・・ドミニクにもパトリシアの覚悟だけは伝わっていた。
だからドミニクは深呼吸を一つすると覚悟を決めてパトリシアに尋ねた。
「で? その事業をどのように展開していくつもりなのだね?」
「は、はいっ!!」
話を聞いてもらえるとなったパトリシアは元気よく返事をし、自信をもって答えた。
「まずはダンジョン入り口にお手洗い休憩所の宣伝をする者を立たせます。
それからダンジョンの中階層に当たる3階にお手洗い場を設置いたします。
もちろん施設は完全女性専用。受付で冒険者証を提示していただき確認いたします。殿方が入れませんので防犯対策は完璧です。さらに設備は清潔な水洗式で同時に5人が使用できる分の個室を設置する予定です。
事業がうまくいけば、さらに深い階層にも設置したいと思っています。」
ドミニクはパトリシアの話を黙って聞いていたが、全てを聞き終わると深いため息をついて質問をする。
「・・・・水洗式にするといったね? それはつまり、浄化槽を用いた物を使用するわけだ。地下には排水場所がないからね。
・・・・しかし、それは何を使って浄化するつもりなのかな?」
「それは勿論、ダンジョンの汚物を始末する魔物を使ったものを利用いたします。元々、生態的にそのような事をしている魔物ですから、なんの問題もないわ。
とりあえず専門業者に依頼して、必要な数を捕獲してもらって浄化槽に入れておくだけでよいのです。
この方法が一番、理想的です。
魔法使いを雇って清浄魔法で毎日処理してもらうことは魔法使いの負担が大きいですから。」
パトリシアは速やかに答えた。それは融資することになるドミニク側にとっては当然、疑問に思う部分であろうとパトリシアも予測していた質問だったので軽やかに答えることができた。
これら魔物を使った下水処理は、この世界の下水処理事業で現実に運用されている方法だったから、調べればすぐにわかることだった。特に魔物を使った処理方法は、極地で歓迎されるやり方だった。清浄魔法に比べて確かに処理に時間はかかるものの、極地に下水処理用の魔法使いを常駐させるよりは現実的なのだ。魔法使いを常駐させれば、その日数だけ人件費がかかるし、なによりも常駐させる魔法使いのメンタルケアが大変になる。パトリシアは事業を進めるためにこの事を十分に調べていたので、迷うことなく魔物を使った浄化槽スタイルを導入することに決めていた。
パトリシアの返答は内容的に完璧に思われた。だが、ドミニクが続けて尋ねた質問は答えることができなかった。何故なら、それは事業を始めるためには避けて通れない問題でありながら、とても専門的な知識を必要とするものだったからだ。
「なるほど。よく調べているね。・・・・・となると、運営の進め方はある程度煮詰まっているのだろう。これなら、融資の事も考えなくてはいけないね。」
ドミニクからまさかの賛辞が聞けたパトリシアは嬉しそうに「・・・ではっ!!」と、融資について確信を得た声を上げたのだが、その先の言葉はドミニクが上げた左手によって遮られた。
「融資の事は考えてもいい。ただし・・・・以下の質問に答えることができるならね。」
ドミニクはそう言うといつになく真剣な眼差しでパトリシアを見つめる。その気迫に押されてパトリシアは「は、はい・・・」と、しおらしく返事するのが精一杯だった。
そんなパトリシアにドミニクは内心、心が痛んだが、それでも投資が失敗すればドミニクにとっても無視できないレベルの痛手になるのだから、心を鬼にして尋ねないわけにはいかなかった。
「では、尋ねよう。
君はこの事業に必要な土地の面積は試算しているのかね?
トイレの建物だけでなく、1日当たりの客数に十分な水を貯蔵できるスペースも必要だ。その水の量を計算してあるかね? 排水の為の浄化槽のサイズは? それを浄化するために何匹の魔物が必要なのかね?
また、ダンジョン内で営業するのだから護衛のパーティが常駐できる宿泊施設も必要になる。とくに女性のトイレを守るのだから、女性だけの護衛部隊が必要だ。魔法使いは女性の方が優秀だろうが、肉弾戦になれば男の方が圧倒的だ。つまり、戦士の数は男性の場合の2倍は必要だ。しかも、24時間勤務なら交替制。休暇の事を考えれば3部隊は必要だぞ? 彼女らへの報酬は年間にすると莫大な金額になるだろう。
また、その魔物がどれほどの速度で水を浄化するか計算してあるのかね? これらは1日当たりの使用者数によって左右されることを考えておかねばならない。
また、工事の職人を確保するルートは押さえてあるのかね? つまり専門の業者の目星はつけてあるのかね?
そして、工期は? いつ始めていつ実行する予定なのかね?
それから・・・・」
ドミニクは詰問するようにパトリシアに矢継ぎ早に尋ねた。しかし、そこまで計算していなかった準備不足のパトリシアにとっては、まるでドミニクが自分を虐めているかのように思えて悲しくなった。
「う・・・うう~~~・・・っ」
と、ついにパトリシアの口からうめき声に似た息が漏れ始める。
その声に気が付いたドミニクは(しまった!! 追い詰め過ぎたかっ!)と、ハッとした。
しかし、時すでに遅し・・・・ついにパトリシアの大きい瞳からポロポロと大粒の涙がこぼれ始めた。
「うう~~~、いじめるっ!! ドミニクがいじめる~~~っ!!
な、なんでそんな難しい事ばっかり言うのっ!!
一緒に考えてくれたっていいでしょ~~っ!!」
と、両手を上下にバタバタ降って泣きじゃくり始めた。
これが28歳の成熟した女性の姿か? と、誰もが思いたくなるシーンであるが、なにもパトリシアも誰に対してもこのような態度は絶対に取らない。このような態度を取るのは唯一、ドミニク相手だけだ。
幼いころからどんなワガママも泣いて頼めば言う事を聞いてくれるという歪な関係がこのような甘えをパトリシアに植え付けてしまったのだ。
つまり、パトリシアがこうなってしまった責任はドミニクにもある。年甲斐もなく泣きじゃくる幼馴染の姿を愛らしいと感じてしまう自分自身も歪なのだとドミニクは自覚していた。
そして自覚しているからこそ、このような事態になった今。この期に及んでなおもパトリシアを甘やかすことがいけないことだと理解していた。
だから心を決めて椅子から立ち上がり、ハッキリとパトリシアを叱りつけるのだ。
(ああ。やってやるさ。言ってやるさっ!!
これは一族の財を担う男として。
融資を求められた投資家として。
パトリシアの事を愛してしまった一人の男として、なによりも彼女の成長のために叱りつけるのだ!!)
ドミニクは立ち上がった姿勢のまま右手人差し指で彼女を指差しながら怒鳴りつける。
「パトリシアっ!! いい加減にしろっ!!
君はこれから一人で生きて行かねばならないんだぞっ!! いつまでそんな甘えたことを言っているつもりだっ!!」
と、バシッと言ってやれればどんなによかったか。
決めた覚悟は、愛しいパトリシアを泣かせてしまった罪悪感の前ではなんの力も持っていなかったのだ。
ドミニクは脳内のエアプとは裏腹に立ち上がった瞬間。その角度から見えたパトリシアの泣き顔一つに覚悟を打ち砕かれ、慌ててパトリシアの隣に跪き、その手を取って慰める。
「す、すまない。少しきつく言いすぎたね。
全く、僕は悪い幼馴染だ。可愛い君が困っているんだから、手を差し伸べるのは当然だよね。
ごめんね? 許して? ね?」
周囲から「鬼将軍」、または「当代随一の武辺者」と讃えられるドミニク・ベン・サルヴァドール筆頭伯爵が女子一人のために眉を下げてオロオロと狼狽える姿を王国内の誰に想像できようか?
しかし、国内最強の男がここまで頭を下げているというのにパトリシアの暴走は止まることはなかった。
「嫌っ!! 絶対に許さないもんっ!!
本当はドミニクは私の事なんかなんとも思ってないんでしょっ!?」
「そ、そんなことはないっ!
僕は世界中の誰よりも君の事を考えているっ!!
いつもいつも君の事を思っているっ!!
君のいない人生なんか考えられないっ!!」
ドミニクは即答した。普通に考えれば愛の告白だが、距離の近すぎる二人にはそれがわからなくなっていた。だからパトリシアもそんなドミニクの気持ちに気が付くことがなく、拗ねて駄々をこねる。
「そんなの嘘よっ! だって、さっきのあなた。とっても怖かったもの。いじわるだったもんっ!
本当は私がどこかで一人寂しく死ぬか、さっさとどこの誰かもわからない貴族と結婚したらいいと思っているんでしょうっ!?」
その一言はドミニクの逆鱗に触れた。
(僕のパトリシアを他の男がっ・・・・!?)。想像しただけで怒りが込み上げてきた。会ったこともない誰でもない仮想パトリシアの夫に対して尋常じゃないほどの殺意が体にみなぎってきた。
その激情のままパトリシアの両肩をガシッと鷲掴みにすると睨みつけるようにパトリシアを見つめて吠える。
「バカ野郎っ!!
誰にも君を渡したりするものかっ!!
やってやるさっ!! 僕がっ!! 君を守ってやるっ!!
この事業も助けてやるさっ!!
困ったことがあったら、何でも僕に言えっ!! 僕がどうにでもしてやるっ!!
だから、泣かないでくれパトリシアっ!! 僕のパトリシアっ!!
君を・・・誰にも渡さないっ!!」
古今稀に見る盛大な愛の告白である。
だが、しかしっ!!
気が付かないのであるっ!! パトリシアもドミニクもお互いの距離が近すぎて、それが愛の告白だとは気が付かないのであるっ!!
だから、パトリシアはただただ、感動の涙を流しながらドミニクの胸に頭をうずめるのだ。
「本当? 信じていいの?
私の事を守って下さるのっ!?」
「ああっ!! 全て僕に任せておけっ!!」
「ドミニクっ!!
もう、私を離さないでっ!! ずっとそばで守っていてっ!!
あなたが側にいて下さらないと、私・・・私・・・・不安で怖くて悲しくなってしまうのっ!!」
「ああ・・・・。もう大丈夫だよ。
この事業。やり遂げるんだ。僕たち二人で力を合わせて素晴らしいものにするんだっ!!」
こうしてこの融資の話が決定した。いやそれどころか力添えするとドミニクは宣言してしまったのだ。
これでこの話はもう後には戻れないところに来てしまった。
だが、そんなことなど問題にならないかのように抱きしめあうドミニクとパトリシアの姿は美しかった。
そんな二人を執事のセバスティアン・マルティーニは見つめながら・・・・
(こ・・・・このボケどもは~~~~っ!!)と、ブチ切れていた。
しかし、そんな怒りはおくびにも出さずに「事業が決まったところで、紅茶はいかがですかな? 美味しいケーキもご用意いたします。」とニッコリと笑うのであった。
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