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第3話
マリアの画策・2
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マリアはパトリシアに献身的に仕えた。風呂では共に湯につかり、その背中を洗い流してやったし、風呂から上がると体に甘い香りのする上質なオイルを塗ってマッサージをする。そして、湯上り用のナイトウェアドレスを着せてやった。
少しゆったりとして脱ぎやすいそのドレスを着たパトリシアは鏡に映った自分の姿を見て赤面する。
「ね・・・ねぇ、マリア。このドレス・・・・少し肌の露出が多くないかしら?
なんだか少し・・・・破廉恥な気がするのだけれど・・・・・」
マリアは赤面するパトリシアを可愛らしいと思いつつも意地悪な陰りを秘めた笑顔のままで「大丈夫です。」と答える。
「大丈夫ですわ。パトリシア様。
とっても素敵です。世界中のどの殿方が見ても貴女のことを美しいと仰って心惹かれる事でしょう。」と言って安心させ、とどめに耳元で「きっとお兄様もパトリシア様のお美しさにドキドキしてしまうでしょうね。」と囁いた。
その一言を聞いたパトリシアは、勢いよくマリアの方へ振り向いてから嬉しそうに「ほ、本当?」と尋ねる。
(・・・ふっ。落ちたわね・・・・。)
パトリシアの反応を見たマリアは作戦がうまくいく確信を得て、更に言葉巧みにパトリシアに誘導する。
「ええ、勿論です。パトリシア様。
もっとも、お兄様はああ見えて女性におモテになります。
いつか良き縁談が来てどなたかとご結婚なさってパトリシア様とこのような貴重な時間を過ごすのも難しくなってしまうかもしれませんね。」
マリアの言葉にパトリシアの顔は一瞬で強張る。
ドミニクがいつか誰かと結婚してしまう。これは筆頭伯爵家の当主であるドミニクにとっての責務であり、避けられない未来である。
そして、同時にパトリシアにとって考えないように努めている最悪の現実であった。
(そ・・そうよね。いつか・・・・ドミニクは誰かと結婚してしまう。
どこかの貴族の御令嬢と結婚なさって幸せな家庭を築くのでしょうね・・・。)
そう考えただけでパトリシアの胸は張り裂けそうな痛みを覚える。
その痛みに耐えるパトリシアの顔はとても美しかったが、マリアはその表情をよく観察しながらさらにパトリシアのそんな思いを嬲るように、パトリシアが恐れている未来の話をした。
「きっと、今も多くの御令嬢がお兄様との縁談を順番待ちに並んでおられるのでしょう。
ですが、その多くの女性の中でお兄様に愛していただけるのは、ただのお一人様だけ。
その御方は幸せになれるでしょうね。
だって、お兄様は全てを持ち合わせておられる最高の男性ですもの。最高の結婚生活を送られるのに違いありませんわ。ああ・・・なんて羨ましいお話なのでしょうね?」
マリアにそんな話を聞かされてしまったパトリシアは胸に秘めた感情を砕かれる思いだった。
だが、パトリシアはその現実を受け止めないといけないと覚悟もしていた。
(ああっ!! 聞きたくない未来だわっ!!
どうして、マリアはそんなことを言うのかしら? どうして・・・そんなことを言って私を苦しめるのっ!?
悲しくて、とても切ない未来の話だわっ!!
そんな話は聞きたくないわっ!! 私はずっとドミニクのそばにいたいのっ!!)
そう、心の中で叫びつつも直ぐにその思いを否定するパトリシア。
(でも・・・・それでも私はドミニクが愛おしい・・・・
愛おしいから幸せになってもらいたい。
だから・・・・彼が結婚する未来を私は祝福するしかない。
諦めるのよ、パトリシア・・・・・アナタはドミニクにはふさわしくありません。
家柄も違うし・・・・それにドミニクはきっと私みたいなワガママで胸の小さな女なんかと結婚したいとは思っていないはずよ・・・・・)
パトリシアはドミニクの幸せを願い、そして自分の思いを打ち消すために自己否定に走る。
その有り様はまるで自分に戒めの鞭を打つ修道女の様であった。
「そうね。マリア。
アナタの言う通りよ。きっとドミニクの妻になる方はお幸せになるのでしょうね?」
心の中で散々、自己否定をしたパトリシアは覚悟を決めて、精一杯の笑顔を作って答えた。その笑顔は無理に作ったものであることは引きつった表情から一目瞭然であった。
その切ない笑顔は何とも儚い美しさを秘めていた。(※余談だが、人の夢と書いて「儚い」という字になるのは、いくらなんでもあんまりではないだろうか?)
気丈な強さを持っているパトリシアが見せた脆さ、弱さ。それは、そうなる様に仕組んだマリア自身の胸が締め付けられる感じがするほど哀れであった。
(少し、言いすぎたかしら?
でも、これぐらい言わないとパトリシア様の目を覚ますことはできないもの・・・・)
心の中でマリアは自分の行為を正当化することで次の行動へ移ることができる。
次の行動・・・それはパトリシアの心に希望を与えて、その胸に押し殺している思いを解き放つように促すことだった。
「でも・・・・私はお兄様がパトリシア様以外に長い間おそばに置いた女性を他に知りません。
パトリシア様ほどお兄様が女性に気を使った例も知りませんし、パトリシア様と一緒にいるときだけお見せになる嬉しそうな笑顔・・・・あの笑顔を他の女性に向けている姿を見たことがありません。
・・・・・もしかしたら・・・・もしかしたらこの世にはパトリシア様よりお兄様にお似合いの女性はいないのかもしれませんわ。」
その言葉を聞いたパトリシアの瞳は一瞬、輝きを取り戻したが、すぐに夢から覚めたかのように陰りを帯びてしまった。
「・・・・・いいえ。私はドミニクにはふさわしくありませんわ。
男爵家と筆頭伯爵家・・・・私達では家柄が違います。
それに・・・・・・」
パトリシアは暗い言葉のあとに再び精一杯の苦笑いを浮かべてマリアの言葉を否定する。
「それに私のような行き遅れの女。ドミニクにとって迷惑な存在でしかないわ・・・・」
パトリシアはそれだけ言うとマリアの案内もなしに夕食の準備が済んでいるであろう食堂の方へ向かって歩き出した。勝手知ったるサルヴァドール家の屋敷をパトリシアは夢遊病者のようなフラフラとした足どりで進む。
その悲し気な後姿をマリアは見つめながら思う。
(パトリシア様・・・・なんてお可哀想・・・・・
生まれついた家系の格差を理由に恋を諦めないといけないなんて・・・・・)
自分自身も半人半妖精で両性具有という事情を理由にドミニクを諦めたマリアにはパトリシアの切ない思いを痛いほど共感できたし、それだからこそパトリシアの目を覚ましてやると決意を強くするのだった。
(私は絶対にパトリシア様とお兄様に結婚させて見せるわっ!!!)
そう心に誓い、マリアはパトリシアの後を追った。
二人が食堂につくと夕食の準備が既に済んでおり、ドミニクは上座に座って二人を待っていた。
「遅いぞ、二人とも。腹と背中がくっつくところだよ。」
ドミニクが笑って迎えると、パトリシアは迷いのない笑顔に戻って「女の子には殿方にはわからない準備が多いのです。」と言い返す。
パトリシアの返事を聞いたドミニクは「くっくっく」と喉を鳴らすように笑う。肩を揺らしてとても楽しそうだ。
「さぁ、おいで。食事にしよう。」
機嫌がよくなったドミニクは二人を誘う。パトリシアとマリアは誘われるがままにその両隣の席に座ると執事たちが二人の杯にも酒を注ぐ。アルコール度の低い蜂蜜酒だが酔う事が目的ではない食前酒としては最適だ。
ドミニクは二人が杯を手にするのを待ってから自分の杯を掲げて乾杯の音頭を取る。
「さて、今日からパトリシアという良き友人が我が家で住む生活が始まる。
この良き日にささやかばかりの御馳走を用意した。大いに楽しもうじゃないか。・・・・乾杯!」
ドミニクの音頭に応えて二人も続く。
「「乾杯!」」
こうして楽しい夕食会が始まった。それと同時にドミニクは手をヒラつかせるジェスチュアをして使用人たちを部屋から退室させる。あとにはドミニク、パトリシア、セバスティアン、マリアのみが部屋に残った。
「あら? 彼らはどうしたの?」
パトリシアが不思議そうに尋ねると、ドミニクは椅子から立ち上がり、仰々しく首を垂れて「僕の可愛いお姫様方。今夜は僕とセバスティアンが君達をもてなそう。」と、サプライズ発言をする。
「ええっ!? ど、どうしてお兄様がっ!?」
事情はマリアも聞かされていなかったらしく、目をまん丸に見開いて尋ねる。
だが、ドミニクはそれに答えず「いいから、いいから。好きなものを切り取ってあげよう。何が食べたい?」と言ってテーブルの上の食材の山を掌で指した。
どうやらドミニクはパトリシアとの生活がよほど嬉しいらしく、今夜は使用人たちにも厚切りのステーキが振舞われ、別室ではこの部屋と同じく宴になるそうだ。
それは使用人たちさえこの夕食には過ぎた客と言わんばかりに追い払ったドミニクの気持ちもあらわしていた。
ドミニクは彼女たちの望むままに甲斐甲斐しく食材を取り分けてあげたり、杯を満たしてやった。そして、自分は立ったまま食事をつまんだ。
「まぁっ! ドミニクったら、いけない人っ!!
食べ歩きなさるなんてっ!!」
「ふふふ・・・。いいのさ、今日だけ僕だけは立食パーティーなのさっ!!」
上機嫌のドミニクはパトリシアに窘められても冗談交じりの事を歌うように言って決してそのスタイルを崩さなかった。
そうして、やがて夕食が終わりに差し掛かるころ。デザートのみになったこともあってドミニクも席に着き、セバスティアンだけが給仕をすることになった。
これを良き頃合いと判断したパトリシアは改めてドミニクに礼を言った。
「ドミニク筆頭伯爵様。親に勘当され家を追われた私に対して寛大なご処置。誠に有難うございます。
なんとお礼を申し上げたらよいのでしょうかわからないほどでございます。」
急に畏まった態度を取るパトリシアをみたドミニクは笑い飛ばした。
「よしてくれっ!! 筆頭伯爵様だなんてっ!! 僕達は幼いころから一緒なんだ、どうかこれまでと変わらず、僕を困らせる我がままお姫様でいてくれよっ!!」
「まぁっ!! 我がままお姫様だなんてっ!!」
パトリシアの礼に対して冗談で返すドミニク。そして起こる笑い。マリアもこの時を機とみて話を切り出す。
「それで、お兄様とパトリシア様は明日はどうなされるのですか?」
「明日は水道業者と具体的な話をするために出かけるのさ。」
ドミニクが即答するとマリアは大げさに驚くふりをした。
「まぁっ! 私を置いて? 仲のおよろしい事。
明日はせいぜい、水道業者を困らせない程度のいちゃつきぶりに抑えてあげてくださいね!」
マリアはワザと意地悪を言うように言った。それはドミニクとパトリシアが普段取っている行動が世間一般で言うところの恋人同士の関係がやることだと気が付いてもらうためだった。
そして、マリアのこの作戦は意外と功を奏した。二人がマリアの言葉に赤面して狼狽えだしたのだった。
「ば、ばばば、バカ言うんじゃないっ! いちゃつくだなんて・・・・ぼ、僕は構わないけどパトリシアに失礼じゃないかっ!?」
「そ、そうよ、マリアっ!! そんなの・・・・私は構いませんけど筆頭伯爵様のドミニクには失礼ですわよっ!!」
それは酒の迷いか。それともこれまでにないほど長い予定となる同居生活の始まりに二人の心が躍っていたためか・・・・これまでこの程度の言葉に動揺したことがないはずの二人が明らかに動揺して見せた。そして、お互いのその反応を見て、二人は驚いたように顔を見合わせて再び赤面するのだった。
「あらっ!? 二人ともいいのならそれで結構なんじゃありませんこと?」
ここぞとばかりにマリアが畳みかけようとするものの、ドミニクは「こら、大人をからかうんじゃないぞ。」と窘めて強引に話を終わらせる。
「さ、夕食は終わりだ。明日は色々と忙しくなるんだから、早めに寝たまえ。」
ドミニクはこれ以上、マリアにいじられることに恐怖したのだ。二人が意識しすぎて関係が壊れてしまう事を恐れたのだ。それが両思いだという事に気が付かぬ二人の悲しさ。二人は愛し合ったままそれ以上踏み込むことを恐れていた。
それがどれほど異常なことなのかと言えば、ドミニクはパトリシアの「おやすみなさい。」の言葉と共に頬にしてくれるキスに対してさえ違和感なく受け入れている事だった。照れもせず、緊張もせず。ごくごく自然に二人は頬にキスを交わすのだった。
二人がキスを交わすシーンを間近に見ていたマリアは思う。
(な・ん・でっ!! こんなに美しいキスを自然にかわせるお二人が恋人関係じゃないって互いに思えるのよっ!!
これじゃ私がバカみたいでしょ~~~っ!!!)
自分の恋は諦めて応援している二人がこの有様ではマリアがそう思うのも無理からぬこと。
(もう、いっそのこと邪魔してやろうかしらっ!?)とまで思ってしまうが、それでも幼いころから世話になっている二人にそんな真似はできるはずもなく、マリアは次の作戦を行動に移す。
パトリシアを寝室に案内したマリアは、前もって仲間のメイドに頼んでおいた蒸留酒に果実を絞った汁をいれて割ったフローラルな香りのする酒をテーブルに準備させると「今夜は歓迎会ですので女の子同士でもう少し飲みませんか?」と誘う。
誘われたパトリシアは「さっき、飲んだでしょ?」と苦笑いしながらも、可愛いマリアの誘いを断れなかった。テーブル席に座るとマリアが差し出す杯を受け取り、二人で乾杯をする。
「ふうっ・・・甘くて美味しい。
いけないわ。寝酒というには多いくらい飲んでしまいそう。」
パトリシアは口にした酒のくちどけの良さに感激しながらつい飲み過ぎてしまいそうになる自分を予測する。しかし、それはマリアの作戦の障害になる自覚となりかねない。マリアはパトリシアの言動を聞いて思案する。
(あら。世間知らずのお姫様だと思っていたけれども、意外とご自分の限度量を知っているのね。
なるほど・・・・冒険者になってある程度は鍛えられているってことなのかしら・・・・・。
簡単に酔い潰してお兄様の所へ送ってあげるつもりなのに、そう簡単には行きそうにないわね。
・・・・・だったら、もっとお話をして飲むペースを落として、自覚できないほどゆっくりとしたペースで酔い潰してあげないとね。)
マリアは直ぐに酔い潰す作戦を変更するために、話題を思い出話に変える。それは二人の出会いの時にまでさかのぼる。
「パトリシア様をこうして歓迎できるのはとてもうれしい事です。
そう言えば初めてお会いした時も、パトリシア様が滞在されるために故郷のお屋敷に泊まられた時でございましたね。」
「まぁっ! そういえばそうだったわね。
あの時のマリアったら本当に小さくてお人形さんのように可愛らしかったわ。
ドミニクの背中に隠れながら私に「お姉ちゃんは誰ですか?」って尋ねて来た時なんか、私、思わず抱き締めてしまったもの。あの時の可愛さは衝撃的だったわ!!」
パトリシアは10年前の話をされて当時の感動が蘇って来て、話に夢中になってしまう。
「あなたは私の妹のソフィアと同い年。本当にもう一人の妹が出来た気持だったわ。
それに今も小さいままでとても可愛らしいわ。」
「ふふふ。もう少し、色々と大きくなってほしいですけどね。」
「あら。それは女性全ての願望でなくて? まったく、世の殿方と言ったら、女性の気持ちも知らずにお乳の大きい女の子ばかりに夢中になって・・・・」
「あら。パトリシア様。世の男性の多くは意外と小さいお乳も好きなんですよ?
だって、殿方は皆、幼い少女を娶られるでしょう? 年の差10,20は当たり前ですけれど、その根底には男性の多くがロリコン気質で幼い体つきを求めている。これは、その動かぬ事実ですよ。」
マリアは薄い胸をぴんと張って自慢げに持論を話す。それは幼女のような姿をした自分自身の存在価値を誇りに思っている表れであり、同時にパトリシアを応援するものでもあった。
「ほ、本当かしら? ・・・男の人ってお乳の小さい女の子でも喜んでくれるのかしら?」
マリアの言葉はパトリシアにちゃんと響いており、パトリシアは心の中でドミニクの事を思い描く。
パトリシアがそんなことを考えている事はパトリシアの言葉を聞けばマリアならわかる。きっと、今頃、自分の体に欲情するドミニクの姿でも思い描いているのだろう。まさにマリアの思い描いたとおりに事が進んでいるのであった。
「それは勿論、そうですわ。パトリシア様の妹君ソフィア様も私と同じく15歳にしてご結婚なさいますでしょう? 男の人って絶対ロリコン気質ですわ。
きっと、お兄様もパトリシア様の魅力には抗えませんよ?」
耳元でそう囁かれると信じたくなってしまう。
(ドミニクが・・・私を?
おてんば娘としてしか見てくれていない・・・・そう思っていたけれど
私の事を「女」として見てくださるのかしら・・・・)
パトリシアの淡い期待がその胸に満ちてきたことを察知してマリアは止めにはいる。
「勿論でございます。きっとお兄様もパトリシア様に誘惑されたら、ひとたまりもないはずですよ。」
「そ・・・そんなの嘘ですっ!!」
嘘と言ってマリアの言葉を否定しつつも嬉しそうなパトリシア。そのいじらしい姿を見てマリアは思う。
(まぁ、嬉しそうにしちゃって。でも、それでも自己否定を止められないなんてお可哀想。)
マリアはそう思いながらニッコリ笑ってパトリシアの期待をくすぐるようなゲームを提案する。
「では、一つゲームを試してみませんか? パトリシア様。」
「・・・・ゲーム? どんな?」
「今から、この寝酒をもってお兄様のお部屋を訪ねるのです。
お兄様をお酒に誘って部屋に入って、パトリシア様はただお兄様を熱く見つめるだけでいいのです。
そこでお兄様が何もなさらなければパトリシア様の勝ち。
お兄様がパトリシア様を抱きしめたなら私の勝ち。どうですか?」
さすがのパトリシアも夜更けに男性の寝室に未婚の女が入るという事がどれほどきわどい事かわかっている。そして、ドミニクとそう言う関係になりたいと心の奥底にしまい込んでいたパトリシア。
その心の奥底の扉を開ける鍵は、夜の寝酒に酔ってしまったパトリシア自身が無意識のうちに壊していたことなど気が付くはずもなく、ついパトリシアは同意してしまうのだった。
「わかりました。私、今からドミニクを誘惑してまいりますっ!!」
少しゆったりとして脱ぎやすいそのドレスを着たパトリシアは鏡に映った自分の姿を見て赤面する。
「ね・・・ねぇ、マリア。このドレス・・・・少し肌の露出が多くないかしら?
なんだか少し・・・・破廉恥な気がするのだけれど・・・・・」
マリアは赤面するパトリシアを可愛らしいと思いつつも意地悪な陰りを秘めた笑顔のままで「大丈夫です。」と答える。
「大丈夫ですわ。パトリシア様。
とっても素敵です。世界中のどの殿方が見ても貴女のことを美しいと仰って心惹かれる事でしょう。」と言って安心させ、とどめに耳元で「きっとお兄様もパトリシア様のお美しさにドキドキしてしまうでしょうね。」と囁いた。
その一言を聞いたパトリシアは、勢いよくマリアの方へ振り向いてから嬉しそうに「ほ、本当?」と尋ねる。
(・・・ふっ。落ちたわね・・・・。)
パトリシアの反応を見たマリアは作戦がうまくいく確信を得て、更に言葉巧みにパトリシアに誘導する。
「ええ、勿論です。パトリシア様。
もっとも、お兄様はああ見えて女性におモテになります。
いつか良き縁談が来てどなたかとご結婚なさってパトリシア様とこのような貴重な時間を過ごすのも難しくなってしまうかもしれませんね。」
マリアの言葉にパトリシアの顔は一瞬で強張る。
ドミニクがいつか誰かと結婚してしまう。これは筆頭伯爵家の当主であるドミニクにとっての責務であり、避けられない未来である。
そして、同時にパトリシアにとって考えないように努めている最悪の現実であった。
(そ・・そうよね。いつか・・・・ドミニクは誰かと結婚してしまう。
どこかの貴族の御令嬢と結婚なさって幸せな家庭を築くのでしょうね・・・。)
そう考えただけでパトリシアの胸は張り裂けそうな痛みを覚える。
その痛みに耐えるパトリシアの顔はとても美しかったが、マリアはその表情をよく観察しながらさらにパトリシアのそんな思いを嬲るように、パトリシアが恐れている未来の話をした。
「きっと、今も多くの御令嬢がお兄様との縁談を順番待ちに並んでおられるのでしょう。
ですが、その多くの女性の中でお兄様に愛していただけるのは、ただのお一人様だけ。
その御方は幸せになれるでしょうね。
だって、お兄様は全てを持ち合わせておられる最高の男性ですもの。最高の結婚生活を送られるのに違いありませんわ。ああ・・・なんて羨ましいお話なのでしょうね?」
マリアにそんな話を聞かされてしまったパトリシアは胸に秘めた感情を砕かれる思いだった。
だが、パトリシアはその現実を受け止めないといけないと覚悟もしていた。
(ああっ!! 聞きたくない未来だわっ!!
どうして、マリアはそんなことを言うのかしら? どうして・・・そんなことを言って私を苦しめるのっ!?
悲しくて、とても切ない未来の話だわっ!!
そんな話は聞きたくないわっ!! 私はずっとドミニクのそばにいたいのっ!!)
そう、心の中で叫びつつも直ぐにその思いを否定するパトリシア。
(でも・・・・それでも私はドミニクが愛おしい・・・・
愛おしいから幸せになってもらいたい。
だから・・・・彼が結婚する未来を私は祝福するしかない。
諦めるのよ、パトリシア・・・・・アナタはドミニクにはふさわしくありません。
家柄も違うし・・・・それにドミニクはきっと私みたいなワガママで胸の小さな女なんかと結婚したいとは思っていないはずよ・・・・・)
パトリシアはドミニクの幸せを願い、そして自分の思いを打ち消すために自己否定に走る。
その有り様はまるで自分に戒めの鞭を打つ修道女の様であった。
「そうね。マリア。
アナタの言う通りよ。きっとドミニクの妻になる方はお幸せになるのでしょうね?」
心の中で散々、自己否定をしたパトリシアは覚悟を決めて、精一杯の笑顔を作って答えた。その笑顔は無理に作ったものであることは引きつった表情から一目瞭然であった。
その切ない笑顔は何とも儚い美しさを秘めていた。(※余談だが、人の夢と書いて「儚い」という字になるのは、いくらなんでもあんまりではないだろうか?)
気丈な強さを持っているパトリシアが見せた脆さ、弱さ。それは、そうなる様に仕組んだマリア自身の胸が締め付けられる感じがするほど哀れであった。
(少し、言いすぎたかしら?
でも、これぐらい言わないとパトリシア様の目を覚ますことはできないもの・・・・)
心の中でマリアは自分の行為を正当化することで次の行動へ移ることができる。
次の行動・・・それはパトリシアの心に希望を与えて、その胸に押し殺している思いを解き放つように促すことだった。
「でも・・・・私はお兄様がパトリシア様以外に長い間おそばに置いた女性を他に知りません。
パトリシア様ほどお兄様が女性に気を使った例も知りませんし、パトリシア様と一緒にいるときだけお見せになる嬉しそうな笑顔・・・・あの笑顔を他の女性に向けている姿を見たことがありません。
・・・・・もしかしたら・・・・もしかしたらこの世にはパトリシア様よりお兄様にお似合いの女性はいないのかもしれませんわ。」
その言葉を聞いたパトリシアの瞳は一瞬、輝きを取り戻したが、すぐに夢から覚めたかのように陰りを帯びてしまった。
「・・・・・いいえ。私はドミニクにはふさわしくありませんわ。
男爵家と筆頭伯爵家・・・・私達では家柄が違います。
それに・・・・・・」
パトリシアは暗い言葉のあとに再び精一杯の苦笑いを浮かべてマリアの言葉を否定する。
「それに私のような行き遅れの女。ドミニクにとって迷惑な存在でしかないわ・・・・」
パトリシアはそれだけ言うとマリアの案内もなしに夕食の準備が済んでいるであろう食堂の方へ向かって歩き出した。勝手知ったるサルヴァドール家の屋敷をパトリシアは夢遊病者のようなフラフラとした足どりで進む。
その悲し気な後姿をマリアは見つめながら思う。
(パトリシア様・・・・なんてお可哀想・・・・・
生まれついた家系の格差を理由に恋を諦めないといけないなんて・・・・・)
自分自身も半人半妖精で両性具有という事情を理由にドミニクを諦めたマリアにはパトリシアの切ない思いを痛いほど共感できたし、それだからこそパトリシアの目を覚ましてやると決意を強くするのだった。
(私は絶対にパトリシア様とお兄様に結婚させて見せるわっ!!!)
そう心に誓い、マリアはパトリシアの後を追った。
二人が食堂につくと夕食の準備が既に済んでおり、ドミニクは上座に座って二人を待っていた。
「遅いぞ、二人とも。腹と背中がくっつくところだよ。」
ドミニクが笑って迎えると、パトリシアは迷いのない笑顔に戻って「女の子には殿方にはわからない準備が多いのです。」と言い返す。
パトリシアの返事を聞いたドミニクは「くっくっく」と喉を鳴らすように笑う。肩を揺らしてとても楽しそうだ。
「さぁ、おいで。食事にしよう。」
機嫌がよくなったドミニクは二人を誘う。パトリシアとマリアは誘われるがままにその両隣の席に座ると執事たちが二人の杯にも酒を注ぐ。アルコール度の低い蜂蜜酒だが酔う事が目的ではない食前酒としては最適だ。
ドミニクは二人が杯を手にするのを待ってから自分の杯を掲げて乾杯の音頭を取る。
「さて、今日からパトリシアという良き友人が我が家で住む生活が始まる。
この良き日にささやかばかりの御馳走を用意した。大いに楽しもうじゃないか。・・・・乾杯!」
ドミニクの音頭に応えて二人も続く。
「「乾杯!」」
こうして楽しい夕食会が始まった。それと同時にドミニクは手をヒラつかせるジェスチュアをして使用人たちを部屋から退室させる。あとにはドミニク、パトリシア、セバスティアン、マリアのみが部屋に残った。
「あら? 彼らはどうしたの?」
パトリシアが不思議そうに尋ねると、ドミニクは椅子から立ち上がり、仰々しく首を垂れて「僕の可愛いお姫様方。今夜は僕とセバスティアンが君達をもてなそう。」と、サプライズ発言をする。
「ええっ!? ど、どうしてお兄様がっ!?」
事情はマリアも聞かされていなかったらしく、目をまん丸に見開いて尋ねる。
だが、ドミニクはそれに答えず「いいから、いいから。好きなものを切り取ってあげよう。何が食べたい?」と言ってテーブルの上の食材の山を掌で指した。
どうやらドミニクはパトリシアとの生活がよほど嬉しいらしく、今夜は使用人たちにも厚切りのステーキが振舞われ、別室ではこの部屋と同じく宴になるそうだ。
それは使用人たちさえこの夕食には過ぎた客と言わんばかりに追い払ったドミニクの気持ちもあらわしていた。
ドミニクは彼女たちの望むままに甲斐甲斐しく食材を取り分けてあげたり、杯を満たしてやった。そして、自分は立ったまま食事をつまんだ。
「まぁっ! ドミニクったら、いけない人っ!!
食べ歩きなさるなんてっ!!」
「ふふふ・・・。いいのさ、今日だけ僕だけは立食パーティーなのさっ!!」
上機嫌のドミニクはパトリシアに窘められても冗談交じりの事を歌うように言って決してそのスタイルを崩さなかった。
そうして、やがて夕食が終わりに差し掛かるころ。デザートのみになったこともあってドミニクも席に着き、セバスティアンだけが給仕をすることになった。
これを良き頃合いと判断したパトリシアは改めてドミニクに礼を言った。
「ドミニク筆頭伯爵様。親に勘当され家を追われた私に対して寛大なご処置。誠に有難うございます。
なんとお礼を申し上げたらよいのでしょうかわからないほどでございます。」
急に畏まった態度を取るパトリシアをみたドミニクは笑い飛ばした。
「よしてくれっ!! 筆頭伯爵様だなんてっ!! 僕達は幼いころから一緒なんだ、どうかこれまでと変わらず、僕を困らせる我がままお姫様でいてくれよっ!!」
「まぁっ!! 我がままお姫様だなんてっ!!」
パトリシアの礼に対して冗談で返すドミニク。そして起こる笑い。マリアもこの時を機とみて話を切り出す。
「それで、お兄様とパトリシア様は明日はどうなされるのですか?」
「明日は水道業者と具体的な話をするために出かけるのさ。」
ドミニクが即答するとマリアは大げさに驚くふりをした。
「まぁっ! 私を置いて? 仲のおよろしい事。
明日はせいぜい、水道業者を困らせない程度のいちゃつきぶりに抑えてあげてくださいね!」
マリアはワザと意地悪を言うように言った。それはドミニクとパトリシアが普段取っている行動が世間一般で言うところの恋人同士の関係がやることだと気が付いてもらうためだった。
そして、マリアのこの作戦は意外と功を奏した。二人がマリアの言葉に赤面して狼狽えだしたのだった。
「ば、ばばば、バカ言うんじゃないっ! いちゃつくだなんて・・・・ぼ、僕は構わないけどパトリシアに失礼じゃないかっ!?」
「そ、そうよ、マリアっ!! そんなの・・・・私は構いませんけど筆頭伯爵様のドミニクには失礼ですわよっ!!」
それは酒の迷いか。それともこれまでにないほど長い予定となる同居生活の始まりに二人の心が躍っていたためか・・・・これまでこの程度の言葉に動揺したことがないはずの二人が明らかに動揺して見せた。そして、お互いのその反応を見て、二人は驚いたように顔を見合わせて再び赤面するのだった。
「あらっ!? 二人ともいいのならそれで結構なんじゃありませんこと?」
ここぞとばかりにマリアが畳みかけようとするものの、ドミニクは「こら、大人をからかうんじゃないぞ。」と窘めて強引に話を終わらせる。
「さ、夕食は終わりだ。明日は色々と忙しくなるんだから、早めに寝たまえ。」
ドミニクはこれ以上、マリアにいじられることに恐怖したのだ。二人が意識しすぎて関係が壊れてしまう事を恐れたのだ。それが両思いだという事に気が付かぬ二人の悲しさ。二人は愛し合ったままそれ以上踏み込むことを恐れていた。
それがどれほど異常なことなのかと言えば、ドミニクはパトリシアの「おやすみなさい。」の言葉と共に頬にしてくれるキスに対してさえ違和感なく受け入れている事だった。照れもせず、緊張もせず。ごくごく自然に二人は頬にキスを交わすのだった。
二人がキスを交わすシーンを間近に見ていたマリアは思う。
(な・ん・でっ!! こんなに美しいキスを自然にかわせるお二人が恋人関係じゃないって互いに思えるのよっ!!
これじゃ私がバカみたいでしょ~~~っ!!!)
自分の恋は諦めて応援している二人がこの有様ではマリアがそう思うのも無理からぬこと。
(もう、いっそのこと邪魔してやろうかしらっ!?)とまで思ってしまうが、それでも幼いころから世話になっている二人にそんな真似はできるはずもなく、マリアは次の作戦を行動に移す。
パトリシアを寝室に案内したマリアは、前もって仲間のメイドに頼んでおいた蒸留酒に果実を絞った汁をいれて割ったフローラルな香りのする酒をテーブルに準備させると「今夜は歓迎会ですので女の子同士でもう少し飲みませんか?」と誘う。
誘われたパトリシアは「さっき、飲んだでしょ?」と苦笑いしながらも、可愛いマリアの誘いを断れなかった。テーブル席に座るとマリアが差し出す杯を受け取り、二人で乾杯をする。
「ふうっ・・・甘くて美味しい。
いけないわ。寝酒というには多いくらい飲んでしまいそう。」
パトリシアは口にした酒のくちどけの良さに感激しながらつい飲み過ぎてしまいそうになる自分を予測する。しかし、それはマリアの作戦の障害になる自覚となりかねない。マリアはパトリシアの言動を聞いて思案する。
(あら。世間知らずのお姫様だと思っていたけれども、意外とご自分の限度量を知っているのね。
なるほど・・・・冒険者になってある程度は鍛えられているってことなのかしら・・・・・。
簡単に酔い潰してお兄様の所へ送ってあげるつもりなのに、そう簡単には行きそうにないわね。
・・・・・だったら、もっとお話をして飲むペースを落として、自覚できないほどゆっくりとしたペースで酔い潰してあげないとね。)
マリアは直ぐに酔い潰す作戦を変更するために、話題を思い出話に変える。それは二人の出会いの時にまでさかのぼる。
「パトリシア様をこうして歓迎できるのはとてもうれしい事です。
そう言えば初めてお会いした時も、パトリシア様が滞在されるために故郷のお屋敷に泊まられた時でございましたね。」
「まぁっ! そういえばそうだったわね。
あの時のマリアったら本当に小さくてお人形さんのように可愛らしかったわ。
ドミニクの背中に隠れながら私に「お姉ちゃんは誰ですか?」って尋ねて来た時なんか、私、思わず抱き締めてしまったもの。あの時の可愛さは衝撃的だったわ!!」
パトリシアは10年前の話をされて当時の感動が蘇って来て、話に夢中になってしまう。
「あなたは私の妹のソフィアと同い年。本当にもう一人の妹が出来た気持だったわ。
それに今も小さいままでとても可愛らしいわ。」
「ふふふ。もう少し、色々と大きくなってほしいですけどね。」
「あら。それは女性全ての願望でなくて? まったく、世の殿方と言ったら、女性の気持ちも知らずにお乳の大きい女の子ばかりに夢中になって・・・・」
「あら。パトリシア様。世の男性の多くは意外と小さいお乳も好きなんですよ?
だって、殿方は皆、幼い少女を娶られるでしょう? 年の差10,20は当たり前ですけれど、その根底には男性の多くがロリコン気質で幼い体つきを求めている。これは、その動かぬ事実ですよ。」
マリアは薄い胸をぴんと張って自慢げに持論を話す。それは幼女のような姿をした自分自身の存在価値を誇りに思っている表れであり、同時にパトリシアを応援するものでもあった。
「ほ、本当かしら? ・・・男の人ってお乳の小さい女の子でも喜んでくれるのかしら?」
マリアの言葉はパトリシアにちゃんと響いており、パトリシアは心の中でドミニクの事を思い描く。
パトリシアがそんなことを考えている事はパトリシアの言葉を聞けばマリアならわかる。きっと、今頃、自分の体に欲情するドミニクの姿でも思い描いているのだろう。まさにマリアの思い描いたとおりに事が進んでいるのであった。
「それは勿論、そうですわ。パトリシア様の妹君ソフィア様も私と同じく15歳にしてご結婚なさいますでしょう? 男の人って絶対ロリコン気質ですわ。
きっと、お兄様もパトリシア様の魅力には抗えませんよ?」
耳元でそう囁かれると信じたくなってしまう。
(ドミニクが・・・私を?
おてんば娘としてしか見てくれていない・・・・そう思っていたけれど
私の事を「女」として見てくださるのかしら・・・・)
パトリシアの淡い期待がその胸に満ちてきたことを察知してマリアは止めにはいる。
「勿論でございます。きっとお兄様もパトリシア様に誘惑されたら、ひとたまりもないはずですよ。」
「そ・・・そんなの嘘ですっ!!」
嘘と言ってマリアの言葉を否定しつつも嬉しそうなパトリシア。そのいじらしい姿を見てマリアは思う。
(まぁ、嬉しそうにしちゃって。でも、それでも自己否定を止められないなんてお可哀想。)
マリアはそう思いながらニッコリ笑ってパトリシアの期待をくすぐるようなゲームを提案する。
「では、一つゲームを試してみませんか? パトリシア様。」
「・・・・ゲーム? どんな?」
「今から、この寝酒をもってお兄様のお部屋を訪ねるのです。
お兄様をお酒に誘って部屋に入って、パトリシア様はただお兄様を熱く見つめるだけでいいのです。
そこでお兄様が何もなさらなければパトリシア様の勝ち。
お兄様がパトリシア様を抱きしめたなら私の勝ち。どうですか?」
さすがのパトリシアも夜更けに男性の寝室に未婚の女が入るという事がどれほどきわどい事かわかっている。そして、ドミニクとそう言う関係になりたいと心の奥底にしまい込んでいたパトリシア。
その心の奥底の扉を開ける鍵は、夜の寝酒に酔ってしまったパトリシア自身が無意識のうちに壊していたことなど気が付くはずもなく、ついパトリシアは同意してしまうのだった。
「わかりました。私、今からドミニクを誘惑してまいりますっ!!」
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